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【アニメレビュアーズ#7】「かくしごと」感想・評価レビュー 久米田節炸裂のあたたかハートフルギャグコメディ!

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 「アニメレビュアーズ」とは、異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメの感想・評価レビュー・紹介&解説などを行うシリーズである。

 

 

【「アニメレビュアーズ」の概要や評価の指標などはこちら】

www.onajiananomujina.com

 

 

 

かくしごと

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放送時期

2020年4月-6月

話数

12話

ジャンル

コメディ

アニメーション制作

 亜細亜堂

 

スタッフ・キャスト情報

原作:久米田康治(講談社「月刊少年マガジン」連載)

監督:村野佑太

シリーズ構成・脚本:あおしまたかし

キャラデザ:山本周平

総作画監督:西岡夕樹/遠藤江美子/山本周平

音楽:橋本由香利

音響監督:納谷僚介

製作:かくしごと製作委員会

 

後藤可久士:神谷浩史

後藤 姫:高橋李依

十丸院五月:花江夏樹

志治 仰:八代拓

墨田羅砂:安野希世乃

筧 亜美:佐倉綾音

芥子 駆:村瀬歩

六條一子:内田真礼

ナディラ:加藤英美里

マリオ:浪川大輔

古武シルビア:小澤亜李 

評価

評価項目 作画 演出 音楽 声優 ストーリー キャラ 世界観・雰囲気 面白さ
点数 9 8 8 7 8 8 8 9

 

 

 

 

 

 

”久米田節”を見事落とし込んだハートフルコメディアニメ

父親の隠しごと。それは“描く仕事”でした―――

 

そんなキャッチコピーから始まる、下ネタ漫画家であることを愛娘に隠す父と、純真に生きるその娘との暖かい日常を描いたホームコメディ・・・

は、全体の30%ほどの成分でしかなかったw

 

残りの70%は、漫画家の実情(?)を描いたドタバタギャグコメディ―。

ほぼ原作者・久米田先生の実体験を元にしたエピソードであり、皮肉とエッジがとても効いていた。

それは『南国アイスホッケー部』や『さよなら絶望先生』にも通ずる”久米田節”の炸裂である。

それが着実に笑いを誘って来ていて、安心して爆笑することができた。

ギャグのパターンとしては、アンジャッシュのコントさながらの「勘違い」から引き起こる嵐のような展開が多くを占めていたと思う。

逆に久米田作品によくみられる「社会的風刺」や「下ネタ」はほとんど抑え込まれ、”家族”を描く方向に面舵を切っていたのも良かった。

 

 

衝撃的で強く印象に刻まれたのは、これまでとは毛色を変えてきた最終回である第12話。

これまでの『18歳編』のフリが全て繋がってくる、怒涛の伏線回収が待ち構えていたのだ。

主人公(後藤先生)が記憶喪失になる、というベタな展開を踏みながらも、原因がライバルの週間漫画誌に圧し潰される、というやっぱり久米田感。

そして、後藤先生は漫画を描くことにより記憶を取り戻し、ヒメちゃんは隠されていた”本当の父の働く姿”を見ることによって感銘を受ける。

結果的には、これまで隠し事だった”描く仕事”が愛娘にバレてしまうことにはなるのだが・・・

ギャグは極力抑え込んでシリアスに極振りして、”父と娘”の部分をより重厚に描いて来ていた。

これまでも話のラストにぽっと”父と娘”の部分を描いて上手く落として来てはいたが、

「漫画業界ネタ&ホームコメディ」であったはずの本作が「ハートフルコメディ」に昇華された最終回でもあった。

 

加えて、アニメの放送と同時期に完結を迎えた原作の最後まで描いているので、ラストには綺麗に纏まっており、「ちゃんと終わってくれた」という印象である。

「なんじゃそりゃ」とも思わせる賛否が別れそうな、激動の最後という感想もついて回るけれど。

 

 

シナリオ面に関しては、”久米田節”が見事アニメの脚本として落とし込まれていたと感じる。

原作は1巻しか読んでないのに、シナリオの質もギャグのテイストも話のテンポ感も「原作まんまやん」と思った。

 

 

 

 

『亜細亜堂』のポテンシャルを感じずにはいられない

キャラクターたちも個性が強く、懇篤かつ魅力的であった。

どこか達観していて、「師匠」とつい呼んでしまいたくなるようなヒメちゃんは、非常に可愛かった。主人公の後藤先生が溺愛し、バカ親になるのも頷ける。

そんな彼を囲むアシスタントのらすなさんや亜美ちゃん、六條先生にアイドルを目指すJKなどのヒロイン陣も、ヒメちゃんに負けず劣らず可愛かったよ。

僕は、あのオトナな妖艶さが詰まったらすなさんを推して行きたい。

サイコパスみを感じる十丸院編集や、アシスタント組残り二人などの男キャラも、ギャグ要員としてなかなかに光っていた。

 

また、若干シリアスな展開に持っていかれる『18歳編』の雰囲気をマイルドに融和することに努めていた後藤家以外のキャラクターたちは、

この作品の大部分を占めるコメディ要素を支える柱であった。

 

 

それから、キャラクターに命を吹き込むキャスト陣。

正直、人気声優の中から選んだあまり上品でないキャスティングだなと否定的だったが、回を増すごとに存外悪くないなと思えるようになった。

とりわけヒメちゃん役のりえりーは、思いのほかハマり役だった。

 

 

そんなキャラクターたちを描いて動かしていたのが、『亜細亜堂』という制作会社。

『忍たま乱太郎』や『かいけつゾロリ』などの長寿番組を手掛けているものの、深夜アニメデビューは最近果たした、オタクたちに評価されるのはまだまだこれからの制作会社であるが・・・

久米田先生が描く”ミステリアスさ”と”幼い可愛さ”を秘めた、あの名状しがたいキャラクターたちの塗りまで含めたイラストを、そのままアニメにして動かせていた。

原作絵をそのまま、一枚一枚動かすことも考えたアニメのキャラデザに落とし込むというのは、とても簡単にできる事ではない。大体どの作品も、動かしやすいように原作絵を色々改変してキャラデザを作っている。

だが、この作品はそれをいとも容易く実行できていたのだから、地味に凄い。

作画崩壊にも無縁で、作画においては絶望先生の『シャフト』には全く負けていなかった。

 

それに、どこか『シャフト』を意識したような絵作りも散見された。

しかし、コアなアニオタほど好みやすい『シャフト』の象徴でもある”諄すぎる演出”は一切なく、

むしろ一般ウケを狙ったかのような”オシャレさ”に振り切っており、「これはこれで良いな」と思った。

 

 

『亜細亜堂』のポテンシャルをとても感じられた作品でもあった。

近頃シャフトは衰退気味なので、これくらいの作品をもっと作ってキャリアを積めば、もっと伸びてシャフトを超える可能性が高い制作会社である。

 

 

 

アニソンらしくないアニソン、こ洒落たOP・ED

OPとEDは、2020年春アニメの中でもよく印象に残った。

 

 

OPはflumpoolの「小さな日々」

もし目を瞑って初めて聴いたなら、間違いなく普通のJ-POPだと勘違いしていたと思う。

それくらいアニソンアニソンしておらず、すっきりとした曲調に仕上がっている。

だが、作画や演出など作品全体の雰囲気が”オシャレ”に全振りだったので、OP映像や作品にはとても合っていた曲だと思った。

いいOPだね。

 

 

EDは、アニソンアニソンしてないどころか、元々アニソンとして生まれていない昭和の不朽の名曲、大滝詠一の「君は天然色」が起用されている。

この曲をEDにしようと決めたのも凄いが、この曲に映像を付けた方がもっと凄い。

洒落た背景美術の素晴らしさが輝いていて、結局一度も飛ばせなかった。

選曲も選曲で、この公式動画のコメント欄にも書かれているが、作詞をした松本隆が亡くなった妹を想って書き上げた詞ということで、この作品の物語にとてもリンクする所がある。

全体的に洒落てるというか、抜群なセンスを持ち合わせているとしか思えない。

僕は、この作品の余韻に浸れるEDの方が好きである。

 

 

 

 

 

 

まとめ:隠し事は、何ですか?

お気に入り度:★★★★

オススメ度:★★★★

 

 

父と娘のあたたかい日常パートと、漫画家のメタ要素をふんだんに詰め込んだギャグパートと、時折挟まれ肝が冷えるシリアスパート。

大きくこの3つにこの作品の要素は分かれていて、それらがバランスよく混ざり合い、成り立っていた。

 

この作品を僕なりに一言で表すと、

「久米田節炸裂のあたたかハートフルギャグコメディ!」

である。

 

非常にクオリティが高くて、再び久米田作品が日の目を浴びた作品だった。

 

久米田先生と、亜細亜堂の次回作にご期待下さい。

なぜそれをお前が言う...

 

 

 

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