異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメの感想や評価を書いていく「アニメレビュアーズ」。
7月の下旬、僕はこのような記事を投稿した。
端的に言えば、アニメを300本以上観たオタクが『コードギアス』をやっと視聴したという話。
一週間でTVシリーズ第1期を完走し、翌日にこの記事を執筆。そしてその4日後にTVシリーズ第2期を走り抜け、僅か一週間半で全50話をぺろりとたいらげてしまった。
…という訳で今回は、『コードギアス 反逆のルルーシュ』の感想・評価・レビューだ。
なお、今回はTVシリーズ1期&2期のレビューとなる。
- 『コードギアス 反逆のルルーシュ』作品情報
- 厨二心を擽る設定と、純粋な面白さで勝負をしかけた作品舞台
- ゼロからラストまで緻密に練り込まれていた全50話
- やはりサンライズが作るロボアニメは至高
- 豪華サウンドが『コードギアス』の戦場へと誘う
- 気になった点
- まとめ:撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ
『コードギアス 反逆のルルーシュ』作品情報
放送時期 |
第1期:2006年10月-2007年3月 第2期:2008年4月-9月 |
話数 |
第1期:全25話+総集編2話 第2期:全25話 |
ジャンル | SF/ロボット |
アニメーション制作 | サンライズ |
『コードギアス 反逆のルルーシュ』あらすじ・PV
キミを守るために、世界を壊すー。
2006年秋、『コードギアス 反逆のルルーシュ』が、運命の扉を開く!
超大国ブリタニア帝国に占領された日本=エリア11。そこに生きる二人の少年、ルルーシュとスザク。
「ギアス」の力を手に入れ、世界を壊そうとするルルーシュ。
ナイトメアフレーム「ランスロット」を操り、世界に理想と真実を求めるスザク。
二人の対照的な生き方は、やがて帝国を揺るがす大きなうねりとなっていく。
21世紀の新たな伝説が今、始まろうとしている。
『コードギアス 反逆のルルーシュ』スタッフ
企画:内田健二、竹田靑滋、川城和実
ストーリー原案:大河内一楼、谷口悟朗
キャラクターデザイン原案:CLAMP
キャラクターデザイン:木村貴宏
ナイトメアデザイン:安田 朗、中田栄治、阿久津潤一
メカデザイン・コンセプトデザイン:寺岡賢司、沙倉拓実
シリーズ構成:大河内一楼
メインアニメーター:木村貴宏、千羽由利子、中田栄治、中谷誠一
美術監督:菱沼由典
音響監督:浦上靖夫、井澤 基
音楽:中川幸太郎、黒石ひとみ
副監督:村田和也
監督:谷口悟朗
製作:コードギアス製作委員会
『コードギアス 反逆のルルーシュ』キャスト(声優)
ルルーシュ・ランペルージ:福山潤
枢木スザク:櫻井孝宏
C.C.:ゆかな
ロロ・ランペルージ:水島大宙
紅月カレン:小清水亜美
ミレイ・アッシュフォード:大原さやか
シャーリー・フェネット:折笠富美子
リヴァル・カルデモンド:杉山紀彰
ニーナ・アインシュタイン/千葉凪沙:千葉紗子
ナナリー:名塚佳織
ロイド:白鳥哲
セシル:井上喜久子
ユーフェミア:南央美
コーネリア:皆川純子
ギルバート・G・P・ギルフォード:幸野善之
ジェレミア:成田剣
ヴィレッタ・ヌゥ:渡辺明乃
扇要:真殿光昭
ディートハルト・リート:中田譲治
篠崎咲世子:新井里美
黎星刻:緑川光
ジノ・ヴァインヴェルグ:保志総一朗
アーニャ・アールストレイム:後藤邑子
ブリタニア皇帝:若本規夫
天子:松元環季
『コードギアス 反逆のルルーシュ』評価
評価項目 | 作画 | 演出 | 音楽 | 声優 | ストーリー | キャラ | 設定・世界観 | 雰囲気 | 面白さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
点数 | 10 | 10 | 9 | 9 | 10 | 10 | 10 | 7 | 10 |
お気に入り度:★★★★★
オススメ度:★★★★★
厨二心を擽る設定と、純粋な面白さで勝負をしかけた作品舞台
本作は、主人公であるルルーシュ・ヴィ・ヴリタニアが強大な力「ギアス能力」を手に入れ、世界唯一の超大国のブリタニア帝国に反逆を行うという、復讐劇を描いたピカレスクロマン*1作品だ。
ルルーシュは仮面を被った”ゼロ”として、妹のナナリーが望む世界を創り上げるため、学校の同級生などの周りの人にはその正体を隠しつつ、天才的な頭脳を武器に世界に歯向かい、ヴリタニアの王でもある父への下克上を果たす。
いわゆる今流行りの俺TUEEE系の走りであり、主人公の設定や物語の大まかな流れを読み解くだけでも非常に厨二心を擽られる。
これがまあ、特に男には刺さるのだ。
間違いなく昨今の俺TUEEE系には足りてないワクワク要素であり、僕らが求めていた厨二病の理想形なのだ。
そして物語の舞台となるのは、先述もした世界の3分の1を支配するブリタニア帝国と、そこに支配された日本。
西暦を使っていないことから だが、世界地図はまんま現実世界の地球だし、ブリタニア帝国=アメリカを連想させる。
ロボアニメは第二次世界大戦を引っ張りがちだが、この作品でもそれを引き摺って、日本人のナショナリズムに訴えかけてアメリカと戦争を遠回しに批判する、政治的思想が絡んだ作品か...?
...などと思っていたが、最後まで観たら全然違った。
そんなことはあくまで物語の元ネタでしかなく、政治・戦術をも学べる作品でもあったが、特定の国や人に対する政治的批判や差別の内容が入った作品ではなかった。
なにより、主人公・ルルーシュがブリタニアの出身であり、しかもブリタニア王直系の息子であるという設定がそれを証明している。思いのほか純粋に面白さで勝負していた。
アニメが好きな外国人、特にアメリカ人からも高い支持と人気を博しているのには頷ける。
ゼロからラストまで緻密に練り込まれていた全50話
僕が本作で一番凄いと感じたのは、これまでに語って来た作品の基盤となる部分を踏襲したストーリーだ。
最初から最後まで緻密に練り込まれている。
「誰かが勝てば戦いは終わる」「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」
第1期の時点からルルーシュが散々口にしていたこの2つの名台詞が、まさしく本作のラストを示唆しており、セリフ回しもさることながら、そのストーリーの作り込みの周到さには驚かざるを得ない。
行動原理が全て妹にある究極のシスコン野郎・ルルーシュが妹の望む平和な世界を創造するためにあれこれ考えて行動に移す。
しかし色んな人の様々な思惑が交差し、予想だにしない方向へ話は進んで行き、徐々に思い描いた幸せから遠ざかっていくのだ。
それは嘘に嘘を固めて、血がへばりついた手でゲットした結果が積もり積もったものなのだから...
ここまで予想外の展開がハイペースで連続し、何度も何度も良い意味で裏切られる作品は滅多にないだろう。
またキャラクターが多いのにも関わらず、無駄なキャラクターが少ないのも好感度高い。
あくまで友人を貫くスザク、実は母だった第2期からの新キャラ・アーニャ、実は真のラスボスだったシュナイゼル、ネタキャラかと思いきや最後の最後でカッコいい”オレンジ”さん...
この辺りのキャラクターの動きに注意を払いながら視聴すると、いかに練られてキャラクターが動かされていて、それが予測不能であることが分かる。キャラクターの活用が匠の仕業なのだ。
コイツ居るか?と思うキャラや嫌いになるキャラも居た。だが、予想だにしなかった収まり方をするラストを観て、キャラクターは満点で良いと思った。
そして”次回への引き”がすこぶる上手い。
毎回起承転結の「転」で1話が閉まり、次の話数のお話が気になって仕方が無いのだ。
リアタイだったら1週間がひどく待ち遠しいことだっただろう。
気になる所で話数を区切り、次の話数を観させるというこの手法は、アニメ史において太古の昔からある古典的かつオーソドックスなやり口である。
だが、この”次回への引き”を実質49回(全話)遂行し、ここまで成功させている作品は後にも先にも希少だ。
しかし次の話数が始まって観てみると、案外それほどでもなく、肩透かしを喰らうこともしばしば。
だが視聴者に次回を観させてしまった時点で作り手の勝利。最後にはまた、巧みな次回への引きが待ち受けており、結果最後までフルマラソン42.195kmを走らされることになる。
そんな”次回への引き”を始めとして、演出の巧みさには拍手を送りたい。
印象的だったシーン 強大な力を得た代償の悲しみ
特に印象的だった回では、これまでに書いた要素が色濃く滲み出ている。
第14話「ギアス対ギアス」
両親を殺した”ゼロ”の正体が好意を抱いていたルルーシュだった事を知ってしまったシャーリー。
絶望の淵に立たされながらも、ルルが好きだという気持ちを捨てきれない。
そんな矛盾を抱きながら暴れる彼女の、これまでの一切合切の感情や記憶を、”ギアス”を持ってして消し去るという誰も望んでなかった回。
「嫌なことは全て忘れるんだ」「できないよ」⇒「できる!俺が全部忘れさせてやる」「まさか!?」⇒「ルル!だめぇーーーー!!!!!」(ギアス発動)
このシーンはマジでキツかった。
正直シャーリーがルルーシュを好きになった理由とかが描かれてなかっため、なんだよこのヤンデレ片思い...可愛いけど...と思っていた。
が、シャーリーと過ごした学園生活がいつの間にか「かけがえのない日常」として積もっていて、それが「もう戻れない日々」に書き換えられたのだ。
だから悲しさの余り泣いたし、もうこの回ではシャーリーのことが好きになっていた。
シャーリーの想いも、ルルーシュの心も現れる、お気に入りエピソードの一つ。
あ、僕は本作のヒロイン陣のなかでシャーリーが一番好きです。
悲劇のヒロイン・シャーリー推し。ごめんな、ナナリー、シーツ―、生徒会長...
第22話「血染めのユフィ」
間違えてギアスをかけられてしまったユフィが、日本人に対し卑劣な残虐行為を行ってしまうという、”過ち”から生まれてしまった回。
これまた残酷かつ衝撃的で、物凄く悲しいエピソードだった。
この”過ち”さえなければ2クールで完結していたやもしれん。
暴走中のギアスが浮かぶルルーシュの目に涙が溜まるラストのカットは、強大な力の代償に悲しみを手に入れるというこの回の全てを表している。
一番好きなギアスの目。
二つの最終回 その① 「クリフハンガー」を効果的に活用した最大限の”引き”
次回への引きの最たるものが第1期の最終回だ。
「クリフハンガー*2」という手法を、非常に効果的に上手く活用した終わり方だった。
その続きへの気になり方は、僕のアニメ人生No.1だと述べても過言ではないほど凄まじいもので、リアタイで観ていたら第2期放送まで一年も待てなかったんじゃないかとさえ思う。
あまりにも上手く行きすぎたクリフハンガーだ。まあ第2期1話が始まってみれば、これまた肩透かしを喰らうんだけれども...
第2期の最後まで観なければ否定的な見解にもなりかねない、そんな危ない綱渡りもしている一つ目の最終回でもあった。
二つの最終回 その② 世界を壊し、世界を創る「ゼロ・レクイエム」
そして語らなければならないのが第2期の最終回、真のラストだ。
第2期の中盤~後半にかけては戦闘続きの話数が続いており、正直「また戦いかよ...もうやめてくれ...」と嫌気が差していた。
そしてルルーシュが念願の父殺害を達成し、ブリタニア帝国の新たな王に君臨すると、かなり横暴でほぼ独裁政治的なやり口でブリタニアの政治を動かし始める。
これには「周りの貴族や国民からの反感意識は高まっているし、こんなんじゃ父の二の舞じゃねぇか...。ルルーシュ、お前は世界を変えるんじゃなかったのか!?」と思ってしまった。
しかし、これも作り手の計画通り。
周囲から非難を浴びながらもルルーシュがこの国、いやこの世界の実質的な王になるというむしゃくしゃするラストを匂わせておいて、最後の最後で180度結果が変わるのだ。
ゼロの仮面を被ったスザクが護衛のジェレミア卿を飛び越え、玉座に君臨したルルーシュ(=全ての人間の反感を一心に背負った王)を殺す。ゼロが本当の意味で”英雄”になる。
ゼロがあくまで記号でしかない事とルルーシュの過去の行動を逆手に取った展開。
それはルルーシュとスザクが企てていた「ゼロ・レクイエム」の終焉にして達成だった。
このシーンは本当にヤバかったね。完璧だったと思う。
特にルルーシュが息を引き取るまでの流れ。
剣を刺されたルルーシュが、手に付着した血をゼロの仮面に擦りつける。
そして剣を抜かれたルルーシュは、玉座のある高台から滑り台のようになっている傾斜を、血跡を残しながらナナリーの元まで滑り落ちる...
この演出は鳥肌モノだった。
自力で立てずに体がふらつき始め、一回転し傾斜に落ちるという倒れ方も、ルルーシュには悪いが最高だった。
くわえて第1期1話のセリフ「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」がフラッシュバックし、ゼロとラストが繋がり、サブタイトル「Re:」にも繋がってくる。
俺も殺す気か...?
そしてバックにはこれまでの思い出(名シーン)が流れ...
それから全てを悟ったナナリーが泣き叫びながら一言「お兄様、愛しています」
ガン泣きした。何度見てもぶわっと鳥肌が立つし、涙がせり上げてくる。
踏み台役になったオレn・・・じゃなくてジェレミア卿は最後の最後でカッコよかったし、結局ルルーシュを葬るのはスザクだし、悪人はこれまでの悪行に見合ったそれなりの代償を支払うべきであり、幸せには決してなれないのだなと...
とりわけ最後の「幸せになれない」は、妹・ナナリーの望んだ平和な世界に組み込まれていたルルーシュの存在がなくなり、結局望んだ世界に最後までならないという事。
またナナリーが望んだ世界はすなわちルルーシュも望んだ世界であり、ルルーシュ自身もまたその世界を見届けることができないという事。
この「自分の望む世界に、自分は居ない」という、なんとも虚しい結末が心底憎い。
ハッピーエンドとも取れず、バッドエンドとも取れない、酷く古典的で王道的な素晴らしいラストだ。
「世界を壊し、世界を創る」か...
やはりサンライズが作るロボアニメは至高
忘れてはいけないのが、この作品はあくまでロボットアニメなのだ。
ジャンルとして留めるのなら『SF・ロボ』の枠に入れることになる。
しかもこの作品、ロボットアニメの頂点ともいえる「サンライズ」が制作している。
ロボットによる戦闘・アクション作画は、当時(「ガンダムSEED」と「ガンダム00」の中間辺り)のサンライズの技術力が惜しみなく注がれているのが分かる。
そのクオリティは『涼宮ハルヒの憂鬱(2006年版)』にも並ぶ、もしくは超えるものであって、間違いなく当時としては最高峰の作画だった。
あんなに作画コストの高い、激しいロボットの動きや爆破・戦闘シーンが挿入されても耐えうるとは...
えっ!? 放送当時は2回も総集編が挟まれて、24&25話が収まらなかったって...!?
いや、それを差し引いても頑張っていた。むしろその延期がスケジュールの過酷さを表しているとも言える。
紅蓮弐式もランスロットアルビオンゼロもカッコよかったが、何だかんだでランスロット無印が一番カッコよかった。
やはりロボアニメはサンライズ制作が至高である。
また作画に関連付けると、キャラクターの表情の移り変わりや演技の作画も非常に素晴らしかった。
幸せに溢れて喜んでいるときの顔、戦いが近づき強張って緊張しているときの顔、思わず「カワイイ...」と零したくなるようなヒロインの照れ顔、全身で憎み怒っている顔、全力で悲しみの感情を露わにする泣きの演技...
バリエーションが豊富だなと。
キャラクターの抱く感情が何倍にも引き伸ばされて強く伝わってくる。
ロボット作画班だけでなく、キャラクター作画班にも優秀な人材を雇っているとか、もはや映像面に関しては無敵とさえ感じる。
資金の出所はwhere?
豪華サウンドが『コードギアス』の戦場へと誘う
強すぎるFLOWと”オレンジ”レンジの因縁
OPに関しては、とにかく「FLOW」が強すぎる。
第1期1クール目OP「COLORS」は、本作で最も気に入った楽曲。LOWの個人的に好きな楽曲ランキングで「DAYS」と同率一位になった。
映像はどのカットも良いのだが、最後のルルーシュが”ゼロ”の仮面を脱ぎ、横顔を見せて目を後ろに動かすカットがめちゃくちゃカッコイイ。
その後、ゼロの影が映るカットも最高にクール。
第2期2クール目OPが、FLOWの「WORLD END」だと分かったときの安心感たるや尋常じゃなかった。
曲の良さもさることながら、サビでメインとなるロボが映され、それからほとんどのキャラクターが出て来るオールスターチックな映像が、まさしく「世界の終わり」を認識させてくれた。
第2期1クール目のOPは、”オレンジ”レンジの「O2」。
なにかと因縁深い”オレンジ”に絡めて、当時絶好調だった彼らをOPに起用。
「COLORS」と同じくらいの頻度で聴く良曲であり、出だしの「今行くよ僕は流れ星~♪」で星が流れるように、歌詞と映像が同期してるのが心をまさぐってくる。
そしてサビでは渾身の”馬”作画!!!ルルーシュは作中で一度も馬に乗らなかったけど!
動物作画は非常に難易度が高いようなので、アニメーターが優秀な証拠。
サビの2フレーズ目では、画面の中央に磁石でもあるのか、背景の映像と同様に真ん中奥へと吸われて行くメインキャラクターたち。
「交わらない君と僕 定めを切り裂く流れ星~♪」で交わらないルルーシュとシーツ―の手。エモい。
ラストフレーズでは、ギアスの目を背景に曲のリズムに合わせて4回ゼロの姿が。
そして黒の騎士団がわずかに1カット映り、宙に舞うチェスのキングのコマで締めくくるというオシャレさ。
映像面では『コードギアス』の色んなものが詰め込まれていて、このOPが一番好きだ。
過去の嘘も過ちも 鮮やかに映す「モザイクカケラ」
EDはアリプロジェクトや因縁の”オレンジ”レンジが楽曲提供を行っているが、申し訳ない。
EDに関しては「モザイクカケラ」の一強だ。
空虚な悲しさとやるせない寂しさの感情が一堂に会する曲調と、全てを知ったら心に刺さる歌詞。
作品本編の余韻に浸れる一曲に仕上がっており、まさしくEDにピッタリだった。
欲をいえば、第2期2クール目のED曲にしてほしかった。
音楽の力って偉大ダネ
日常パートでかかるアップテンポな曲や、戦闘中に緊張感を醸し出してくれる曲など、BGM(劇伴曲)もなかなかに良かった。
がしかし、いざサブスクが解禁されたサントラを聴いてみると、曲単体ではイマイチ引っ掛からず...好きなゲームのサントラを聴いて興奮するような感覚は味わえなかった。
あくまで作中の戦闘や物語を盛り上げる、という意味では機能していたので問題はない。
音楽のおかげで、展開に応じて味わう感情により深みが増していたのは確かだ。
そのなかで僕のお気に入りBGMは「Nightmare」。ナイトメア同士の戦闘シーンでかかる定番曲だ。
曲の合間合間で鳴り響くカスタネットが良い味を出している。
傍観者である僕らでさえ「コードギアス」世界の戦場に駆り立ててくれた。
気になった点
「このアニメは完璧だったのか?」と聞かれると、僕はそうじゃないと思う。完璧に”近かった”。
僕が惜しいな...と感じた不満・・・ではなくて、気になった点を書いていく。
「解読不能」が解読不能
第1期2クール目OP「解読不能」が残念だ。
曲自体は良い曲だし、サビが二度くるのも心を持ってかれる。
だが、『コードギアス』という作品に合っているのか?と問われると、首を縦には振れない。
同じサンライズ制作なら『銀魂』の方が合っていたんじゃないか?と思う。
どうやら放送当時僕と同じ感想を抱いたオタクが多かったようで、炎上したりボーカルの方が過激な写真を公開したりしたらしいが、それほど騒ぎ立てるようなものではないと思った。
また、第1期1クール目OPの映像の使い回しが多く、サンライズは「ガンダムSEED」から何も学んでいないことが分かった。
OPだろうと本編だろうと、映像の使い回しは冷めるので辞めて頂きたい。
第1期 24&25話のOPは、近未来感漂うカッコイイ曲に乗せてキャラクターの静止画をスライドさせるだけという手抜きにもほどがある映像だったが、僕は好きだ。
ラストのルルーシュの後ろからスザクが現れるカットは、何度見ても頬を緩めてしまう。
シャーリーの死は果たして必要だったのか?
第2期14話でヒロインの一人・シャーリーが死ぬ。
死因はロロに勘違いされ銃で殺されるというもの。
この展開は果たして必要だったのか!?
前述したように、僕はシャーリー推しだったのでとても悲しかった。
たしかに泣いたけど...泣いたけど...!!!
Key作品のメインヒロインの死は、ユーザーをこっぴどく泣かせるための演出であるのと同様に、このシャーリーの死もまた視聴者に衝撃と感動を与えるために必要な展開だったというのだろうか。
ギアスで記憶を消したってルルーシュに惹かれる彼女が、ただただ愛おしかった。
不満というより、運命という名の脚本に抗えない死の悲しみだな。好きなキャラが死ぬのって結構ショックなんだよ!?
素人のアフレコで現実に引き戻される
演技が極めて下手なキャラクターが一部見受けられ、一気に現実に引き戻されて冷める場面が幾度か生じた。
第1期ではどんな政治力が裏で働いていたのか、ちょい役の女子生徒にアイドルが...
第2期では同じくちょい役の女子生徒に、何らかの抽選でアフレコ権を獲得したらしい素人。
終いには、かなりの重要キャラとなるVV(ブイツー)が、なんとまぁ子役...
棒読みに磨きがかかっており、ルルーシュと女子生徒のやり取りや、若本さんとVVの掛け合いは、演技力に落差があり過ぎて思わず笑ってしまった。
新人声優とベテラン声優がかけ合えば前者の演技の下手さが際立ってしまうのに、素人とプロの声優がかけ合ってしまえばもうこの世に怖いモノなんて無しだ。
プロの声優さんがいかに凄いかを思い知らされたよ。
敵国の女を孕ませた扇という男
綺麗なラストだと思っていないか?
たしかに”綺麗に終わったようだった”が、 ほとんど何もしてないくせに既得権益だけでお偉いさんまで上り詰めたザ・平凡男、扇要が最後までしれっと生き延びていることに気が付かないかい?
しかも敵であるブリタニア帝国の女騎士・ヴィレッタに手を出し、子供まで作っていやがった。
エンディングでヴィレッタのお腹が膨れているカットを観たときは衝撃だったさ。
コイツさえ居なければルルーシュは生きてたかも知れ...おっと誰か来たようだ。
まとめ:撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ
特別な能力と天才的な頭脳を持ち合わせた最強主人公、正体を隠して行動、ダークヒーローによる反逆(下克上)という厨二病全開の要素...
加えて緻密に練り込まれたストーリー&演出と、サンライズによるロボットアクション作画。おまけに可愛いヒロイン(エロ有り)まで。
うにいくら丼の如く、男の好きなものを豪華に全部乗せしたような憎い作品だ。
それらのエレメントを一つに纏められる言葉を僕は知っている。
「カッコイイ」
そう、ルルーシュは最もカッコイイ厨二病のシスコンだったし、「コードギアス」は王道的な格好良さの元で輝いていた。(あくまで王道”的”なので、王道だとは言ってない。王道ぽいって事)
全てが計算し尽くされていた作品。
大量の資本を投入し豪華なスタッフで制作された『コードギアス』は、元から「名作」になる予定で生まれて来て、そして間違いなく名作になった。
どのアニメレビューサイトでも総合ランキングで上位に入り、人生No.1アニメだと豪語するオタクが出てくるのも頷ける完成度である。
計4クール全50話とかなり長くて濃密な作品だが...
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!コードギアスを観ろ!」