異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメの感想や評価を書いていく「アニメレビュアーズ」。
今回は、『コードギアス 反逆のルルーシュ』のTVシリーズ、劇場三部作・・・と来て、ついに劇場最新作だ!(公開から二年近く経つけど)
とうにTVシリーズでギアスにかけられたオタクによる、『コードギアス 復活のルルーシュ』を鑑賞した嘘偽りのない感想・評価・レビューを下す。
『コードギアス 復活のルルーシュ』作品情報
公開日 | 2019年2月9日 |
放映時間 | 113分 |
ジャンル | SF/ロボット |
アニメーション制作 | サンライズ |
『コードギアス 復活のルルーシュ』あらすじ・PV
光和2年。
世界は再編成された超合集国を中心にまとまり、平和な日々を謳歌していた。
しかし、平和は突如として終わりを告げる。仮面の男・ゼロとして、ナナリーの難民キャンプ慰問に同行したスザクが謎のナイトメアフレームに敗れ、
2人は連れ去られてしまった。
シュナイゼルの密命を受け、戦士の国・ジルクスタン王国に潜入したカレン、ロイド、咲世子はそこで、謎のギアスユーザーに襲われる。
そして、その場には襲撃者に“元嚮主様”と呼ばれる、C.C.が居た。かつて神聖ブリタニア帝国の大軍すらも打ち破った無敵の王国を舞台に、人々が描く願いは、希望か絶望か。
果たして、ギアスのことを知るジルクスタン王宮の面々と、C.C.の思惑とは——。
『コードギアス 復活のルルーシュ』スタッフ
監督:谷口悟朗
脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン原案:CLAMP
キャラクターデザイン:木村貴宏
ナイトメアフレームデザイン原案:安田朗
ナイトメアフレームデザイン:中田栄治
メカニカルデザイン・コンセプトデザイン:寺岡賢司
メインアニメーター:木村貴宏、千羽由利子、中田栄治、中谷誠一美術監督:菱沼由典
色彩設計:柴田亜紀子
撮影監督:千葉洋之
音響監督:井澤 基、浦上靖之
音楽:中川幸太郎
配給:ショウゲート
製作:サンライズ、コードギアス製作委員会
『コードギアス 復活のルルーシュ』キャスト(声優)
ルルーシュ:福山潤
C.C:ゆかな
スザク:櫻井孝宏
ナナリー:名塚佳織
カレン:小清水亜美
ロイド:白鳥 哲
セシル:井上喜久子
咲世子:新井里美
ニーナ:千葉紗子
コーネリア:皆川純子
扇:真殿光昭
玉城:檜山修之
ジェレミア:成田剣
アーニャ:後藤巴子
シャムナ:戸田恵子
シャリオ:村瀬 歩フ
ォーグナー:大塚明夫
シェスタール:島﨑信長
ビトゥル:高木 渉
クジャパット:津田健次郎
『コードギアス 復活のルルーシュ』評価
評価項目 | 作画 | 演出 | 音楽 | 声優 | ストーリー | キャラ | 設定・世界観 | 雰囲気 | 面白さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
点数 | 10 | 9 | 8 | 9 | 9 | 9 | 9 | 7 | 9 |
お気に入り度:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆
(ギアスファンにはオススメ度星5つ)
『コードギアス』という名の神話の大復活
僕の中ではもはや”神話”となっていた『コードギアス』。
あの完璧な本編のラストから、どう話を続けるんだと。これ以上の続編は大いに蛇足になりかねないし、暗然たる曇天が行く先を立ち込めていた。
しかし結果から言えば、もっと谷口監督を始めとした制作陣を信用すべきだった。心配だとか不安だとかは杞憂に終わったのだ。
『R2』のラストシーンにて、C.C.の乗る馬車の中にルルーシュが眠っているという「ルルーシュ生存説」なる考察が最も有望視されていたが、まさにその考察がご名答と言わんばかりの内容。
ゼロレクエイムから一年後、抜け殻となったルルーシュの身体を連れ出して、遠くの国に逃亡していたC.C.。
そこで奇跡的にかつての仲間と出会い、交戦に巻き込まれながらもC.C.の我儘で悪逆皇帝・ルルーシュの大復活。
タイトルに偽りなしである。イエス・キリストの復活よろしく感動と興奮が呼び覚まされた。
だが、てっきり開始直後にルルーシュが墓からひょっこり復活するのかと思っていたため、予想以上に”復活”までのプロセスと溜めがあったのは面倒だった。
「いつ復活するの?イキイキと動く姿はまだ?」と思いながら、自我を失った幼児退行ルルーシュを見守る冒頭の十数分は少しキツかった。
復活後、ちゃんとゼロことスザクとルルーシュの殴り合い(というよりほぼ一方的に殴られる)シーンがあるのは良かった。
彼が一番受け入れられず、最も受け入れてはならない存在なのだから...
スザクと同時に「ルルーシュは死んだ」と思い込んでいた視聴者をも騙したので、その鬱憤晴らし的な展開でもある。
新キャラクターに愛着はあまり湧かず
今回の敵は、せっかくルルーシュが身をもってして作り上げた平和をぶち壊し、スザクを監禁してナナリーを拉致した、タイムリープのギアス能力を持つジルクスタン王国の聖神官。
ギアスを発動すると、自分だけが記憶を保持したまま過去に遡れる。すなわち何度作戦が失敗してルルーシュに負けそうになっても、無限にリトライを続けられるのだ。
勿論時間が巻き戻される度にルルーシュが追い込まれて行くわけだから非常に厄介で、ブリタニア皇帝よりも恐ろしい”史上最大の敵”のように思えた。
しかしそこは、最強秀才シスコン主人公のルルーシュ。
作戦を幾つも打ち立てたり、敵の動きを何通りも絞り出したり、計算に賭けにロボット対決を重ねた結果、最終的には「絶対遵守のギアス」を行使して再び勝利と平和をもたらす。
このギアス対ギアスの戦いが最も盛り上がり、新たな形態のロボットを用いたアクションには白熱したし、ルルーシュの戦いっぷりはとてもカッコよかった。
ロボアクションやキャラクターの表情・動き等の映像はもはや語る必要もないだろう。一番食い入るように見たシーンだったと思う。
だが、敵国のキャラクターが個人的にはあまりハマらなかった。
別段敵キャラだからという理由ではない。TVシリーズでは、戦う強敵すべてが魅力的で、味方になったり敵になったりの展開はとても熱かった。
けれど今回の憎むべき標的は、これまでに比べてありきたりな設定と言動で、個性のパンチが弱かった。名前は全員覚わらなかったし、ビジュアルも聖神官とその弟くらいしか記憶に残っていない。
TVシリーズ50話分の蓄積があるメインキャラクターのパンチが強すぎるというのも十分あると思うが、TVシリーズでも後から登場するキャラクターほど薄っぺらく感じてしまうのは気のせいか?
たとえば『R2』から出て来たロロとアーニャとか。前者は物語の風呂敷を広げる上では欠かせなかった存在であり、後者は物語のキーを握る重要なキャラクターではあったが...
愛せはしなくとも、せめてTVシリーズの頃のように鮮烈に記憶に残る敵キャラが登場して、暴れ回ってほしかった。
C.C.のためのエンディング
”コードギアス”状態になり、「死」ではなく「生き続けること」が罪に対する罰となったルルーシュ。
よってゼロレクエイムでは死に至らず、こうして復活したわけであるが...
そんなルルーシュの行き着いた先は、C.C.の隣だった。
スザクにブリタニアを任せ、妹・ナナリーの願いを断り、「L.L.」としてC.C.と二人、互いに不老不死同士生きていこう...という結末。
それは紛うことなきC.C.の救出EDである。
このC.C.の笑顔が全てを物語っている。
あまりの嬉しさに涙を流して、頬を軽く赤らめてから愛する人に微笑みかけるという演技プラン。相も変わらず素晴らしい表情作画だよ。
ラストシーンは映像だけでなく、音楽も良かったと思う。
ED主題歌「リバイヴ(=復活)」は、MVの出来も相まってオタクとは縁遠い所にありそうな雰囲気を漂わせているが、『復活のルルーシュ』にとてもマッチした良い曲だと感じた。
EDのあのイラストとスタッフロールと一緒に流されたら、涙も流れちゃうわなって。
ほんと何なんだこの超絶ハッピーエンド、大団円。
なるほど、こういう終わりなのかと。気になるラストでもあったが、非常に満足の行くラストであった。
十年以上経っても、時の経過をあまり感じさせない声優さんのアフレコに感動しつつ(特にスザク役の櫻井さん)・・・
あっ、取り残されたシャーリーは僕が貰っておきますね!!!
まとめ:ギアスファンよ、私は帰って来たァ!
TVシリーズの締め方がベストだったのに対し、この映画の締め方はベターだったように思う。
やはりTVシリーズ50話こそが最高傑作だ、という僕の意見は変わらなかった。
普通に『コードギアス』という作品を楽しむのなら、綺麗に纏まっているTVシリーズだけ視聴すればよくて、本作はもっと深くに沈みたい”ギアスファン”向けのファンディスクである。
また、そもそも本作はTVシリーズの続きではなく、TVシリーズとは少し異なる世界である劇場三部作の続きだ。
だから僕はこの作品を「公式が提示した一つの模範解答」、いわば「公式SS」として受け取っておきたい(すなわちアフターストーリーという認識ではない)。
期待を裏切らない完成度で、正直あまり文句が無く、最高の公式SSだったと思うよ。
総じて本作は制作陣の「ありがとう」という気持ちが籠った映画だと感じたが、僕にも言わせてほしい。こちらこそ「ありがとう」と。