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アニメで見るNHK大河ドラマ アニメ『精霊の守り人』感想・評価・レビュー【アニメレビュアーズ#28】

 

異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメの感想や評価を書いていく「アニメレビュアーズ」

 

今回は、2000年代のアニメを語るうえで欠かせない制作会社「ProducitonI.G」が、神山健治監督を据えて、2007年にNHKで放送したアジアン・ハイ・ファンタジーアニメ...

『精霊の守り人(アニメ版)』の感想・評価・レビューである。

”まもりびと”じゃなくて”もりびと”。

 

【アニメレビュアーズとは?】

 

『精霊の守り人』作品情報

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©上橋菜穂子/偕成社/「精霊の守り人」製作委員会
放送時期

2007年4月-9月

話数

全26話

ジャンル

ファンタジー

アニメーション制作

ProducitonI.G

 

『精霊の守り人』あらすじ・PV

この世と平行して存在する目に見えない世界<ナユグ>の「水の精霊」の卵を産みつけられてしまったため、父帝から命をねらわれることになった新ヨゴ皇国第二皇子チャグム。
彼は刺客の罠にかかったところをバルサという短槍使いの用心棒の女性に救われる。養父の罪をあがなうため人助けの旅を続けていたバルサは、チャグムの護衛を引き受ける。
バルサの仲間たちとの交流の中で、皇子という生い立ちとは関係なく一人の少年としてたくましく成長していくチャグム。
バルサは刺客を防ぎながら、「水の精霊」の卵を孵しチャグムの身を守りきれるのか…。 

【引用:公式サイト】

www6.nhk.or.jp

 

『精霊の守り人』スタッフ

原作:上橋菜穂子(「精霊の守り人」より)

監督:神山健治

脚本:神山健治、菅正太郎、櫻井圭記、岡田俊平、檜垣亮

キャラクターデザイン:麻生我等

音楽:川井憲次

製作:「精霊の守り人」製作委員会

 

『精霊の守り人』キャスト(声優)

バルサ:安藤麻吹

チャグム:安達直人

タンダ:辻谷耕史

トロガイ:真山亜子

トーヤ:浅野まゆみ

サヤ:広橋涼

聖導師:石森達幸

シュガ:野島裕史

ガカイ:中博史

帝:斧アツシ

サグム:小林良也

ニノ妃:篠原恵美

ジグロ:西凜太朗

 

『精霊の守り人』評価

評価項目 作画 演出 音楽 声優 ストーリー キャラ 設定・世界観 雰囲気 面白さ
点数 10 9 10 8 9 8 10 10 8

お気に入り度:★★★★

 オススメ度:★★★★

 

 

2007年放送のアニメではトップクラスの映像美

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©上橋菜穂子/偕成社/「精霊の守り人」製作委員会

まず第1話の冒頭、鳥の鳴き声と風が吹く音をBGMとして、本作の舞台となる「新ヨゴ皇国」を高山から見渡す主人公・バルサを中心にカメラが180度回転するシーンで、この世界観にグッと惹き込まれる。

そして橋を渡る牛が暴れ出し、皇族の一行が乗る牛車が倒れ、チャグム皇子が川に流される一連のシーンの動きようは半端なかった。

チャグムの母親に頼まれて、バルサがチャグムを連れ出して逃走する展開もすでに面白すぎる。

第1話から制作陣の力の入り具合に圧倒された。

 

しかし本作の映像表現が本領を発揮するのは戦闘シーン

初の本格的な戦闘シーンがある第3話の死闘では、「凄い…」と思わず息を呑んでしまうほどヌルヌルと動いていた。

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クオリティの低いアニメだと、戦闘シーンで主人公は本当に攻撃を躱せていたのか?…と疑ってしまうが、本作の戦闘シーンに関してはそれが毛頭ない。どう見ても攻撃を躱している。

作画の凄まじい迫力に、金属同士がぶつかり合うSEも手伝って、戦闘を重ねるごとに、バルサの短槍さばきに惚れて行ったね。 

 

極めつけに「このアニメやべぇな…」と感じたのが第11話の戦い。

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©上橋菜穂子/偕成社/「精霊の守り人」製作委員会

リミッターがブチ切れて激昂するバルサの戦いっぷりを、”虎”に例えて演出するのは素晴らしいの一言。

この時はまさに、バルサは虎そのもので怖かったもの。原作の小説では表現が届かない、アニメならではの演出が光る。

 

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©上橋菜穂子/偕成社/「精霊の守り人」製作委員会

また、背景美術の仕事も非常に丁寧で美しかった

現実の写真を取り込んだんだろ!…と思いたいが、誰がどう見たってイラストである。それに、Production.I.Gのホームページに美術ボード集が掲載されているので、手描きで築き上げられた代物だとしか...

放送当時は最高峰のクオリティだったのではないだろうか?

 

 

架空の世界を作り上げるということ

背景美術のみならず、設定や世界観の構築は非常に優秀である。

1000年以上前のアジアをモチーフにしたといえど、歴史には存在しない架空の世界が本作の舞台。

しかしそうだとは思えないほど、民族衣装などの各地域の文化や風習、文字や歴史といったものがしっかり作り込まれている。

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※例 引用:Produciton.I.Gホームページ『精霊の守り人』設定資料集

この世界観がかつて地球のどこかに存在していたんじゃないか、と信じてみたくなる。

原作者が小説家を兼ねた文化人類学者だと知って納得がいった。無論アニメに落とし込んだスタッフも凄い。

ただ、外来語らしきカタカナ言葉がちょいちょい出てきたのは気になった。欲を言えば、ゴリゴリ日本語で揃えてほしかった。

 

 

秀逸がすぎる脚本

『精霊の守り人』第8話(感想):神回でした

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引用:精霊の守り人 第八話| バンダイチャンネル

平たく言えば、バルサが刀鍛冶の職人(おじいさん)に短槍を打ってもらうだけの回。

新ヨゴ皇国の追っ手から逃げ切り、しばらくの平和が訪れる間の日常回だ。

 

最初、刀鍛冶の職人はバルサの「新しい槍を打ってほしい」という打診を断る。

それに対しバルサは家に居座りこむ心構えを見せるが、どうしても動かないのならと、バルサとチャグムは隣の部屋に通される。しかし入ってきた扉が開かず、閉じ込められたと思う二人。

するとそこへ、打ってもらった刀を取りに来たという頭とジン(新ヨゴ皇国の追っ手)がやって来て、バルサたちの居る部屋の扉を開けようとする。だが職人は「お待ち下さい」と咎め、”究極の名刀”について頭とジンに語り出した。

「人を斬らず、ただ人の業だけを断ち切る。これこそが私が考える究極の名刀です。何時の日か、そのような一振りを打ちたいと常々考えております」

そして今までの人生でたった一人だけ、究極の名刀を打ちたいと思わせる者がいたと言う職人。職人が語るその人の特徴…「赤の他人の子を預かった武人」は、バルサを育て上げたジグロという男そのものだった。

「なぜその武人は赤の他人である子どもを預かったのだろう」と疑問を口にするジンに被せて、頭はその武人によく似た者(バルサ)を知っていると、その人(バルサ)について話し出す。

それを聞いた職人はバルサたちの居る部屋から刀を取り出し、頭とジンに手渡す。

二人が去って行った後に職人は再び扉を開け、「どうぞ、このままお帰りなさい。双方から話は聞かせてもらいました。七日後にまたおいで下さい」と言う。つまり職人は、バルサの新しい槍を究極の名刀にしたいと決めて打つことにした。

 

…全身が震えあがったよ。

映像で魅せるシーンは一切無く、ほとんど会話だけで物語が進行し、この回が無くとも作品は成立する。

それなのに、まさに名工の逸品のような”神回”であった(さすが的を得た原作者の言葉を借りました)。

正直、この第8話の秀逸さは文章だけでは伝わらない。是が非でも実際に視聴してほしい。

 

『精霊の守り人』第10話(感想):第8話にも劣らぬ素晴らしい回

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©上橋菜穂子/偕成社/「精霊の守り人」製作委員会

チャグムが大活躍! コマの博打で稼ぐテキヤを、YouTuberヒカルのごとくチャグムが摘発する回。こちらもまた日常回。

 

第8話の神回には及ばないにしても、賢いチャグムがテキヤを見事摘発するまでの流れ、双方の惹きつけられる駆け引きはお見事

またもや粗筋を書くのも面倒なので、第8話と同じく観た者だけがその周到さを知るという事で...

 

 

主人公・バルサにバブみを感じずにはいられない

バルサの戦う姿は男らしくて勇ましく、「強い女性」の象徴的なキャラクターに見える一方、女性らしいというか、母性を感じさせる一面も見せてくる。

短槍で追っ手から全力でチャグムを守り、水車小屋を自費で借りてチャグムをかくまい、己の人脈を活かしてチャグムを助ける方法を国よりも先に探し、

皇族のチャグムに平民の生活と槍の使い方、それから生きる上で大切なことをいっぱい教えて...

第19話では、バルサにこれ以上迷惑をかけるのは嫌だと逃げ出し、刃物を振りかざしたチャグムに対して本気で叱った。

その姿はまさに”母親”であった。カッコよくてバブみまであるとか最高かよ...

チャグムの母から授かった「チャグム王子を守る」という使命のもとに動いてるだけのはずなのに、中盤からは二人が本当の親子のように思えてくる。

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©上橋菜穂子/偕成社/「精霊の守り人」製作委員会

だから視聴を折り返すまで、タイトルの『精霊の守り人』はバルサのことを表していると思い込んでいた(精霊=チャグム、それを守るバルサ=守り人)。

本当は、精霊をお腹に保有して守っているチャグム自信が守り人だから、『精霊の守り人』はチャグムのことを表している。

 

バルサ以外の登場人物も基本的に善良な人ばかりで、好感の持てるキャラクターが多かった。

薬草師であるタンダは、バルサとイイ感じの関係になり、バルサが厳しい母親だとしたら、タンダは優しい”父親”ともいえる活躍だった。

トロガイ氏は一見「ジブリ」に登場しそうな外見だが、このおばあさん無くしてチャグムは助からなかった。

トーヤとサヤは、昔バルサによくしてもらったからと、物分かりもよく協力的に動いてくれて。水車小屋を燃やしたのは英断。

シュガを始めとする新ヨゴ皇国の手先は、チャグムを探して新ヨゴ皇国に帰す目的でバルサたちと敵対していたが、利害が一致していることとに気付いてからは協力的に。本当の敵は、チャグムから卵を奪いにくるバケモノだと知る。

総じてキャラクターみんなが「チャグムが好きで、チャグムを守って助けてあげたい」という一心で動いているのだ。

傍観者でしかない僕も「チャグムを守りたい」と感情移入していき、温かい話だなぁ…と心がじんわりして来る。

 

だからバルサとチャグムのお別れとなる最終回は、辛くも感動できる決別だった。

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©上橋菜穂子/偕成社/「精霊の守り人」製作委員会

精霊を守り抜いたチャグム皇子は、本来居るべき場所である新ヨゴ皇国の「宮殿」へと戻り、チャグムの母親から授かった仕事を全うしたバルサはまた新たな旅路へ。

これでチャグムが皇子の職務を放棄し、バルサの旅に付いて来るという甘い展開になっていたら、心底冷えていたよ...

当初から予想できていたが、文句の付けようがないラストストーリーは頭からケツまで面白かった。

子役が演じる若干棒がかったチャグムの演技もクセになる。

 

 

雰囲気づくりに徹底した音楽

オープニング

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©上橋菜穂子/偕成社/「精霊の守り人」製作委員会

OPを初めて見たとき、「このアニメはラルクじゃないだろ…」と思った。僕は日本のロックバンドでラルクがトップクラスに好きだが、本作とは合わないんじゃないかと。

だが何度も見ているうちに馴染んだり気が付いたりして、最終的には「このOP以外ありえないな」という結論に至った。

輝かしい「SHINE」という曲は物語に優しく寄り添っていて、なによりそれに合わせた映像がめちゃくちゃ良い。

とくにサビの導入の音ハメ3カットと、サビのバルサとチャグムが馬を走らせるカットが好き。なんとも微笑ましい二人だ。

 

エンディング

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©上橋菜穂子/偕成社/「精霊の守り人」製作委員会

ED「愛しい人へ」はチャグムからバルサへ、バルサからジグロへ唄った歌だと思う。

音楽、映像ともに作品を表していて最高。物語の終幕にきちんと余韻に浸ることができ、しんみりとした気持ちになる。

これこそがアニメのEDだろう。

 

劇伴曲

精霊の守り人 音楽篇 1 精霊の守り人 音楽篇 2

生活を美しく彩る日常曲から、冒険を勇敢に引き立たせる楽曲に、死と隣り合わせの戦いの不安さを駆り立てる戦闘曲。

アニメで劇伴曲(作中のBGM)を褒めることは滅多に無いのだが、本作の劇伴曲はどれもいたく気に入った

本作の世界観を支配していたのは、川井憲次氏作曲の劇伴曲であろう。

「至高の槍」「堤防のバルサ」「薬草師が行く」「想い遥か」の4曲が特別お気に入り。

 

 

 

まとめ:ハイクオリティーなファンタジーアニメ

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※点数は評価点数+お気に入り度+オススメ度の合計(100点満点)

正味80点台後半で名作ラインかなと予想しつつ得点を計算してみたら、なんと90点越え...

点数計算のシステム上、設定・世界観や雰囲気が良質な作品は明らかに有利だ。

 

作品に対する理解を深めるべく色々と調べてみると、どうやら原作『守り人』シリーズの第1巻『精霊の守り人』の内容だけをアニメ化したらしい。

とても小説1巻分の内容とは思えないほど、重厚長大な作品であった。長い旅がひとつ終わったような感覚である。

 

変な恋愛要素とか難解な設定・用語とかがない、バルサとチャグムの温かい物語。

質の高いNHKアニメなので、大河ドラマが好きな人は間違いなくタイプだろう。アニメ通なら抑えておきたい。

 

 

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