ジャンプ+で連載中の『チェンソーマン』のアニメ化や、累計発行部数が1億部を突破する大作『進撃の巨人』のアニメ最終シーズンの制作を請け負い、世界中のアニメファンから大注目を集める「MAPPA(マッパ)」。
近い未来には『呪術廻戦』第2期や『地獄楽』が放送予定であるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進している。
今回はそんな「MAPPA」の歴史や作風を分かりやすく解説しながら、
「MAPPA」が手掛けたアニメのなかでおすすめしたい作品を10本、ランキング形式で紹介したい。
MAPPAの概要と歴史
「MAPPA」とは?
「MAPPA」は日本の東京都杉並区と宮城県仙台市にスタジオを構えるアニメ制作会社であり、200名のスタッフが従業員として働いている。
2011年6月、今敏や細田守の才能を見出した「マッドハウス」の元社長・丸山正雄氏が設立したところから歴史は始まる。
当初は片淵須直監督の『この世界の片隅に』を制作するために設立されたが、のちに渡辺信一郎監督が合流してTVアニメの制作も行うことに。
そして2016年に発表した『この世界の片隅に』は、第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞に選出されるなどの非常に高い評価を獲得。
以後も数々の高品質なアニメ作品を世に送り出している。
MAPPAの特徴・作風
「MAPPA」は常に多くの制作ラインが稼働しているため、年間に何本もの作品を制作しながら、けどれも高いクオリティを維持しているのが特徴である。
とくに撮影・CG制作をメインに活動するCGI部には60名のスタッフが所属しているので、CGのクオリティは極めて優秀だ。
手描きアニメとCGアニメの融合、オールCGアニメの制作に秀でているだけでなく、作画コストの掛かるアクションにも強いなど、「マッドハウス」の流れを汲む作風が目立つ。
請け負う作品は、メジャーな漫画原作からオリジナル、果てには硬派でマニアックなものまで。
「Cyagames」との仲が深いので、『進撃のバハムート』をアニメ化したり、アニメ版『グラブル』の制作を「A1」から引き継いだり、ともに『ゾンビランドサガ』なるオリジナル企画を立ち上げたりしている。
MAPPA アニメおすすめランキングTOP10
第10位:呪術廻戦
概要・あらすじ
2018年から「週刊少年ジャンプ」で連載され、累計発行部数は4500万部を突破するダークファンタンジー・バトル漫画をアニメ化。
2020年10月-2021年3月に全24話が放送され、2021年冬には劇場版『呪術廻戦0』の公開が予定。
人間の負の感情から生まれる化け物「呪霊」を、「呪術」を使って祓う呪術師たちの闘いが繰り広げられる。
おすすめポイント
歴代ジャンプ作品の血を脈々と引き継いだ「THE・ジャンプアニメ」といったテイストで、本作の中心となっているバトルシーンの映像(作画)は凄絶の一言。
いつまでも”少年の心”を忘れない人にはヒット間違いなし。
『鬼滅の刃』に次いで国籍を問わず若年層に人気であり、本稿で紹介するアニメのなかでは最もライトに視聴することができるだろう。
第9位:BANANA FISH
概要・あらすじ
1985年~1994年に連載されて1200万部以上売れた名作少女漫画を、約25年越しにアニメ化した作品。
2018年7月-12月に全24話がノイタミナ枠で放送された。
物語の舞台はアメリカのニューヨーク、現地のストリートギャングや日本のジャーナリストが”バナナフィッシュ”の謎を巡る抗争に飲み込まれる。
おすすめポイント
性的な関わりはないものの、男性同士が恋愛的友情の関係を育む「ブロマンス」を描いた作品。
マフィアによる裏社会、児童ポルノなどの性的暴行、暴力、金、政治などが絡んでいくハードボイルドな世界観と物語は、好きな人にはとことんハマるであろう。
主に女性におすすめしたいが、男性でも観られるスタイリッシュな仕上がりである。
第8位:どろろ
概要・あらすじ
漫画・アニメ界の神様ともいえる「手塚治虫」先生が手掛けた怪作を、「手塚プロダクション」と共同制作でアニメリメイクした本作。
とある領土の守護と権力の代わりに、いくつもの体の部位を奪われて生まれてきた百鬼丸が、盗みで生き抜く孤児のどろろと共に、妖怪を倒して体の部位を取り戻していく物語。
2019年1月より全24話が放送された。
おすすめポイント
『鉄腕アトム』『火の鳥』『ブラックジャック』などを生み出した手塚治虫先生の漫画が原作という事で、なかなかに社会風刺の刃が鋭利で、考えさせられる内容になっている。
人の命とは、生きるとは、戦うとは、何か。
深いテーマのもと、手塚先生とアニメスタッフが出した1つの答えがそこに。
第7位:ゾンビランドサガ
概要・あらすじ
「MAPPA×エイベックス×Cygames」によるオリジナルTVアニメとして、第1期が2018年10月-12月に全12話が放送され、2021年4月より第2期が放送中。
ゾンビとして生き返った少女たちが、謎のプロデューサーに導かれてアイドル活動をし、九州でも地味な印象しかない「佐賀県」を救うべく奮闘する。
おすすめポイント
群雄割拠となった2018年アニメのなかでもオタクに圧倒的支持を得て、近年の深夜アニメにおけるヒット作となった。
それに起因するのは、斬新かつ衝撃的な幕開けと類を見ない作風。
アイドルアニメなのにゾンビ? 佐賀県ネタマシマシで全国を股に掛ける!?
あーもうめちゃくちゃだよ...そんなアニメ。
第6位:ドロヘドロ
概要・あらすじ
『ドロヘドロ』は、2000年~2018年に連載された、混沌を極めるダークファンタジーの青年漫画。
それを原作として2020年1月-3月に全12話が放送され、Netflixで独占配信がなされている。
物語は、魔法によって頭を爬虫類に変えられ記憶喪失となった男が、自分の本当の顔と記憶を取り戻すため混沌を彷徨うというもの。
おすすめポイント
「アニメ化不可能」とまで言われていた漫画を、「MAPPA」の3D技術をもって見事アニメに昇華したタイトル。
…なだけあって、退廃的で殺伐とした世界観の構築と、グロテスクでハードコアな描写に気合が入っており、独特なユーモラスに溢れている。
メジャーやポピュラーを気に留めず、どこまでもマイナーでアウトローを追い求めるマイノリティのあなたにおすすめ。
第5位:ユーリ on ICE
概要・あらすじ
2016年10月-12月に全12話で放送されたオリジナルアニメ。
「フィギュアスケート」をテーマにしており、初出場したグランプリファイナルで大敗した23歳の主人公・勝生勇利が、憧れの世界トップフィギュア選手であるヴィクトル・ニキフォロフにコーチとなってもらいながら、再びグランプリシリーズに勝つため氷を滑る姿が描かれる。
おすすめポイント
「MAPPA」のスタッフが本気で、スケートシーンを全部手で描いている。
そして選手それぞれにもきちんとバックボーンやドラマがあり、これこそ手描きアニメーションによるスケートドラマというクオリティだ。
ほんのりBL臭いが、そこはご愛嬌。男同士のあれこれが好きな女性は勿論、BLを毛嫌いしている男性にこそ本作を観てもらいたい。
【レビュー記事】
第4位:残響のテロル
概要・あらすじ
「監督:渡辺信一郎×音楽:菅野よう子」という『カウボーイビバップ』のコンビが手掛けるオリジナルアニメ。ノイタミナ枠で2014年7月-9月に全11話が放送。
ある夏の日、平穏な東京を突然襲った大規模な爆発テロは、”スピンクス”と名乗るたった二人の少年だった...
おすすめポイント
「テロリズム」を題材に、ダブル主人公が日本国家に本気で喧嘩を売るピカレスクアニメだ。
銃、爆弾、核兵器、ダークウェブ、ハッキングを駆使した盗難、仮想通貨を利用した騙しなど、テロ行為にバリエーションがあり飽きないのが魅力的。
悪役が活躍したり、社会派であったり、スリラーなサスペンスだったりが好きな人にはおすすめ。
【レビュー記事】
第3位:賭ケグルイ
概要・あらすじ
第1期が2017年7月-9月に全12話、第2期が2019年1月-3月に全12話放送された、累計発行部数は620万部以上の漫画を原作とするアニメ。
資本主義社会においては残酷なる縮図ともいえる、勝負の果てに勝者と敗者が存在するギャンブル。
それを狂ったように嗜む高校生たちのバトルが満面に展開する作品だ。
おすすめポイント
過剰に個性的なキャラクターの顔芸、それから狂気のごとくギャンブルに溺れる声優さんの演技が素晴らしい。
ギャンブルの駆け引きにはハラハラドキドキさせられる。あと、早見さん演じるドSな蛇喰夢子がエロい。
ド級のマゾなそこの君は観るしかないぞ!…いや、アニメライクなら誰でも楽しめる良作。
第2位:坂道のアポロン
概要・あらすじ
「このマンガがすごい!2009」オンナ編で1位を獲得した漫画を原作とし、2012年4月-6月に全12話でノイタミナ枠にて放送。
「MAPPA」初元請けのTVシリーズだ。
物語は1966年初夏、横須賀から長崎に転校した男子高校生・西見薫は、同クラスのバンカラな男・川渕千太郎との出会いをきっかけに、”ジャズ”という音楽の魅力に溶けていく。
おすすめポイント
昭和の爽やかな青春ドラマやジャズのビターな魅力を、『カウボーイビバップ』『サムライチャンプルー』の渡辺信一郎監督がオシャレに描いている。
また、菅野よう子氏の音楽がいい味を出しており、どこか懐かしくも新鮮な聴き心地のアニメだ。
昭和や青春時代に心を置いてきた大人、ジャズに心惹かれる人にこそ観てほしいが、わりと誰にでも観てほしい。
第1位:この世界の片隅に
概要・あらすじ
こうの史代の同名漫画を原作とする、『ブラックラグーン』の片渕須直監督・脚本による長編アニメーション映画。
同時期に公開された『君の名は。』や『聲の形』を抑えて、「第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞」などの多数の賞を受賞し、世界的に高い評価を得た。
1944年(昭和19年)2月、18歳のすずは戦時下で広島の家に嫁ぎ、物資が徐々に不足するなか持ち前の明るさで日々を乗り切るが、翌年の空襲で大切なものを失い終戦を迎える。
だがそれでもすずは、この地で生きていくことを決める ―― そんな物語。
おすすめポイント
先述したように、本作を制作するために「MAPPA」が設立されたというエピソードがあるが、それに恥じない完成度。
第二次世界大戦の敗戦国である日本には、数多もの戦争映画がある。そしてそれらのほとんどは、戦争の悲しみや苦しみを描いたものだ。
しかし本作は”戦時下の日常”を切り取って描いた、唯一無二の戦争映画である。
戦争中にも平民の人々は、働いたり恋したり泣いたり笑ったりして、それなりに普通に暮らしている。そういった日常がこの映画に詰まっている。
戦争を経験した老人から、戦争のことなど教科書でしか知らない子供まで。幅広い世代に鑑賞して頂きたい一本。
まとめ
いま最も勢いのあるであろう「MAPPA」が制作したアニメのおすすめ作品をTOP10紹介した。
わりと硬派で当たりハズレの多い制作だった日はいつしか。今や派生元の「マッドハウス」を超えて人気の大作を手掛ける優秀な制作。
そんな「MAPPA」が生み出したアニメをぜひ味わいつつ、今後の躍進にも期待しようではないか。
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