スポンサーリンク

僕がウマ娘にハマれなかった6つの理由 アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』感想・評価・レビュー【アニメレビュアーズ#30】

 

異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメの感想や評価をネタバレ有りで書いていく「アニメレビュアーズ」

 

いま世のオタクを嵐のように賑わせる『ウマ娘』。今回はそのアニメのレビューをしたい。

第1期の放送当時、僕はすでに深夜アニメにどっぷりと浸かっていたが、自分の好みではないだろうとスルーしていた。

だが2021年に入り、TVアニメ第2期が放送&原作のアプリが遂にリリースされて、次々と世のオタクたちを魅了していく様を見ていると、「そんなに面白いのか…?」と気になり始めた。

また、競馬に一切の興味も知識もない僕に対し、オタク仲間が「競馬を知らなくても大丈夫、面白いよハマるから」と勧めてきたので、これは観ておかねばと視聴に踏み込んだ。

 

しかし『ウマ娘』を視聴した結果から言えば、あまり面白いと思えなかった(つまらなかった)し、ハマることもできなかった。

その理由を感想や評価とともに書いていきたい。

 

※本稿は2018年春に放送された『ウマ娘 プリティーダービー』TVアニメ第1期のみの感想・評価・レビューです。

※『ウマ娘』を貶めるつもりは毛頭ありません。ただありのままに視聴して、純粋に抱いた感想を書いただけです。

アニメレビュアーズとは?

 

 

『ウマ娘 プリティーダービー』作品情報

アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』のキービジュアル

©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会
放送時期 2018年4月-6月
話数 全13話
ジャンル スポーツ
アニメーション制作 P.A.WORKS

 

『ウマ娘 プリティーダービー』あらすじ・PV

これは異世界から受け継いだ輝かしい名前と競走能力を持つ
“ウマ娘”が遠い昔から人類と共存してきた世界の物語。
田舎から都会のトレセン学園に転校してきたウマ娘・
スペシャルウィークは、チームメイトたちと切磋琢磨しながら「日本一のウマ娘」の称号をかけて
<トゥインクル・シリーズ>での勝利をめざす!

引用:TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー』公式サイト

 

 

『ウマ娘 プリティーダービー』スタッフ

原作:Cygames

監督:及川啓

副監督:太田知章

シリーズ構成:石原章弘(Cygames)・杉浦理史

キャラクターデザイン・総作画監督:椛島洋介

美術監督:伊藤弘

撮影監督:並木智

色彩設計:中野尚美

3D監督:市川元成

編集:高橋歩

音楽:UTAMARO movement

音楽プロデュース:岩代太郎

音響監督:森田祐一

 

『ウマ娘 プリティーダービー』キャスト(声優)

ペシャルウィーク:和氣あず未

サイレンススズカ:高野麻里佳

トウカイテイオー:Machico

ウオッカ:大橋彩香

ダイワスカーレット:木村千咲

ゴールドシップ:上田瞳

メジロマックイーン:大西沙織

エルコンドルパサー:高橋未奈美

グラスワンダー:前田玲奈

セイウンスカイ:鬼頭明里

ハルウララ:首藤志奈

駿川たづな:藤井ゆきよ

トレーナー:沖野晃司

東条ハナ:豊口めぐみ

 

『ウマ娘 プリティーダービー』評価

評価項目 作画 演出 音楽 声優 ストーリー キャラ 設定・世界観 雰囲気 面白さ
点数 8 8 8 6 7 8 9 7 6

お気に入り度:★★☆☆☆

 オススメ度:★★★☆☆

 

 

ウマ娘がいる世界

ウマ娘1話の冒頭シーン

©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会

最初、僕は「ウマ娘」が普通にいる世界に激しく困惑した。

人間は誰もがそこに「ウマ娘」がいることをなんなりと受け入れている。そして「ウマ娘」も、まるで人間のように社会生活を営んでいる。

なんだこの世界観は!?…と。作品世界内の彼らにとっては”当たり前”だが、僕にとってはまだ”当たり前”ではない。

開幕早々から、僕だけが旧世界に取り残されたような…そんな置いてけぼりを喰らってしまう。

 

ウマ娘1話のスクリーンショット

©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会

そんな困惑は止まらぬまま、ナチュラルに謎の男性が「ウマ娘」に対してセクシャルハラスメントを行うシーンに突入。さらに僕の困惑は加速する。

こんな事も許されるのか大らかな世界なんだな…と思っていると、その直後「ウマ娘」に蹴られる謎の男、いやトレーナー。

ただのオタク向けサービスシーンだったらしい。現実世界では犯罪行為だけど、ありがとうございます。

根っからのオタクである僕はそのような感想を持ったが、今のセクハラに厳しい時代の一般人が観たら引くだろうな…とは思った。

このギャグシーンで完全に「オタク向けアニメ」として作られていることを理解する。

 

そして初っ端から抱いていた困惑だが、時間が経つごとに徐々に慣れていき、2話の中盤辺りでようやく飲み込めた。倫理的な問題から”異世界”に逃げているから、つくづく不思議な世界観だけれど...

伊達に深夜アニメを観て来ていない。まず視聴ハードル第一段階の「ウマ娘がいる世界を肯定し、受け入れる」はクリアすることができた。 

自己分析するに、僕が本作にハマれなかった理由はここには無い。問題はこの先なのだ。

 

理由①:スポコンとは裏腹に展開が順調すぎる

ウマ娘のスペシャルウィーク

©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会

不安を抱えて田舎から一人で出て来た主人公「スペシャルウィーク」は、みるみるうちに友達や仲間が増えていき、序盤から大会で好成績を残していく。

「スペシャルウィーク」最初からコミュ力もレース能力も抜群で、才能しか感じさせない強キャラだったのだ。

ゆえに序盤から次の展開が読めてしまう。「どうせスペシャルウィークが勝つんでしょ?」と。事実、第2話のデビュー戦からいきなり1着を決め込む。

これでは、先天的な才能という甘い根拠と設定だけで突っ走る、俺TUEEE系となんら変わりないじゃないか。スポコンの王道「ビルディングスロマン」の欠片も無い

スポットライトも当たらず「むりぃ~!」と散って行った、才能もないモブウマ娘のことを考えてしまう。

たしかにトレーニングや練習はしていた。ときには挫折に近い躓きもあった。しかしそういった、苦労、苦悩、練習の描写が全然足りてない。日常ドラマや心情描写も薄っぺらい。

だから、大した戦略もなしに、なぜレースで勝てるようになったり、負けたりするのかが解せない。ただ「勝ち!」「負け!」の事実だけが、レースの最後に冷ややかに残る。

それが史実通りだから仕方ないって? 史実通りにシナリオを紡ぐのは構わないが、その結果を説得するだけの材料(苦労や練習の描写の蓄積)が足りてないのだ。

f:id:tayusuto41:20210607025037p:plain

©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会

また、この馬が1着であの馬が最後に抜かれて2着...そういった史実に、誇張したテンプレートの演出や脚本でアニメナイズしているだけのように思える

いや、記号化されたアニメで誇張した演出や脚本は正しい。正しいのだが、誇張され過ぎていて、レース中にまたもや先の展開が読めてしまい、冷めてしまうのだ。

第7話で「サイレンススズカ」にアクシデントが起こるのも、レース前には感づいてしまった。「はいはい、一筋縄では終わらないんだね」と。あまりにも分かり易すぎる。

僕は競馬をやらないのでよく分からないが、競馬って最後まで展開が読めなくて白熱するから面白いんじゃないのか? ボートレース、サッカーなどの他の賭博、スポーツ然り。

アニオリの第13話だってそうだ。最後まで展開が分からず、ハラハラドキドキさせられてつい見入ってしまい、一番良かった回だと思った。全員が同着という結末には「なんだそれー!?こんなのアリかよ!?!?」と驚きを隠せなかったがw

 

本作は、先が読めてしまってレース(試合)展開に白熱できなかった。

弱小ウマ娘の成長強化物語(ビルディングスロマン)かと思いきや、苦悩や練習などの描写の蓄積が足らず、ただ持ち前の才能だけで勝ち進んでいるように見えて、レース結果に感動できなかった。馬にも興味が湧かなかった。

少なくとも僕はそう感じた。だからハマるには至れなかった。

 

 

理由②:そもそも競馬の予備知識も興味もない

そして元々、僕には競馬の予備知識や興味もなかったのである。これがハマれなかった一番の理由であろう。

「レース展開は史実に忠実だ」という前情報しか仕入れてなかったので、1~12話までのレース全てが史実通りなのだと全話視聴後も思い込んでいた(さすがに13話はアニオリだと分かった)。

しかしこのレビュー記事を書くにあたってネットで調べてみると、途中からifストーリーに入れ替わっていたようで、この思い込みは勘違いだと発覚する。

ウマ娘7話のスクリーンショット

©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会

「サイレンスズカ」は最大目標であった天皇賞(秋)のレース中に骨折、そのまま安楽死し競馬ファンからは「沈黙の日曜日」と呼ばれた。だがアニメでは「サイレンスズカ」を生かし、競馬ファンが夢にまで見たレースバトル、そしてここからifストーリーが展開された...知らんがな(´・ω・`)

史実を知っても「ふ~ん、そうだったのか」で終わってしまった。「ウィキを見て泣いた」という感想も聞いたが、「だから競馬の知識がなきゃ楽しめないじゃん」と思ってしまったり。というか、それってアニメじゃなくてウィキの感想だろと。

 

競馬の知識や興味があった人は、アニメを観て楽しめた。競馬の知識や興味が無かった人も、アニメから興味を持って調べて知識を得て楽しめた。

だが僕は、理由①からアニメで競馬に興味を持てなくて調べず、このレビュー記事を書くにあたって色々と調べてようやく知識を得た。

これは作品が悪いのだろうか。いや、無知で興味の対象が狭い僕が悪いのだろう。

つまりハマれなかった最大の理由、原因は僕にあるのだ。僕には合わなかったんだ。

けれど僕は、作品側にも少しは非があると抜かしてみる。「ここはおかしいよね?ここ要らないよね?」と。

 

 

理由③:ライブの必要性を感じない

ウマ娘のライブシーン

©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会

僕は『ウマ娘』第1期を絶賛する人達に問いたい。

ライブシーンは必要だった?

 

ライブシーンが描写されたのは1クールの序盤と終盤のみ。中盤はレースに勝ってもライブシーンはカットされ、そもそも序盤のライブシーンは練習不足で踊ってすらいなかった。

それでライブの練習は、カラオケで自主練って...アイドルを舐めている。どこまでも中途半端だ。

どうやら現実世界の競馬にある「ウイニングラン」を「ウイニングライブ」に置き換えたらしい。

が、ただ原作の「Cygaems」が、アプリにアイマスで培った技術でライブパートを入れて、現実では声優さんのライブイベントを開催したかった…それだけにしか思えない。

取って付けたような商業的な臭いがプンプンする。ウイニングランじゃダメだった...んだろうな、儲けるためには。

 

なぜレースに勝ったらライブをするのか、その必然性や説得力があれば快く納得できるのだが、それが無かったので本作にライブシーンは不要だと思った

ウマ娘が競走馬とアイドルを兼任する世界について行けない...

 

 

理由④:みんな同じ声に聞こえる…

チームリギルのメンツ

©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会

キャスト陣は新人のアイドル声優から、そこそこキャリアのある若手声優までいる。

しかし、キャラクターの声がみんな揃いも揃って同じに聞こえるのだ。ほとんどのウマ娘は、高い方 or 低い方 の判別しかつかない。

自分でもびっくりした。アニメに興味のない親が言う「全員同じ声に聞こえる」とはこういう事なのかと。

だから第11話でサンバイザー(CV釘宮理恵)が登場したときは、ようやく特徴的で分かりやすい声が来たと安堵した。声と演技だけで伝わるこの唯一無二の個性は、今の若手声優の誰にもまだ出せない。

 

 

理由⑤:「P.A.WORKS」制作のわりに映像が…

ウマ娘の作画崩壊

気になった作画・作画ミス ©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会

本作のアニメーション制作を担当したのは、オリジナルアニメと映像美に定評のある「P.A.WORKS」

しかし、日常シーンや遠回しのシーンなどで、作画がおぼつかない点が少なからず見受けられた。とくに顔の造形には違和感を感じることが多かった。

正味、他の「PA」制作アニメと比べると、映像レベルは雑くて劣っている。若い制作会社がそれなりの予算で作った深夜アニメのようで、「PA」の個性もあまり発揮されてない。

「P.A.WORKS」は、2014年の『凪のあすから』『SHIROBAKO』を絶頂期に、徐々に衰退している気がするのは気のせいだろうか?

 

これは2021年4月以降に視聴したから書けることだが、制作会社が変更された「Season2」は何の問題もなく、むしろ第1期より評価が高いのだから、これなら最初から「PA」制作で無くてもよかったんじゃ?…とまで思ってしまった。

そして「Cygames」がプロジェクト立ち上げ当初、ただ「アニメはPA制作」のブランドが欲しかっただけなのでは?…と邪推してしまったり。

サイレンススズカの疾走シーン

©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会

ただし、レースシーンの作画は非常によく動いている。重要なシーンは決して落とさない。

基本映像レベルは悪くないのだ。もっと酷い作品は数え切れないほどある。

 

 

理由⑥:音響の問題

観客席のシーン

©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会

僕は「Amazon Prime Video」で全話視聴したのだが、観客席でウマ娘やトレーナーたちが会話するシーンの会話内容が、観客のデカい歓声で全然聞こえなかった

何度も何度もリピート再生して、ようやく会話の内容が聞き取れた。

これは制作側の音響の問題だろうか? もしくは「Amazon Prime Video」側のセッティングの問題か? それとも”そういう”演出意図なのか?

これに関しては作品の評価に入れるほどでもない些細な問題だが、視聴ペースを止められて違和感を覚えたのは確かだ。会話は聞き取りやすくあってほしい。

 

 

競走馬の擬人化&萌え美少女化について

「ウマ娘がいる世界」の項で述べたように、競走馬を擬人化&萌え美少女化してコンテンツにする、というアイデアは面白いと思うし賛成だ。

根っからのオタクなので、「気持ち悪い」とか「生理的に無理」とかは思わない。

しかも実際の競走馬のストーリーや性格をしっかり把握し、アニメのキャラクターにきちんと当て込んでいる。

史実を調べたうえで、競走馬に対するリスペクトは伺えた。キャラクターデザインも可愛い。

ただ、擬人化するにあたって騎手(ジョッキー)の存在はどうなったんだと気になっていたが、どうやら騎手の性格が反映されているシーンもあったらしい。ふ~んそうなのか。

ウマ娘のサイレンススズカ

©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会

個人的に一番のお気に入りキャラは、やっぱり「サイレンススズカ」。ワンピースの部屋着姿がめっちゃ可愛い。

この中から推しを選べ!さもなければケツの穴溶接して、頭に別なケツの穴こさえてやる!…と脅されたら、僕は「サイレンススズカ」を選ぶ。

 

 

「うまぴょい伝説」の中毒性

音楽は普通に良い。

OP曲「響けファンファーレ」も結構気に入っているのだが、最終回で流れた「うまぴょい伝説」には、なんじゃこりゃと落雷が走った。

これが一番の収穫かも。中毒性があり過ぎて、最終回を観てから定期的に聴いている。そう、これを書いている今も... 

 

 

まとめ:僕は『ウマ娘』が嫌いではありません

アニメ『ウマ娘』評価

※点数は評価点数+お気に入り度+オススメ度の合計(100点満点)

本稿を書くにあたって、『ウマ娘 プリティーダービー』に対する様々なレビューを読んだ。

否定的な意見の多くは、馬の擬人化に対しても「生理的に気持ち悪い」の一言で片付け、本作の世界観を受け入れるという視聴ハードル第一段階で躓いているものばかりだった。

違う、そこじゃない。僕はそこじゃないんだ。

本作の世界観や設定は受け入れられたんだけど、その先からがどうにも合わなかったんだ。視聴を折り返す地点で、残り半分を観るのがなかなか進まなかった。

おおよその合わなかった原因は、趣味・知識・興味が偏っていて冷めた性格で思考が捻くれていて無知な僕にあると思っている。

そういや、『ラブライブ!』も1クールで9回ほど寝落ちするという大罪を犯したし、『鬼滅の刃』もそこまでではない。どこか一般人とは感覚が離れていて、何かが欠落しているのかしら?

でもこれがそんな僕の率直な感想なのだ。

同じように題材となったスポーツの知識や興味がなくても、『ユーリ!!! on ICE』という作品は楽しんで視聴することができた。この違いは何なのやら。男ばかり?ノンケだよ?

 

僕の結論としては、「細かい所は気にしない!競馬の知識があるなら楽しめる、純粋なオタク向けアニメ」

競馬の知識も興味もないなら、好き嫌いが分かれるかもしれない。まあほとんどの人は好きになるようだが...

 

深夜テンションのノリでぬるぬるとタイピングが進み、かなりの辛口になってしまったが、僕が1話~12話のレース全てが史実通りだと思い込んでいた如く、勘違いはしないでほしい。

僕は『ウマ娘』が嫌いではない。嫌いだったら8000文字も文章を書いてない。

また本稿では、純粋になぜ僕はハマることができなかったのかも問いたい。僕には誤読する自由があるけれど、「それは見当違いだよ」「そこはそうかなぁ~?」「ここが良いんだよ!」などと思う所があれば、是非コメント欄にご意見を。

世のアニメ・競馬ファンたちが『ウマ娘』で盛り上がっている中、水を差すような事になっていたらごめんなさい。

 

俺を置いて先に行け、ここからはお前の物語だ...

 

 

『ウマ娘 プリティーダービー』を配信で観る

PCの方は、125%に拡大して閲覧することを推奨します。