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【ネタバレ無&有2タイプ】脚本の違和感が止まらない 『竜とそばかすの姫』感想・評価・レビュー【アニメレビュアーズ#36】

 

異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメをネタバレ有りでレビューしていく「アニメレビュアーズ」

 

2021年7月16日に公開された細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』を、あまりアニメを嗜まない友人に誘われて、公開2日目で観に行ってきた。

ので今回は、その『竜とそばかすの姫』の感想・評価・レビューである。

『竜とそばかすの姫』チケット

まだ公開から一週間も経ってないゆえ、基本的にはネタバレ無しで感想を書き、それを補完する形でネタバレ有りVer.の感想を書いていく。

ネタバレ有りVer.の感想は、ボタンをタップしないと見られないようにしている。

だから、まだ映画を鑑賞してなくても最後まで読める記事に仕上げているので、ネタバレ配慮の点は安心してほしい。

 

【アニメレビュアーズとは?】

 

『竜とそばかすの姫』作品情報

『竜とそばかすの姫』キービジュアル

©️2021 スタジオ地図
公開日

2021年7月16日

上映時間

2時間1分

ジャンル

SF/青春

アニメーション制作

スタジオ地図

 

『竜とそばかすの姫』あらすじ・PV

50億人がすれ違う美しくも残酷な仮想世界。ベルの歌声は世界を変える――

自然豊かな高知の田舎に住む17歳の女子高校生・内藤鈴(すず)は、幼い頃に母を事故で亡くし、父と二人暮らし。母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。

曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、親友に誘われ、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することに。<U>では、「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作り、まったく別の人生を生きることができる。歌えないはずのすずだったが、「ベル」と名付けたAsとしては自然と歌うことができた。ベルの歌は瞬く間に話題となり、歌姫として世界中の人気者になっていく。

数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日。突如、轟音とともにベルの前に現れたのは、「竜」と呼ばれる謎の存在だった。乱暴で傲慢な竜によりコンサートは無茶苦茶に。そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベル。一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。やがて世界中で巻き起こる、竜の正体探しアンベイル。

<U>の秩序を乱すものとして、正義を名乗るAsたちは竜を執拗に追いかけ始める。<U>と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、竜を二つの世界から排除しようという動きが加速する中、ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願うが――。

現実世界の片隅に生きるすずの声は、たった一人の「誰か」に届くのか。二つの世界がひとつになる時、奇跡が生まれる。

【引用:公式サイト】

 

 

『竜とそばかすの姫』スタッフ

原作・脚本・監督:細田 守

企画・制作:スタジオ地図

作画監督:青山浩行

CG作画監督:山下高明

CGキャラクターデザイン:Jin Kim、秋屋蜻一

CGディレクター:堀部 亮、下澤洋平

美術監督:池信孝

プロダクションデザイン:上條安里、Eric Wong

音楽監督/音楽:岩崎太整

音楽:Ludvig Forssell、坂東祐大

衣装:伊賀大介、森永邦彦、篠崎恵美

 

『竜とそばかすの姫』キャスト(声優)

すず/ベル:中村佳穂

竜:佐藤健

しのぶくん(久武忍):成田凌

カミシン(千頭慎次郎):染谷将太

ルカちゃん(渡辺瑠果):玉城ティナ

ヒロちゃん(別役弘香):幾田りら

ジャスティン:森川智之

イェリネク:津田健次郎

スワン:小山茉美

ひとかわむい太郎・ぐっとこらえ丸:宮野真守

吉谷さん:森山良子

喜多さん:清水ミチコ

奥本さん:坂本冬美

中井さん:岩崎良美

畑中さん:中尾幸世

すずの父親:役所広司

 

『竜とそばかすの姫』評価

評価項目 作画 演出 音楽 声優 ストーリー キャラ 設定・世界観 雰囲気 面白さ
点数 10 8 7 6 5 7 9 7 6

お気に入り度:★★

 オススメ度:★★

 

 

ネタバレなし『竜とそばかすの姫』感想

映像◎

手描きは劇場クオリティで言わずもがな。

細田守監督作品では本作から本格的に導入された「3DCG」のレベルが非常に高い。手描きと遜色ないほどだ。

現実世界 ⇒ 手描き、仮想世界 ⇒ 3DCG…の使い分けも良い。

 

世界観〇

ベルなどの衣装デザインは高尚で美しく、モブアバターのバラエティーも豊富で、色とりどりの「U」の世界にはそれなりの見応えがあった。

観るたびに新しい発見がありそうだ。

 

ただ、細田守監督作品を追い続けていると既視感しかない。

仮想世界「U」は、完全に『サマーウォーズ』の仮想世界「OZ」なのだ。

あの赤い輪郭線で紡がれた仮想世界のアバターも、髪の毛が異様に長いモフモフの獣キャラも、もう見飽きた。真新しさはあまり無い。

 

音楽〇

音楽は良い。一番最初にかかる壮大な曲で、スクリーンに惹きつけられる。

しかし音楽のほとんどは、僕にはあまり響かなかった。

「サントラは買う」という声がちらほら聞こえるほど音楽は好評のようだけど...

J-POPのトレンドを抑えたような歌唱曲が目立ったので、YOSABIやAdoなどの今流行りの邦楽が好きな人は、心を掴まれるかもしれない。

 

声優〇

メインキャラクターの演技は上手と言えるほどではなく、主人公・すずの演技には最初「下手だなぁ…」と思った。

典型的な「声優ではないが人前に出るプロのアフレコ」という感じだが、キャラクターに合ってない訳ではないし、これは徐々に慣れてくる。

ジャスティン役の森川さんが一番安定しており、アフレコの上手さが際立っていたが、悪に仕立て上げられる不憫な役だったなぁ...

 

脚本△

脚本(シナリオ)が微妙。

矛盾点やツッコミどころなど引っかかる箇所が多々あり、時系列もバラバラで見づらく、「何が起きてるの…?(作中のセリフから引用)」となることがしばしば。

引っかかっても無論説明がないため、引っかかりを感じたまま置いてかれて、そそくさと展開は進んでいく。

それがかなりの苦痛で、途中から映画館に腰を据えているのが辛くなり、早く終わってくれ…とさえ思ったほどである。2時間がえらく長く感じた。

 

脚本の粗を演出でごまかそうとしているが、僕は騙されない。

映像は一流なのに、粗さが目立つ脚本が作品全体をひっちゃかめっちゃかにしている。

 

唯一「応援してます!」のくだりだけはめっちゃ良かった(詳しくはネタバレありの感想で)。本題よりそっちの二人が気になる...

 

細田守らしさ

親と子(家族)の物語や主人公の成長、仮想世界というインターネットを肯定的に描き、現実の社会問題に問題提起している部分は、とても細田守監督らしいと思った。

『劇場版デジモンアドベンチャー』から『未来のミライ』まで、細田守監督作品のすべてが感じられる。

 

ただ、どう見てもキャラクターのCGデザインは『ディズニー』であり、見せ場であろうベルのミュージカルシーンは『アナ雪』だった。

そう思うのもそのはず、本作のCGキャラデザは『ディズニー』で数々のキャラクターをデザインしたアニメーターである。

ゆえに細田守監督の総決算的作品かどうかと問われると、非常に怪しい。

細田守監督の最新作にしても、その過去作を引き合いに出した広告が誇大にも思えるほど脚本が難だ。

 

 

ネタバレあり『竜とそばかすの姫』感想

ネタバレ無しの感想を補完する程度。

もう『竜とそばかすの姫』を観たよ!…という人だけ読んで行って下さい。

 

映像について気になる所

すずがゲロを吐くところをモロ見せるシーンには衝撃を受けた。主人公はゲロイン...

放送コードが存在しない映画だから成し得る表現だが、後々地上波で放送されるとしたらどうなるのだろう。

 

演出について気になる所

誰かも分からない人のスマホ画面を映し、いま世界はこういう意見を持った人が多い…という”世界の声”を説明する演出がある。

この演出を多用されるのがうんざりする。ワンパターンしかないのだ。

しかも”世界の声”は、悪い意見には無責任に同調し、批判できる隙があるものには徹底的に批判する。

これは自分の作品に寄せられる批判にストレスを抱える細田守監督の現れかもしれないが、大衆を意図的に分かりやすく悪く描いているのが僕は嫌だった。

 

ツッコミどころ

たとえば、ヒロちゃんが「人はみんな秘密を隠してるものねぇ~」的なセリフを言い、すずがそれに同調するシーン。

「いやお前が一番デカい秘密を隠してるだろ!」と内心ツッコみつつ苛立っていた。

 

あと、竜の家を特定するまでの展開が都合よすぎる。

たまたま竜の弟がライブ配信していて、たまたま竜しか知らないベルの曲を歌っていて、たまたまそれをヒロちゃんが見つけて、たまたまカミシンがその場所を知っていて...”50億分の1”というとんでもない確率を一瞬で見つけてしまう。

そこにロジックが存在しないのは、超然的な偶然の連発による”奇跡の夢物語”だからだろうか。

となると、リアリティを突き詰めた映像や現実世界の描写、現実の社会問題に対する問題提起は何だったのか、となってしまう。

 

また、竜の正体が「そ、そこかよ…!」と思いもしない所にぶっ飛んだのは、もうめちゃくちゃだった。竜の正体がしのぶ君という一番寒い展開は免れたが...

突然差し込まれる、母が死んで片親だったり、毒親に虐待を受けていたりするアニメで何万回も見たような境遇にも、感情は揺さぶられないし同情すらできない。

ただ竜を被害者に仕立て上げ、同情を誘って泣かせるための要素としか思えないのだ。

 

「応援してます!」のくだりがめっちゃ良い

ルカちゃんがカミシンに「応援してます!」と気持ちを伝えるが、それが告白になってしまうというくだり。

すずがカミシンに言った「応援してます!」との対比がとても良かった。

駅のホーム、ルカちゃんが赤面を両手で覆い隠す”長回し”がじわじわ来る。ルカちゃん天使かよ。

けれども、「応援してます!」と女の子に言われて「コイツ俺のことちょっとは好きなんじゃない?」と思う男性キャラには魅力を全然感じない。

 

まとめ:うん、微妙…!

あまり深い内容までは触れず、なるべく簡潔に”率直な感想”をまとめてみた。

受け取った作品からあれこれ考える「考察」の類も好きではないので、そういう濃厚なレビュー記事は他のブログにお任せしたい。

個人ブログではそういうレビュー記事の方が多いだろうし、差別化も兼ねて。

 

 『竜とそばかすの姫』は酷評するほどでもないが、傑作とも良作とも言えない。

PVを見た時点で「あまり面白くなさそう…サマーウォーズの焼き直しかな?」と期待してなかったので、ガッカリ感はない。「まぁ、そうだよね…」というのが最初に生まれた感想である。

感情で観るなら楽しめるかもだが、理屈で観るとかなりキツイものがある。

お金を払ってまで鑑賞することは勧めないが、どうしても観たいならどうぞ、という感じだ。

 

余談だが、一緒に観に行った友人に感想を聞いたところ「良かった」との事で、800円のパンフレットを購入し満足気であった。 

僕はそれを見て、観に来てよかった…と思った。

 

 

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