異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメをネタバレ有りでレビューしていく「アニメレビュアーズ」。
今回は、ギャグアニメのおすすめ作品としてよく名が挙がる『男子高校生の日常』の感想と評価だ。
このブログのプロフィール欄にも書いてある通り、筆者は男子高校生だ。
ので現役男子高校生(オタク)の視点から、アニメ『男子高校生の日常』をレビューして行きたい。
『男子高校生の日常』作品情報
放送時期 | 2012年1月-3月 |
話数 | 全12話 |
ジャンル | ギャグ/コメディ |
アニメーション制作 | サンライズ |
『男子高校生の日常』あらすじ・PV
真田北高校(男子校)に通うタダクニ、ヒデノリ、ヨシタケを中心に、とてつもなくバカだけど、なぜか愛らしい男子高校生たちが繰り広げるハイスクールリアルライフコメディ!
『男子高校生の日常』スタッフ
原作:山内泰延(掲載「ガンガンONLINE」スクウェア・エニックス刊)
監督・音響監督・脚本:高松信司
副監督:吉村愛
キャラクターデザイン・総作画監督:湯本佳典
美術監督:田尻健一
色彩設定:柴田亜紀子
撮影監督:大矢創太
編集:小野寺絵美
音楽:Audio Highs
製作:「男子高校生の日常」製作委員会
『男子高校生の日常』キャスト(声優)
タダクニ:入野自由
ヒデノリ:杉田智和
ヨシタケ:鈴村健一
文学少女:日笠陽子
りんごちゃん:悠木碧
タダクニの妹:高垣彩陽
モトハル:浪川大輔
唐沢:小野友樹
副会長:安元洋貴
会長:石田彰
ミツオ:岡本信彦
奈古さん:皆川純子
ヤナギン:小林ゆう
羽原:ゆかな
生島:斎藤千和
ヨシタケ姉:小清水亜美
モトハル姉:早水リサ
ヤスノリ:高梨謙吾
校長:石原凡
救世主:福山潤
眼鏡:梶裕貴
茶髪:櫻井トオル
担任:三石琴乃
たかひろ:森久保祥太郎
ラバーシューター:朴璐美
少年ヒデノリ:三瓶由布子
羽原兄:関幸司
ユウスケ:櫻井孝宏
先輩:伊藤静
由香奈:米澤 円
『男子高校生の日常』評価
評価項目 | 作画 | 演出 | 音楽 | 声優 | ストーリー | キャラ | 設定・世界観 | 雰囲気 | 面白さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
点数 | 7 | 7 | 6 | 7 | 7 | 8 | 8 | 7 | 7 |
お気に入り度:★★★☆☆
オススメ度:★★★☆☆
共感を含めてギャグアニメとしての面白さを
本作はバカな男子高校生のくだらない日常をギャグテイストに描いた作品であるが、
男子特有のノリやギャグ、男子高校生という生き物のバカさやくだらなさをきちんと描けている。
序盤は、兄妹のいる友人宅で妹ちゃんの下着を履いたり、登下校時にドラクエごっこで遊ぶなどバカしたり、ガタイの良いバイト先の女先輩をオンナとして見なかったりなど、「あるある~!」と共感できるエピソードが多かった。
キャラクターの会話や行動にも「うんうん男子高校生ってそんな感じ」と思えて、その自然さが面白さにも繋がっている。
しかし回を追うごとに「ねーよ!」の方が勝ってくる。
ネタが斬新すぎてフィクションの世界の出来事になりがちなのだ。
とくにヒデノリ関連のエピソードは幻想である。
他校の女子高生のホクロ毛を指摘したら笑顔で感謝されたり、田舎町で白ワンピースの少女とイイ感じになったり...
文学少女のエピソードは絶対にあり得ない。ヒロインは可愛いかったけども。
男子校のバキバキ童貞メガネのヒデノリがモテすぎだろ...
最終的な作品全体の共感比率は「あるある2割:ねーよ8割」。
視聴者への共感より、ギャグアニメとしての面白さに重きを置いたのだろうか?
あるあるを期待して視聴すると多少痛い目を見るが、純粋にストレートなギャグアニメを期待すれば、期待通りのものが帰ってくる作りだ。
日常のなかのギャグとパロディ
またギャグに関しては、かなり雑で短絡的である。ぐちゃっとしたギャグがストレートに伝わってくると表現するべきか。
それがキマるときはクスッと笑えるのだが、たまに落とし所が謎すぎて「そこがオチなの!?」と驚かされることがある。
1エピソードの尺をさらに長くし、もっと詳しく描いてオチをブラッシュアップしてくれと思うエピソードが多かった。
一番丁寧で制作陣の気合が入っていたのは、ザクのパロディとドラクエごっこというw
原作出版社「スクウェア・エニックス」と、アニメーション制作担当「サンライズ」のコラボ作品だから実現できたパロディだ。セルフパロディに近い。
男子高校生を尋常に描く一方、女子高生を異常として描き、男子高校生と女子高生の対比構造を作り上げていたのも面白かった。
その代替に、女子高生の多数はリアリティが欠損しており、凶暴なギャグキャラに極振りしていたが。
特別Cパートの「女子高生は異常」のコーナーは強烈で、たびたび本編の男子高校生を食う攻撃性を秘めていた。
ギャグのテンポ感はわりと緩めだが、その緩慢さから男子高校生の”日常”のだらしない部分が感じられ、タイトルから逸脱しない範囲に収まっている。
テンポが速かったらただの”男子高校生のギャグ”になり、”日常”の要素が消え去ってしまう。その点を制作陣は分かっていたようだ。
作画は低カロリーで
作画に関してはあまり動かず、キャラクターの線は少なめで、止め画や使い回しが多い(ボールを3人で回す謎のスポーツとか)。
とことん手を抜いて...いや、低カロリーなアニメだ。悪くはない。
演出もギャグアニメの定番ばかりで、良くも悪くも”平凡”。
またキャラクターデザインが似通っているため、キャラクターの名前がごっちゃになる。
目が描かれてないのに女子高生が可愛く見えるのは評価できる。
豪華ゆえ声優が前に出すぎな気も
キャスト陣はかなり豪華だ。
僕が作った「声優世代表」で言うところの、第5~6世代のキャリア豊富なベテランがメインを張り、第7世代辺りの当時新人声優がサブキャラを担当(今では立派な人気声優)。そしてちょい役には三石さんなどの大御所が。
しかし作画が低カロリーなせいもあってか、主役の入野自由さん以外、キャラクターより声優さんが前に出てしまっている。
キャラクターの声というより、演技している声優さんその人に聞こえてしまった。
これは声優知識があるがゆえの弊害やもしれないが、「声優」の観点からだと惜しいなと感じた。
あと声優とは関係ないが、OP・EDが酷い。
映像はまだしも、楽曲はギリギリ聴けるレベルのクオリティ。
OP曲は三流ロックバンドとのタイアップソングのようで、ED曲は中学生が適当に作ったような詞と旋律が耳をつんざく。
まあどうやら放送当時、炎上するほどのアクシデントがあり、当初のEDテーマ担当のアーティストが放送直前で変更になったようで。きっと切羽が詰まっていたのだろう。
まとめ:男子高校生以外も観られるギャグアニメ
経験者である男子と、傍観者である女子の共通認識に当たる「男子高校生」の日常ギャグが描かれている。
そして良心的なキャラクターばかりで、過激な下ネタも控えめなので、年齢や性別を問わず万人が観れる作品だなと思った。
雑なノリとギャグ、低カロリーな作画、声優の使い方、音楽の流し方、CMの編集など...
『銀魂』に限りなく近いテイストで、高松監督を存分に感じた。
個人的には『銀魂』があまりハマらなかったので予想できていたが、本作もあまりハマらなかった。
裏を返せば、『銀魂』などの高松監督ギャグアニメが肌に合う人は、本作とも相性バッチシなのではないか。
ギャグアニメとして良作の域にあるのは間違いない。