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このアニメがダメな4点と、3つの改善案 アニメ『カノジョも彼女』感想・評価・レビュー【アニメレビュアーズ#47】

 

異種族の風俗をファ〇通レビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメをネタバレ有りでレビューしていく「アニメレビュアーズ」

 

今回は、『アホガール』などで知られるヒロユキ先生が週間少年マガジンで連載中のコミック。そのアニメ化作品にあたる『カノジョも彼女』の感想・評価・レビューだ。

原作は1巻だけ読んだことがあるものの、アニメに関しては不安要素が幾つもあり、放送前からあまり期待はしていなかった。

そして全話観終えても、その不安に感じていた要素は1つも覆らなかった。

酷いアニメだ。気持ち悪いとまでは行かないが、全体的に低レベルでつまらない。

 

では、このアニメはどこがダメだったのか?

本稿では、上記の赤線の感想を掘り下げつつ、ダメな箇所を挙げながらこのアニメを”酷評”していく。

この作品が好きな人はここでブラウザバックすることを推奨する。

 

アニメレビュアーズとは?

 

『カノジョも彼女』作品情報

アニメ『カノジョも彼女』キービジュアル

©ヒロユキ・講談社/カノジョも彼女製作委員会2021
放送時期 2021年7月-9月
話数 全12話
ジャンル ラブコメ/ギャグ
アニメーション制作 手塚プロダクション

 

『カノジョも彼女』あらすじ・PV

主⼈公、直也は⾼校1年⽣。

ずっと好きだった咲に告⽩し、彼⼥になってもらうことに成功。幸せの絶頂にいた。

しかし、そんな直也に美少⼥・渚が声をかける。彼⼥はいきなり、直也に付き合ってほしいと告⽩を迫るのだった。

渚のあまりのいい⼈ぶりに⼼が揺れる直也は、ある決断をする…!!

まさかの選択から始まる、ネオスタンダードラブコメ!!

引用:TVアニメ「カノジョも彼女」公式サイト

 

 

『カノジョも彼女』スタッフ

原作:ヒロユキ(講談社「週刊少年マガジン」連載)

監督:桑原 智

シリーズ構成:大知慶一郎

脚本:大知慶一郎、犬飼和彦、森田眞由美

キャラクターデザイン・総作画監督:豊田暁子

美術監督:斉藤雅己

色彩設計:油谷ゆみ

撮影監督:木村俊也

編集:内田 渉

音響監督:本山 哲

音楽:櫻井美希、斎木達彦、青木沙也果

 

『カノジョも彼女』キャスト(声優)

向井直也:榎⽊淳弥

佐⽊ 咲:佐倉綾⾳

⽔瀬 渚:和氣あず未

星崎理⾹:⽵達彩奈

桐⽣紫乃:⾼橋李依

 

『カノジョも彼女』評価

評価項目 作画 演出 音楽 声優 ストーリー キャラ 設定・世界観 雰囲気 面白さ
点数 7 5 7 7 6 8 8 7 6

お気に入り度:★★☆☆☆

 オススメ度:★★☆☆☆

 

 

ダメな点その①:シリーズ構成・テンポが悪い

アニメ『カノジョも彼女』第1話

©ヒロユキ・講談社/カノジョも彼女製作委員会2021
二股を懇願する第1話のシーン

まず第1話は、主人公・直也が二股を始めて三人で同棲を開始し、咲と渚がお風呂を上がって直也とバスタオル姿で言い合いするところまでが描かれる。

続く第2話は、咲と渚がパジャマに着替えるシーンから始まり、3人が布団で川の字に寝るだけでAパート終了。

Bパートは翌々日の学校の昼休み、渚が直也と咲に弁当を持ってきたところで幕を閉じ、学校の屋上で弁当を食べるところから第3話が始まる。

うん、1話の区切る所がおかしい。ちゃんとしたオチをつけず、ひと続きの話の流れをぶつ切りするのも、会話の途中で分断するのもアウトだ。

それに1話ごとの内容が薄く引き伸ばされたように感じられ、シナリオの進行と会話のテンポが劣悪である。

夕暮れの土手で、直也・咲・渚の3人がミリカへの対抗策を考えて会話するだけの第9話Bパートは、「中身スッカスカ」以外に表現のしようがない薄味だった。

 

この『カノジョも彼女』というラブコメディ作品は、とにかく”バカ”なのだ。一貫して作者により意図された”バカ”をやっている。

だが、”バカ”な作品はギャグの勢いと破壊力、そしてサクサクと小気味よいテンポ感がなければ面白くない。ギャグ・コメディは”テンポ”こそが命なのである。

原作は自分の好きなテンポで読める漫画だが、これは否が応でも時間が進んでいくアニメだ。

 

こうなってしまった要因は、原作の連載開始からわずか1年でアニメ本放送という「爆速アニメ化」にあると思う。

普通、アニメの企画から本放送までに2~3年は掛かるはずだ。突貫工事だったのが伺える。

また原作ストックはアニメ放送前の段階では4巻で、この1クールでは4巻の内容までがアニメ化されたが、たったこれだけの内容で30分×12話のアニメを作るのは無理がある。

アニメオリジナルで物語を水増しすれば良かったかもしれないが、そんな時間は到底無かっただろう。もし時間があったとしても、そんな技量や考えがあったのかすら疑うレベルだが...

せめて尺が半分――1話15分だったら、テンポが詰められて内容を引き伸ばす必要もなかったはずだ。

ヒロユキ先生の歴代作品『ドージンワーク』『マンガ家さんとアシスタントさんと』『アホガール』...

どれも1話15分の尺だったし、原作ストックも十分にある段階でアニメ化されていた。

本作もそのレールに乗せてアニメ化していればよかったものを。

 

 

ダメな点その②:チープな演出

アニメ『カノジョも彼女』の演出

©ヒロユキ・講談社/カノジョも彼女製作委員会2021

演出がチープかつ一辺倒なのも酷く、映像的にも退屈で飽きやすい。

注目させたいカットはすべてキャラクターの背景をフィクション的なものに差し替え、横線・縦線・集中線の乱発、簡易的な文字や謎の記号を配置しまくる、高速ティルトアップ・ティルトダウンの多用。

アニメ『カノジョも彼女』のヒロインたち

©ヒロユキ・講談社/カノジョも彼女製作委員会2021
目がチカチカする

ヒロインを可愛く見せたいときは、キラキラや透明丸でとにかく煌びやかな画に。

また、チープな演出でギャグを誇張しては無暗に引き伸ばしているおかげで、

ギャグのもつ勢いと破壊力が緩和されてしまい、バカバカしさだけが強く残る。

ここでも原作ストックの浅さが仇となり、テンポの劣悪さに拍車をかけている。

 

演出面に関して、手塚プロダクションは『五等分の花嫁』第1期から何も成長してないことが分かった。

いつまでYouTuberの動画やソシャゲみたいな演出をやっているんだ。

漫画をただ誇張して動かすだけのアニメは三流である。

 

 

作画について

しかし作画に関しては、『五等分の花嫁』の反省をいかしてだいぶ改善しているのが伺える。

キャラクターデザインは可愛いし、静止画や寄り画は頑張っている。だが、キャラクターの動きが所々拙く、引きの画も怪しい。それほど動いているわけでもない。

表面上は綺麗に取り繕っているが、詰めが甘い印象だ。

「萌えアニメは最悪作画さえよければいい」と思っているが、「作画」とは動画作業も含まれた用語なので、このアニメを「作画が良い!」と言い切るには憚られる。

エンディングのスタッフロールを見てみると、作画工程は英語や中国語の名前が多い。ほとんど外注じゃないか。

どこぞの幼馴染が絶対に負けないラブコメみたく、外注の原画マンが一番優秀なパターン...

いやいや、作画を外注に任せたほうがクオリティが上がると判断した「手塚プロダクション」こそが優秀だから()

 

ダメな点その③:透けて見える”ご都合主義”的なシナリオ

本作に対するレビューを色々と見ていると、「二股が気持ち悪い」という本作の根本から否定するような意見がよく目についた。

僕の感想は、本作は大前提として「何人もの女の子と多重交際する話」なので、主人公が二股をしたり、美少女に囲まれたりするのは許容できる。

だがしかし、あまりにも”ご都合主義”がすぎる。

最初から付き合っている女の子が二股を受け入れる流れや、キャラクターたちに同棲をさせたいがために邪魔な親という存在を排除する設定など。

アニメ『カノジョも彼女』第3話

©ヒロユキ・講談社/カノジョも彼女製作委員会2021

極めつけはキャラクターたちの倫理的判断だ。

ずっと好きだった咲とようやく恋人になれた直也は、ある日自分のことを好きだと言ってきた渚を受け入れ、咲も彼女の健気な姿にほだされて二股を受容する。

数日後、二股している現場を発見した同級生・ミリカが、裏でYouTuberをやっているという弱みを握られながらも、直也に惚れたと積極的にアタックしてくる。

けれども、直也はその告白を振るし、咲もミリカの介入を拒絶する。

渚も、自分は付き合っている男女に割り込んだのに、ミリカの存在は受け入れない。

なぜ渚はイイのにミリカはダメなのか、なぜ二股はイイのに三股はダメなのか。

それが私には分からない。ずっと喉の奥で引っかかる。

一人と付き合うのと二股は全然違うけど、二股と三股はもうほとんど同じだろ...と僕は思うのだけど。

直也 ⇒ 二人を幸せにするのが精一杯、咲と渚 ⇒ 直也を二人だけのものにしたい。こういう事? だとしても理解に苦しむ。

アニメ『カノジョも彼女』ミリカ

©ヒロユキ・講談社/カノジョも彼女製作委員会2021

他方の三人から差別されているミリカは、自らキスをしたり胸を当てたりとあれだけ直也を誘惑しておきながら、いざ攻められたら裸は見せたくないしキス以上はダメだという。

コイツもどういう貞操観念をしているんだ。少年誌(マガジン)における規制ラインを体現するかのよう。

そもそも、直也に好意を抱いて固執する理由からしてよく分かってないのだが。直也本人だって「こんな二股をしている最低野郎」と言っているだろう。

 

もしここが異国や異世界、時代が異なるなら倫理観も違うため、以上の指摘は問題にならない。

だが本作は明らかに「現代の日本」、もしくはモチーフにした世界を舞台にしている。

直也が「二股は褒められたものではない」と認識しているのが、現代の日本社会で生きている何よりも証拠だ。

同じ時代に生きる日本人からもう一度言わせてもらう。

キャラクターの倫理的判断の線引きがぐちゃぐちゃで意味不明。作者がこういう展開にしたいという”ご都合主義”が透けて見える。

これは原作からの問題である。アニメでカバーもできてない。

 

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ダメな点その④:キャスティングの甘さ

アニメ『カノジョも彼女』主人公・直也

©ヒロユキ・講談社/カノジョも彼女製作委員会2021

単刀直入直に言わせてもらう。

主人公・直也役の榎木淳弥さんが合ってない。上手い下手の問題ではなく、合う合わないの問題。

今をときめく榎木淳弥さんはリアリティのある演技が上手く、リアル寄りな作品との相性がいい。『呪術廻戦』の虎杖 悠仁役や『SSSS.DYNAZENON』の麻中 蓬役の演技は素晴らしかった。

しかし本作に求められているのは全くの逆、わざとらしく誇張した演技だ。宮崎駿が嫌う、オタクに媚びるようなやつである。

榎木淳弥さんからはそういう演技をしようという熱意は伝わってくるのだが、いかんせん合っている気がしない。

これはキャスティング側に問題があると思う。

いくらヒロインがメインのラブコメと言えど、ヒロインたちと同程度のセリフ量と存在感が主人公にはあるから無視できない。

 

一方で、誇張した演技が上手い声優さんだと思っている咲役・佐倉綾音さんやミリカ役・竹達彩奈さんは、

本作との相性はいいけれど、リアル寄りの作品ではどうしても浮いているように感じる。

ただ、本作のキャラクターと声が合っていたかどうかは、いささか疑問が残るが。

『五等分の花嫁』を彷彿とさせる、可愛い人気若手女性声優の寄せ集めみたいなキャスティングで、「とりあえず人気声優使っとけば人気出るでしょ」という安直な考えが見え見えである。

 

ちなみに、本作の放送前に投稿した2021年夏アニメ期待値ランキングの記事で、「どうせヒロインキャストで声優雑誌の表紙を飾り、堂々と宣伝するんだろ?」と書いたら、数ヶ月後ものの見事に的中したw

声優さんに罪はない...

声優グランプリ2021年9月号

 

【超個人的感想】紫乃がとてつもなく可愛い

アニメ『カノジョも彼女』桐生紫乃(シノ)

©ヒロユキ・講談社/カノジョも彼女製作委員会2021

第1話から咲の親友としてちょくちょく登場し、4人目のヒロインとしてキービジュアルにも大々的に描かれている「桐生紫乃(きりゅう しの)」

彼女がどんなキャラクターなのか、そして混沌とした他4人のキャラクターの中にどう入っていくのか。

それだけが唯一気になり、また確認せねばという謎の使命感から、僕は最後まで視聴してしまった。

もちろん途中で視聴を耐えられず、第4話で一度切ったさ。だが紫乃への興味が上回り、倍速再生で第10話の中盤まで視聴。初めて倍速機能を使ったよ。

アニメ『カノジョも彼女』第11話

©ヒロユキ・講談社/カノジョも彼女製作委員会2021
※グーグルBANが怖いので画像を編集しています

ようやく紫乃の魅せ場がやって来たのは第11話。お風呂の全裸姿はすこぶる可愛かった。ありがとうラッキースケベ。

ヒロインのなかで一番距離が遠かったのに、いきなり全てを見られてしまうというw

しかし、乳首にくっ付いて取れないバスタオルと、やけに濃い白いモヤが邪魔だったなぁ。円盤では規制が外れるって、私信じてるから。

ヒロインのビジュアルが全員可愛いのは認めるが、紫乃に至っては性格と言動も可愛いね。

アニメ『カノジョも彼女』第12話(最終回)

©ヒロユキ・講談社/カノジョも彼女製作委員会2021

第12話のラストでは、主人公のことを密かに想っていることが判明する。咲との百合展開を妄想していたけど、やはりそうなるのか。

だが紫乃のシナリオへの介入度はまだ浅薄に感じられ、全話完走後もどうしても紫乃のことが気になり、マガポケで紫乃の登場回のみ購入して読んでしまった...!

 

すると、紫乃がとてつもなく可愛いヒロインであることを我々は発見した。

親友の幼馴染、好きな人、彼氏を好きになってしまった。こんな気持ち、隠して潰さなきゃ。親友を裏切れないし、自分の入る余地なんてない。

しかし直也の周りでは、何やら不健康な関係が発展していた。二股はダメだと説得して親友を守るという名目のもと、直也たちの関係に介入し、心のどこかでワンチャンスを期待する。

真っ当な倫理観を振り下げてくるから作中で一番の常識人に見えて、本質は直也や咲たちと同類のとんでもない”バカ”だったのだ。

そして主人公を真ん中にして5人で歩くとき、主人公の方を見ながら一番端を歩いてるんだよ。飛行機に乗る際も遠慮して、直也から一番遠い後方の座席に座ったりして...

なんだこの可哀想すぎる勝ち目などない負けヒロイン!俺が応援するしかないだろ!!!

ミリカに「お前も直也のことが好きなんだろ?」と好意がバレて、「相手に好きだとも伝えられないヤツなんか恋敵だと思ってない」と、紫乃を奈落の底へと突き落とすようなセリフも刺さった。

紫乃はアニメ化されてない5巻以降から本格的に可愛くなるのよ。紫乃推しとして、やはり原作ストックの浅い段階でアニメ化したことが益々悔やまれる。

 

本作は所詮「原作の宣伝アニメ」として作られたに過ぎないだろう。だからこそ、講談社の手の上で踊らされる結果となったことが憎くて仕方がない。

本当に素晴らしい作品にこそお金を落としたいのに...クソ~!これで勝ったと思うなよぉ!!!

 

 

まとめ:このアニメを良くするための3つの案

アニメ『カノジョも彼女』評価

※点数は評価点数+お気に入り度+オススメ度の合計(100点満点)

中盤は倍速視聴をしておいて、全話完走したと言い張り酷評してごめんなさい。

でも本作が真面目に視聴するに堪えないし、娯楽として気軽に観る価値も薄い作品だということ。

そして、紫乃というヒロインの1人がとてつもなく可愛いことを伝えるために、どうしてもこのレビュー記事を書きたかったのだ。

原作コミックを買って読むほうが幾分もマシである。

 

ただ酷評するだけでは生産性に乏しいので、「改善案」を3つ提示させていただきたい。

こうすればクオリティが上がっただろう、または第2期を制作するならこうしたらどうだという。

  • 1話の尺を15分にする
  • アニメーション制作をラブコメに不向きな「手塚プロダクション」以外に任せる
  • 原作ストックが溜まってから、ゆっくり丁寧に時間をかけてアニメを作る

原作ストックが浅い段階でアニメ化に踏み切ったこと。これが諸悪の根源だろう。

講談社と手塚プロダクションは、『五等分の花嫁(TVアニメ第1期)』の早すぎるアニメ化から何を学んだのか?

マガジンのラブコメは作品を大切にせず、新鮮なうちに売り出してはすぐさま使い捨てる「粗製濫造消費型」の傾向が昨今著しい。

せめて『彼女、お借りします』のように、ゆっくりじっくり時間をかけてアニメ化するべきだ。

長期的な展開を考えず、目先の利益に囚われた行いは身を滅ぼすことに気が付いてほしい。

あと、僕はアニメ版『ブラックジャック』が大好きなので、手塚プロダクションは社名通り手塚作品のアニメを作って下さい。

 

 

『カノジョも彼女』を配信で観る

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