
1987年に刊行された富野由悠季の小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の映画化三部作。
1作目が2021年6月に公開され、あらから4年半待ちに待って……
ついに2作目の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』が2026年1月30日に公開された。
公開日に鑑賞、さらには2日後にiMAXで2回目を鑑賞。
まだ興奮が冷めないけどある程度頭の中で内容を整理できたので、(無事に欲しかったギギの特典もゲットできたことだし) ネタバレありでキルケーの魔女の感想・レビューを書いていきたい。
ちなみに筆者が視聴済みのガンダムシリーズはこちら。
・機動戦士ガンダム ファースト(TVシリーズ、劇場3部作)
・機動戦士ガンダムZ(TVシリーズ)
・機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
・機動戦士ガンダムF91
・機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
・機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
・機動戦士ガンダム00
・機動戦士ガンダムUC
・機動戦士ガンダムNT
・機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(1作目)
・機動戦士ガンダム 水星の魔女
・機動戦士ガンダム GQuuuuuuX
モビルスーツとかあまり詳しくないにわか。一番好きな作品は『逆襲のシャア』で、何回も観直している。
圧倒的な映像美
もう本当に映像がすごい。どのカットを切り取っても絵になる、スピルバーグ映画みたいなルックの良さ。
とくに「猫」と風に煽られる「カーテン」が印象深い。どこに拘ってるの?
作画は極力ケレン味が抑えられ、3Dを用いたカットが印象的だった。
コクピットの視点から人物を中心にカメラが回転する3D作画は臨場感が本当にすごい……
3Dを用いた作画は戦闘シーンだけでなく、会話劇の要所要所でも贅沢に使われていた。
ガンダムで培った資金と技術が存分に注ぎ込まれている上質なアニメーション。
ハリウッド映画に実写映像で勝てないならアニメで作っちゃえ、そんな気概すらある。
鳥肌立ちっぱなし(マジ)のモビルスーツ戦
まず冒頭の数分のシーンで引き込まれる。
F91、そして前作でも徹底的に描かれた人間視点のモビルスーツの迫力、というより恐怖。
今作は戦士視点で戦争の渦中ど真ん中、カメラをまたぐモビルスーツが本当に”怖い”から鳥肌立ちっぱなしだった。
序盤の山場、夕景をバックにオエンベリへ突撃するシーンはただただ映像に見惚れる。
終盤、1番の見せ場であろうハサウェイvsレーン。
PVで客寄せパンダとして出てきたνガンダム、回想?幻想?のシーンで出してくるとは……新作画逆シャアの入れ方が憎い。
現代の最高峰のアニメーションレベルながら、きちんと逆シャアのセル画の風味も残っている。
クェスとアムロの声を聞いただけで鳥肌が立ったんだけど、全部ハサウェイの幻聴だという……
クェスとアムロの呪いが、逆シャア好きに刺さる刺さる。
これを通信音ごしに聞かされたレーンの感情を想像するだけで戦慄。ハサウェイ、お前は何と戦っているんだ? はやく薬を飲んで休め。
前作より長時間、画面が暗い
前作の夜間戦闘シーンは「綺麗だなぁ」と思ったくらいであまり気にならなかったが、
今作は夜間戦闘に加えて、廃墟での会話シーンなども夜間で、何が起きているのか視認しにくい場面が多かった。
体感では映画の1/4くらいの時間、画面が暗い。おそらく配信(家の小さなモニター)で見たら何がなんだか分からなかったかも。
テロリストが白昼堂々と行動するわけがないので、リアリズムの追求という点で理解はできる。
ただ結局はアニメなので、映像までそんなにリアリティを追求する?もうちょっと明るくしてもよかったんじゃない?と思った。
ポジティブに捉えるなら、映像でも徹底的にリアリズムが追求されている。
より重点的に”組織”を描く、徹底的なケリアの対比描写
ここまでは長々と映像についての感想だったので、ここからは内容について。
内容はかなり難しいので、一度や二度観ただけではまったく理解できてないと思う。
基本が演出とセリフで語るにもかかわらず、会話劇の登場人物がみなハイソサエティの高IQゆえに、その内容が高度に政治的で軍事的。無駄なセリフは皆無に等しい。
しかもニュータイプの勘とかで論理が飛ばされることもあるし。もちろんガンダムお得意の専門用語も加わってくる。
前作を観ていることは大前提として、やはり最低でも『逆シャア』は観ておかなければならないし、逆シャアを観るならファーストとZは履修しておかなければ……とやはり鑑賞ハードルが高い!
ハサウェイが組織に帰還したので、マフティーの組織が具体的かつより重点的に描かれている。
艦長が指示を出して、MSの整備班が整備して、レーダーマンが電測して、パイロットは何走り込みをして、下っ端は突入練習をして.......と何気ないシーンに細かい情報が詰め込まれている。
またファビオとの会話では、ハサウェイの組織のトップに立つ者としてのインテリジェンスやカリスマ性を感じられたのも、マフティーの実在性に寄与していたと思う。
そしてハサウェイの彼女のはずなのに、あまりにも扱いが酷いというか、出番が少ないケリア……
徹底的なまでのギギとの対比描写が切ない。
陽に当てられた場所に置かれることが多いギギに対し、ケリアは常に影のある場所に置かれる。
また髪の長いギギに対し、ケリアは短い髪をさらに切り落として坊主にする。
別れると決意した途端、冷蔵庫の料理がなくなり、クスィの技術士・ジュリアと和解できるのもなんだか悲しかった。
すべてを飲み込むギギの魅力(肉欲を乗り越えられない)
映像美、モビルスーツ、テロリズムを題材にした重厚な組織・恋愛ドラマ。
どれもレベルが高いのに、それらすべてを飲み込んでしまうのがギギ・アンダルシアというキャラクターの魅力。
とくに中盤、音楽に乗せて彼女の生活を多面的に描くシーン。
数多のカットでその住処のセレブさを見せながら、階段を駆け上げるカットの反芻で過ぎていく日々の忙しなさと感情の起伏を表現。
さらにはバッグやコスメといったアイテムでプロの愛人の努力を演出しつつ、このシーンに限らず色んな服を着てくれる。
また、とくに終盤にかけてだが、ギギが動くたびに耳飾りが揺れるSEがしつこいくらい鳴るのが気になった。
演出家の映像や原画マンの演技、デザイナーの衣装といった映像面だけでなく、”効果音”でも彼女の魅力を存分に引き立てていたのがとても印象深い。
そしてなによりも上田麗奈!
透き通った吐息混じりの声質と魔性の演技。これがすべてを狂わせる。
ハサウェイが長年寝かされて映画化されたこと、上田麗奈という声優が出てきて『グリッドマン』でファム・ファタール声優の地位を確立したことが合わさった奇跡。
『機動戦士ガンダム ギギ篇』なのよマジで。
どうしてこんなにもギギのことばかり記憶に刻まれてしまうのか。
ハサウェイは「肉欲」と表現していたが、きっと過去のトラウマを許せない自分や、アムロにもシャアにもなり切れない葛藤の逃げ場を求めている感情のほうが多分に含まれている。
でもぼくの感情は完全に「肉欲」。
ケネスとメイスの朝チュン、ギギの背中にモブ兵士が見とれている、偶然を装いエレベーターに乗ってくるミヘッシャ、ハサウェイが現れると手鏡で髪を整えるハーラ、艦内で飴をくれた女、おっぱい女(ジュリア)......
そんな映画のなかに散りばめられた「肉欲」のシーンばかりが印象深い。肉欲から逃れられない男という生物の物悲しさよ……
ニュータイプという超人的な能力をもち、高尚な思想を掲げながらも、女性に感情や人生を狂わされるハサウェイの情けなさに人間味(もっといえば人間のオスらしさ)を感じ、共感ができ、愛さずにはいられないよね。
ラストは再会のキスで着地。三部作の真ん中とは思えない綺麗な終わり方!
ギギにとって伯爵を捨ててハサウェイに会いにいくことは”自分自身の若さゆえの過ち”のようなもの。
洗練された美貌のうらに、普通に恋をする幼い少女の儚さを一瞬感じさせ、身悶えそうになる。
それでもハサウェイはギギを通してクェスを見ているというね……
エンディング主題歌に衝撃……!
OP曲のSZA「Snooze」はチルな感じのR&Bで、今後の展開の示唆に富んだハサウェイの潜水シーンに合っていて良かった。(Zのハサウェイ初登場時、彼が海に溺れていたのとも合う)
そして相変わらず澤野さんの劇伴と挿入歌も最高なんだけど、ED曲があまりにも衝撃的だった!!
Guns N' Roses「Sweet Child O' Mine 」
🔫「Sweet Child O' Mine /Guns N' Roses」🌹
— たゆすと@はてなブログ (@Heiho_tayutari) February 18, 2026
半音下げチューニングのレスポールとマーシャルの歪みアンプが織り成す、甘く幻想的な音色が心地よい神イントロリフ❗️
スラッシュが嫌いだとしても、にわかだと言われようとも、やっぱり僕は好きです。
#GNR #閃光のハサウェイ #キルケーの魔女 pic.twitter.com/l2tsf3eBEI
あまり音楽に詳しくない人に向けてこの曲を紹介すると、80年代の洋楽・ハードロックを代表する伝説的な曲。
個人的には、ギターを練習してソロが長くて覚えられず投げ出した、ずっと前から大好きな曲。何も知らないで観ていたから、EDで急にかかりだしてびっくり。
エンドロールで歌詞の和訳を読んで、こんなにもハサウェイ2作目に合うとは。
歌詞の”彼女”はギギを指しているのか、それともギギを通して見たクェスを指しているのか。これから僕たちはどこへ行くのだろうか……?
【ネタバレあり感想】キルケーの魔女 さいごに
"閃光"とは破滅に向かう生の一瞬の煌めきではないだろうか。
人間は誰しも死んでしまうが、生きている間は美しい。人の営みは決して無駄なものではないと、そう思いたい。そう思わせる映画だった。
観終わってからしばらく呆けてしまい、本当に凄いものを観てしまった予後ってこういう感じだよな……とか思いながら、劇場を出た足でそのままクスィガンダムのプラモデルを買いにいったくらい喰らっている。
#閃光のハサウェイ #キルケーの魔女 都会に出てIMAXで2回目を観てきた‼️
— たゆすと@はてなブログ (@Heiho_tayutari) 2026年2月1日
前回の特典が中年のおじさんでショックだったけど、今回はようやくギギが出た!
IMAX特典も入手できて満足!
物欲を乗り越えることができず、帰りにクスィのガンプラを買ってしまった…
前から買う予定だったからいいんだ✨ pic.twitter.com/yHPEWtC9wx
本当に今後はどうなるのだろう。
ブライトさんが連邦軍に呼ばれていて胃が痛いけれど、原作通りになるのか、はたまた異なる結末があるのか……
はやく3作目を!!!



