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『ソードアート・オンライン アリシゼーション』感想・評価レビュー 映像は一流だが脚本は二流【アニメレビュアーズ#11】

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 「アニメレビュアーズ」とは、異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメの感想・評価レビュー・紹介&解説などを行うシリーズである。

 

【「アニメレビュアーズ」の概要や評価の指標などはこちら】

www.onajiananomujina.com

 

 

『SAOアリシゼーション』概要と評価

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放送時期

無印:2018年10月-2019年3月

WOU:2019年10月-12月、2020年7月-9月

話数

無印:全24話

WOU:全23話

ジャンル

ファンタジー/アクション

アニメーション制作

 A-1Pictures

スタッフ・キャスト情報

 

原作:川原 礫

原作イラスト・キャラデザ原案:abec

監督:小野 学

助監督:佐久間貴史

キャラデザ:足立慎吾、鈴木 豪、西口智也、山本由美子

モンスターデザイン:河野敏弥

プロップデザイン: 早川麻美、伊藤公規

総作画監督:鈴木 豪、山本由美子

アクション作画監督: 菅野芳弘、竹内哲也

美術監督:小川友佳子、渡辺佳人

音響監督:岩浪美和

音楽:梶浦由記

プロデュース:EGG FIRM、ストレートエッジ

製作: SAO-A Project 

 

キリト: 松岡禎丞

アスナ:戸松 遥

アリス:茅野愛衣

ユージオ:島﨑信長

セルカ:前田佳織里

ロニエ・アラベル:近藤玲奈

ティーゼ・シュトリーネン:石原夏織

カーディナル:丹下 桜

アドミニストレータ:坂本真綾

ファナティオ・シンセシス・ツー:生天目仁美

ベルクーリ・シンセシス・ワン:諏訪部順一 

リーファ:竹達彩奈

シノン:沢城みゆき

リズベット:高垣彩陽

シリカ:日高里菜

ユイ:伊藤かな恵

クライン:平田広明

エギル:安元洋貴

菊岡誠二郎:森川智之

ガブリエル・ミラー:石田彰

評価

評価項目 作画 演出 音楽 声優 ストーリー キャラ 世界観・雰囲気 面白さ
点数 10 8 8 8 7 8 8 8

※本稿はSAOのTVシリーズ第3期『ソードアート・オンライン アリシゼーション』のみの感想・評価レビューとなります。

 

 

前編は神回もあり期待に満ち溢れていた

 まず前提として、僕は『SAO』という作品やキリトのファンでもなければ、アンチでもない。

僕は『SAO』がそれほど好きではないし、キリトを極端に忌み嫌って嘲笑する勢力も理解できない。

至って客観的かつ中立的、そしてフラットにこの作品を視聴してレビューを書いていることをここに宣誓する。

 

 

  4クールというガンダム級の大長編に渡る物語。「無印」と呼んでいる前編は、意外にも楽しんで視聴することができた。

初回から1時間SPと気合の入りようは凄まじく、なぜキリトはこのアンダーワールドに迷い込んだのか、なぜアンダーワルドで生まれ育ったようにキリトは生きているのか、幼馴染?のユージオとアリスは一体何なんだ…?・・・などと、次なる展開が気になりワクワク感が止まらなかった。

 

特筆すべきは第10話、ロ二エとティーゼがレイプされる神回である。

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昨今のコンプラなどお構いなしに、まだ幼きヒロインが被服を剥がされ、舐められたり揉まれたり。

そして、それを見てマジギレしコードを破ったユージオと駆けつけたキリトが、レイプした貴族を滅多打ちにして血がドバドバ。

画面が黒がかっていたため規制はかけられたものの、レイプと鮮血という残虐な描写をこれでもかと押し付け、制作陣に賞賛の拍手を送りたい衝撃的な回であった。

「フェアリーダンス編」でアスナがレイプされていたことを思い出す。作者はドSの鬼畜か? 

 

第10話でここまでさせられたので、「アリシゼーション編」はヤバい、これまでとは一味違う、なにか途轍もなく壮大なものが始まってしまったんじゃないか?・・・と期待に満ち溢れていた。

それからキリトたちはアドミニストレータ(以下、アドミニさん)を倒すべくセントラル・カセドラルへと上っていく。敵だったはずの整合騎士アリスとイチャイチャする展開は面白かったし、アドミニさんを倒す(無印最終話)までの過程もそれなりに楽しめた。

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ところでアリスってセ〇バーに似てない?

だが第10話がピークで、War of Underworld(以下、WOU)でも第10話を超えることはなかったのだ...

 

 

”奇跡の安売り”で突き進んだアンダーワールドの戦い

 WOUに入ってから「つまらない」という波が一気に押し寄せる。勝利が分かり切っている剣アクションを見せられるのはまだ良いが、”戦争”の見せ方があまり上手とは言えず、無印よりも戦いの描写に白熱できなかった。

キリト・アリスたち vs 闇の軍勢の戦争という事で、アンダーワールドのあちこちで戦いが勃発し、多くの被害が出ているはず。

しかしメインキャラクターばかりにフォーカスが当てられ、同じ場所の似たような戦いばかり見せられる。戦争による被害の描写もあったが、そこにどんな過去や気持ちや生活があるのかが見えてこないので悲しくならない。もっと戦争による被害の描写を凄惨なものにして、視聴者に「こんな痛ましい戦いをやって何になるんだ…ほんと愚かだ...キリトよ、早く復活してこの戦いを終わらせて!」と思わせるべきだったように思う。

他のスケールのデカい戦いを描くアニメと比較したとき、拙いというかチープに感じてしまった。

 

 

 そしてキリト復活前後となる4クール目、つまり終盤は、理解に苦しむほど酷いシナリオだった。

 

既に死んだはずのキャラクターが、なぜか幻影となって再び登場し、戦局を逆転の方向へと変えて物語を大きく動かす。そんなシーンばかり見受けられた。

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SAO WOU第18話より

たとえばユウキがアスナの元に登場し、二人でイチャコラ百合百合した後にアスナのモチベーションが上がって勝利。

ユウキの登場は「マザーズ・ロザリオ編」だけでよかったからな? 感動のバックグラウンドを持った人気キャラでお涙頂戴に走るな。

劇場版のキャラクターであるユナとエイジの登場も同罪だ。劇場版はアニオリなので、この展開もアニオリに違いない。

 

ラスボス戦でも死んだはずのキャラクターがアンダーワールドに干渉し、勝利へと導いた。

キリト VS ガブリエル戦。キリトがやられそうになっていた所、流れ星にみんながキリトの勝利を願って、その祈りがキリトの剣へと集まり力になる。そしてキリトの一番の親友であったユージオが共に握り、ガブリエルへと振りかざして討伐。

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SAO WOU第20話より

ユージオは死後のアンダーワールドの世界に干渉させず、キリトの心の中だけでの存在、つまりキリトの勇気のガソリンに留めておいて、キリト一人でいつもの二刀流で討伐した方が物語の質が上がったんじゃないか?・・・と勝手に思う。

思い返せば「アインクラッド編」の最後の戦いだって、殺されたはずのキリトが復活して敵をスターバーストストリームで凪殺し、ゲームはクリアされた。あれは初めてで一回きりの”奇跡”として許されたが、「フェイタルバレット編」のラスボス戦だってとんでもない奇跡による勝利だったし、この「アリシゼーション編」に至っては奇跡のオンパレードである。

 

いつから”奇跡の安売り”を始めたんだ?

もはやこれは”奇跡”ではなく、駆け引きを生んで最終的には勝たせるための”ご都合主義”としか思えない。

なんだこのチープな展開をお買い得セットにしたチープな物語。

それとも”道理”とか”理屈”をSAOに求めるのは間違っているのだろうか? ダンジョンに出会いを求めるのが間違っているのと同様に。

 

キリトの復活という4クール目最大の魅せ場ですら、その安売りされた”奇跡”の一つに組み込まれてしまった。ルルーシュの復活とは真逆で興奮も感動もなく、尺稼ぎにすら思えた。

 

 

理解が追い付かずに終わってしまった物語

 また、不要なシーンがあれば説明不足のシーンもあるというチグハグ感がアニメ勢の僕には耐えられなかった。

原作があまりにも膨大なため、アニメ化に際して所々カットされているようだが、カットするシーンを見誤っているように思える。

 

 

具体的に不要だと感じたシーンは、WOU第15話のイスカーンとシェータの掛け合い

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今までこのカップルを掘り下げる描写がほぼ無かったのに、いきなり「お前と所帯を持ちたかった」というセリフが出て来るまでに発展。

全俺が呆気に取られた。これは本作の類まれなる迷言だと思う。

これまでの積み重ねがほぼ皆無なので、「もう二人結婚しちゃえよ!」というお決まりのオタクセリフが出て来ない。なんら親しみもない親戚の結婚式を見ている気持ちになった。

 

続いて第14話、ベルクーリさんがやられるシーン

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前編のラスボスであったアドミニさんが訳も分からずに登場し、ベルクーリさんがそれをお姫様抱っこし、そういう関係であることを示唆。しかし地上では、膨らんだお腹を触るファナティオさんが映って、ベルクーリ「俺達の子を幸せにしてやってくれ」

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しかも二人の子供については今後一切触れられず、物語は幕を閉じる。

ここの描写要ります? また『コードギアス』を引き合いに出して申し訳ないが、『コードギアスR2』のラストでヴィレッタさんの妊娠が発覚したくらい必要性を感じられない。

もう既に息を引き取ったベルクリーに対し、アリスが「おじさまー!」と泣き喚くところで終わっておけばよかったものの...

 

 

それから説明不足だったシーンは、主にラスボスを倒してからの展開である。

なぜかガブリエルが殺されて、なぜか「アインクラッド編」のラスボス・茅場が”奇跡”の復活でキリトとアスナを救う。救われた二人は何百年もの時をアンダーワールドで過ごすが、その物語はオールカットとサイドストーリー要素を残して。

一方現実世界では、アンダーワールドのアリスが新生汎用人工知能としてリアルワールドに降臨していた! 現実世界の人間と見紛うレベルでアリスを再現したAIを容易に生み出せるほど技術は進んでいるのか?

そして肝心のWOU最終回では、段ボールに裸体のアリスが入っていたり、剣道を侮辱するかのようなキリトとアリスの剣合わせで視聴者に「現実とゲームは違うのよ」とツッコませたり、挙句の果てには久々にやって来たアンダーワールドが宇宙になっていて、急に「スターウォーズ」が始まったり...

 

これらの急展開の連続を誰か説明してくれ

 

救援求ムってやつ。終始脳内では疑問符が無限増殖を始めており、全くもって理解が追い付かなかった。

原作勢の情報によると、アニメを観るだけでは理解が及ばず、原作を読まなければ話の補完ができないのだとか... なぜアニメを観るだけで物語が理解できるように作らなかったのか?

これでは原作ファン”のみ”を対象としたアニメ化ではないか。

 

...このような感想を本作に対して持った人は、色んなレビューサイトを見てみると案外多かった。特に原作は読まず、アニメで作品を追い掛けている人(アニメ勢)。

完全にアニメ勢は置いてけぼりを喰らった。これだけは間違いない。

 

 

映像だけは一級品

...まあストーリーに対しての僕の感想は以上だが、映像は本当に素晴らしかった

スタッフロールの長さからしても気合の入りようは伝わって来たし、剣の斬り合いなどのアクション作画はブイブイ言わせてたし、なにより撮影処理が仕事し過ぎである。

TwitterのTLに回って来た撮影効果ナシとアリの比較を見れば一目瞭然。『Fate』や『鬼滅の刃』のあの質感も、こうやって作り出されているんだね。

 

映像に関しては劇場版超えのクオリティだった。それを途切れ途切れとはいえ、マジで4クールやり通しやがったよ...

 

 

まとめ:もはやハリウッド規模のファンディスク作品

お気に入り度:★★★

 オススメ度: ★★★

 

 

熱が入り過ぎたのと比較的記憶が新しいので、ストーリーに対するレビューがほとんど4クール目に対する批判で、選択した言葉がキツくなってしまったのは申し訳ない

ただ、「終わり良ければ総て良し」と言うが、逆もまた然りだ。終盤が意味不明だったり、結末の後味が悪ければ、全話視聴後に抱く総合的な感想やイメージも悪いものになってしまう。

 

アリシゼーション編の前編の記憶ですら危ういが、僕は「アインクラッド編」が一番面白かったと思っているし、究極『SAO』という作品は「アインクラッド編」の1クールで終わっていても良かったと思っている。

以後は作品人気に肖って無意味に物語を付け足して行くだけの『ワンピース』状態。TVシリーズ第1期後半からは完全に蛇足であり、その本質的な状態が全く変わっていない。

表面上は進化しているように見えるが、それは声優さんの演技や作画レベルが向上してるだけであって、中身の内容というかシナリオは退化している。

つまるところ表面で偽っていて、薄っぺらいんだ。もはやファンだけに向けたファンディスク作品に成り果てている。

 

『SAO』の世界が現実になることを夢見ている僕は、『SAO』がそういう状態に置かれていることに深く残念でならない。

これまでのSAOのアニメは全て観ているが、完全に置いてけぼりを喰らったので僕はここでリタイアさせてもらう。

続編の『プログレッシブ』はおそらく視聴しないだろう(TVシリーズ1期&2期、劇場版、GGOのレビューはいつか書くかも)

ごめんな、俺には観なきゃいけない作品が億千万とあるんだ...

 

 

 

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