運動は面倒くさい...そう思っていた僕だが、便秘や不眠などの生活習慣病に悩まされてしぶしぶ体を動かすことに。
3ヶ月くらいジョギングを日課にしていたものの、冬が近づいて気温が下がるとともにモチベーションも下がり、運動のためにいちいちジャージに着替えて外に出ることさえ面倒になった。
しかし運動をしなければ自分自身の健康が危ぶまれる...そこで手をつけたのが『リングフィットアドベンチャー』。
途中ジョイコンが壊れてサボった期間もあったけれど、1日15分~30分の運動を積み重ねて193日、ついにフィットネスマスター(ワールド69)までクリアすることができた!
ゆえに今回は『リングフィットアドベンチャー』のレビュー...と行きたいところだが、三年前に発売したゲームだからレビューは溢れ返っている。
しかしショッピングサイトのレビューは届いて数日プレイしただけのものばかりだし、検索しても最後までクリアしてレビューしている記事はほぼ見当たらない。
ので3周クリアを果たしたこの僕が『リングフィットアドベンチャー』を本音で徹底的にレビューしたい。
筋トレになる?ダイエットできる?どんな効果があったのか? 気になる点にも触れていこう。
発売日 | 2019年10月18日 |
ハード | Nintendo Switch |
発売元 | 任天堂 |
ジャンル | フィットネス/RPG |
国内売上 | 初週6.8万本/累計371万本 |
クリア時間 | 50時間(3周クリア:130時間~) |
筆者プレイ時間 | 150時間 |
『リングフィットアドベンチャー』3周分の運動記録
自分がサボらないようプレイ1日目から毎日プレイ記録をつけていたので、詳細なプレイレポートを見たい方はこちら。
1周目(メインワールド、ワールド1~23)のプレイ記録
⚡️ "①たゆすとのリングフィットアドベンチャー プレイ記録"https://t.co/xiVSKWYEGg
— たゆすと@はてなブログ (@Heiho_tayutari) 2023年1月19日
2周目(エクストラフィットネス、ワールド24~46)のプレイ記録
⚡️ "②たゆすとのリングフィットアドベンチャー プレイ記録"https://t.co/6uuTJncThq
— たゆすと@はてなブログ (@Heiho_tayutari) 2023年1月19日
3周目(フィットネスマスター、ワールド47~69)のプレイ記録
『リングフィットアドベンチャー』レビュー:良かった点
ゲームで冒険しながら楽しく運動ができる
本作の醍醐味である「アドベンチャーモード」はステージクリア式で、ステージに入ったらゴールまでランニングし、道中に敵とエンカウントしたら運動スキルを使ってバトルをするといった流れ。
走れば設定されたゴールに近づき、自分で選んだスキルの運動をこなせば敵に攻撃ができ、腹筋ガードを頑張れば敵の攻撃も耐えられる。
この”運動がゲームになる快感”は、ゲーム好きであればあるほど面白い。
ゲームがあまり好きでなくとも、目の前の敵を倒すために夢中で体を動かしてしまい、それが"ゲームの快感"だと気付くだろう。
ゲーマーというのは大概運動嫌いで引きこもりがち、とにかく何かゲームをしていたいなどの性質を持つが、そんな生き物でも腕・足・腹筋などの体全身を使った有酸素運動・無酸素運動が楽しくできてしまった。
なんて素晴らしい運動ツールなんだ!
また、リングコンを上向きに引っ張って進むレールや、スクワットするたびに進むリフトなど、ステージ上に様々なギミックが配置され、移動がただランニングするだけじゃないのも退屈しない。
普通に生活していたら絶対しないであろう動きが多く、凝り固まっていた体のあちこちがほぐれて「オレ、運動してる...!」という感覚になった。
そもそもRPG・アドベンチャーゲームとしてちゃんと面白いのだ。
レベル・装備・属性といった概念は無論、素材を集めてゲームを有利に進められるスムージーを作成する、スキルツリーによる育成、サブクエストの制覇、図鑑埋め、レアモンスターの存在など。
テンプレだからこそ外さないRPG的な要素が多数盛り込まれたことにより、ただのフィットネスゲームでは収まらない奥行きがある。
これはRPG型のフィットネスゲームではなく、運動するRPGだといえる。
モチベーションが保たれる
運動で一番大変なのは苦労に打ち勝ち継続すること、つまりモチベーションを保つことだと思う。
本作にはモチベーションが保たれる工夫が散見された。
まず、運動中に「ナイス!」「すごいすごい!」「いい動きだね!」などとリング君が褒めてくれるのだ。
アニオタの僕としては、日本語の女性ボイスが伊藤静さんだから森島先輩が応援してくれているような気がしてたまらんかったですばい。
言語を英語に変えてリスニングの練習をしたりとか、運動と一緒に語学の勉強も出来そうだこのゲーム。
次に、すぐにレベルが上がる。1日に1回は必ずレベルアップし、攻撃力・防御力が増えるというご褒美がある。
最初は「こんなにすぐレベルアップして...すぐカンストするのでは?」と心配していたがそんなことはない。
上限はレベル999、これは普通に3周プレイしたとしても絶対に届かない領域だ。Twitterでレベルカンスト勢を見かけたらとんでもない猛者だと思え。
1ワールドのステージ数も絶妙で、あとちょっとプレイしたらここまで行ける、明日にはボスを倒してこのワールドクリアできそう...そう思わせてくれたのが一番のモチベーションになった。
経験値2倍スムージーなどを使い切って全ステージクリアしていればレベルが足りない事態には陥らず、面倒なレベル上げ作業を強いられることもなかった。この辺のバランス調整も流石だ。
大ボリューム
任天堂が「1日30分毎日プレイしてもクリアまでに3ヶ月掛かる」とアナウンスしているように、1周でクリアするだけでも28時間、3周目までやり込むとなると70時間は体を動かすことになる。
8778円(税込)でこれだけ運動ができるのは素晴らしいコスパだと思う。会員制のジムだと月額でこれくらい掛かるし...
「アドベンチャーモードをクリアしたら起動しなくなるんじゃない?」と不安を抱く人もいるかもしれないが、そんなものは杞憂だ。クリアするまでが長すぎる。
カスタマイズで自由気軽に運動も
本作にはアドベンチャーモード以外にも「カスタムモード」というのがあり、自分で好きにスキルを組み合わせて運動メニューを作成できる。
「ちょっとした時間に動きたい!」「腕の筋肉を重点的に鍛えたい!」「ドMだからスクワット300回やってハムストリングスを傷めつけたい!」...どんな需要にも応えてくれるぞ。
ほかにも、20秒間に何回リングコンを押し込めるかなどを競える「チャレンジ」や、ゲーム内やら任天堂ゲームのBGMに合わせてリングコンを押し引きする「リズムゲーム」が。
日常生活やアドベンチャーモードの隙間時間には勿論、3周完全にクリアしてしまってもまだ遊べる要素がある。
『リングフィットアドベンチャー』レビュー:気になる点
素材の使い回しが多い
ステージに入ったらゴールまでランニングし、道中に敵とエンカウントしたら運動スキル(サゲテプッシュ10回、スクワット20回など)を使ってバトルをする。
この流れを繰り返していくのが「アドベンチャーモード」の基本ゆえに、やはりプレイしていると反復性を感じずにはいられない。
だがさらに反復を感じてしまう点として、ステージの使い回しが挙げられる。
ステージの舞台は、草原・水郷・雪山・アスレチック・バトルジム・ドラゴ戦の6種類。
それぞれの舞台に4~10パターンのステージ構成があり、また色々な舞台をミックスしたステージのパターンが11。
これらに、敵の配置を変えたり、天候を雨や霧にしたり、時間帯を夕方や夜にしたり、階段をトロッコに変更したり、ステージ名を変えたり...などの微々たる変化を施して、1周23ワールド分のステージが用意されている。
だから1周目中盤から「なんか見覚えがあるぞこのステージ...」「またこのコースやるのか」となるのだ。
しかも2・3周目は敵の強さ以外、ワールドマップやらステージ名やら敵の配置やら何から何まで1周目と同じ。
エンドコンテンツである2周目以降なら使い回しも許せるが、もっとステージの舞台を増やして(雲の上とか溶岩地帯とか)1周分くらいは見た目(背景)だけでも飽きさせない努力をしてほしかった。
エクストラコースこそ使い回しは多いものの、バラエティ豊富なコースが用意されている『スーパーマリオ3Dワールド』のようなボリューム感を期待していた。
#リングフィットアドベンチャー 84日目
— たゆすと@はてなブログ (@Heiho_tayutari) 2022年5月15日
エクストラステージではどんな衣装が解放されるのかと思ったら、能力値変えただけの使い回しでガックシ。
このゲーム意外と手抜きな部分が多いんだよね...#RingFitAdventure #NintendoSwitch pic.twitter.com/aNHnD3VsZx
また、敵のバリエーションも少なく、色違いだったり闇のオーラをまとっていたりの差異で誤魔化している。
装備なんかも、2周目以降にゲットできるものはパラメーターや名前が異なるだけで外見は同じ。
ゲーム内でリング君に「運動は飽きないように工夫しよう!」と言わせておきながら、飽きを加速させる手抜き要素が多いのはどうしても気になる。
だがそれ以上に、ランニングや戦闘といったアドベンチャーモードの軸、育成やコレクションなどのRPG的システムが面白く、モチベーションが保たれる工夫もあったから3周完走することができたのは事実だ。
回復系スキルを使わない
スキルには、HPを大きく回復するためのスキルが沢山用意されているのだが...最後まで使い時がない!
ハートが10個以上になると敵の攻撃でHPがそこまで削られないし、ゲームオーバーになることもまずない。ちょっと削られたくらいならスムージーを飲むというラクな方法で回復する。
普段ゲームをやらない主婦や子供でも遊べるように難易度調整が施されているのは分かる。それでいい。
が、主婦も子供も熟練している3周目くらいはもっとキツくてシビアな難易度でも良かったのではないか。
カタニプッシュとかヒップリフトとか2周目終わるまで全くやらなかったから、3周目以降はカスタムモードを活用していた。
随所でゲームテンポが悪い
アドベンチャーモードの開始時、ご丁寧に挨拶から始まり「今日は運動負荷を上げますか?」「今日はストレッチしますか?」と聞いてくる。
運動負荷については何度も「いいえ」を選択していると「しばらく聞かないでおこうか?」と聞かれ、「はい」を選択しても一週間後くらいにはまた聞かれる。
終了時にも突然「筋肉クイーズ!」が始まったり、相変わらずストレッチをするかどうか聞いてきたり...
サクッとゲームを始めたい、終わりたいのに、毎度テキストを読んで二択に答えるのが引っ掛かる。
また、アドベンチャーでミニゲームをプレイすると、毎回スキップ不可のデモンストレーションを強いられる。
初期数回のプレイならまだしも、すべてのミニゲームのルールと操作方法を把握した1周目後半以降はずっと「めんどくせぇ...」と飽き飽きしながら付き合っていた。
そして極めつけは、15分くらい運動すると表示される「そろそろ休憩しませんか?」。
これがウザかった。好きな時に辞めさせろと。せめて設定で表示のオンオフを決められるようにできなかったのだろうか。
スマホで運動量が確認できない
今日の消費カロリーやこれまでの運動量、運動回数の世界ランキングなど、ゲーム内のマイメニューの情報がスマホでも確認できたらなぁと思った。
なぜスマホアプリ「Nintendo Switch Online」と連携しなかったのか。『フィットボクシング2』はアプリでスマホ連携ができるのに...
『リングフィットアドベンチャー』感想:3周クリアして変わったこと
気になるのは、3周して何か変わったのか? ダイエット効果や筋トレ効果はあったのか?...という事だろう。
筆者のプロフィールは......
- 学生、自称帰宅部のエース
- 1日2食+間食、睡眠は1日6~9時間
- リングフィット以外の運動は通学時くらい
- BMIは18.0~18.5のモヤシ
- リングフィットのプレイペースは、全体で見ると1日15~30分・約100kcal消費の運動を週4
こんな僕が3周完走したあとの身体の状態をはっきり述べると、
ちょっと腕の筋肉がついたかな? スクワットがなんか楽になったような...くらいで、マッチョになったとか痩せたとかはない。
最初は硬く思えたリングコンの押し込みが今はなんとも思ってないとか、やる前と後で自分が変わっている実感はあるが、傍から見て「あいつ変わったな...」と思われるような外見の変化は皆無である。
事実、毎日のように顔を合わせる親にも僕がリングフィットで運動していることに全く気付いてもらえなかった。
興味がない可能性も...
ただし便秘は解消された! 身体を動かすってマジで大事なんだな...と身をもって感じたさ。
初めのうちは15分も運動したら汗びっしょりで息が上がる。それでも消費カロリーは100kcalにも届かない。慣れてないうちはキツイ。
だがダイエットや筋トレをするなら、25以上の強い負荷で1日1時間以上の運動をほぼ毎日続けなきゃ無理だろう。
意外とカロリーが消費されないのに疲れるから、僕は1日に1時間以上運動できなかったw そして晩御飯の米一杯であっという間に消費カロリー回収。
まあいいかえれば、遊び方次第でダイエットや筋トレもできてしまうという事だ。それは「リングフィットで変わった」というモデルケースの多さが証明している。
ちなみに一番辛かった動きは断然「プランク」。称号欲しさに1000回はやったけど、もうこれ以上はやりたくない...
僕に嫌われたいなら、トマトを食べさせるかとプランクを強要するかの二択だよ。
まとめ
コロナ禍や雨天時に、屋内での運動不足解消には最高のゲームだ。一朝一夕ではクリア出来ないから、続けようと思ったら何百日でも続けられる。
いま世の中にあるフィットネス系のゲームで一番のおすすめだと言っても過言ではない。
もし今から『リングフィット』を購入するなら、同時にマットの購入も推奨する。
床上で座りや寝っ転がる姿勢の運動(舟のポーズや足バタバタなど)をすると、腰骨や尾てい骨が床に当たって痛かった。
床に絨毯やヨガマット等の柔らかい材質のものが敷かれてなければ、買っておいた方がいい。