『アニメ化』
それは、メディアミックス展開の手法の一つであり、一番影響力のある大きなプロジェクト。
一方、作家志望の人の中から狭き門を潜れた人たちが”プロ”になり、 更にその中から売れた作品や業界人の目に留まった作品にのみ許される展開であり、敷居はかなり高い。
そんな中で、自分の作品が2回(2作品)以上アニメ化された”天才”も存在するのだ。
本項では、そういった”天才”たちを紹介していこうと思う。
今回は「ライトノベル編」という事で、2回以上アニメ化されたライトノベル作家に焦点を当てて紹介する。
川原礫
アニメ化された作品 ※()内は初アニメ化された年
・アクセルワールド(2012)
・ソードアート・オンライン(2012)
デビュー作「アクセルワールド(以下:AW)」は500万部以上売り上げ、サンライズにより2012年にアニメ化。
その他漫画化やゲーム化がされたり、2016年には劇場版が公開されたりと様々なメディアミックス展開が行われている。
また、二作目に当たる「ソードアート・オンライン(以下:SAO)」も同時期にアニメ化。
原作は2020年時点で2200万部以上売り上げるというラノベ業界一の発行部数を誇り、未だゲームも最新作が発表されたりと人気は絶大。
アニメ3期は深夜アニメ史上稀に見る4クールという長期スパンで制作され、ハリウッド映画化も決定している。
両作品ともに何百万部単位以上の大ヒットを記録し、アニメは当たり制作会社によりハイクオリティで作られ、他のメディアミックス展開も引き続き行われている。
SAOのおかげで影が薄いと言われるAWでさえ570万部と、リゼロや俺妹を超えている。
正真正銘ラノベ界のトップだ。
『すごい』の一言だが、同時期に2作品がアニメ化され、それも両者大きなプロジェクトとして同時進行していったのは大変だっただろうなぁと勝手に思う。
西尾維新
アニメ化された作品
・物語シリーズ(2009)
・刀語(2010)
・めだかボックス(2012)
・十二大戦(2017)
西尾維新作品がラノベか一般文芸かは怪しいところだが、ここは線引きを甘くして”ライトノベルとしても”捉えたい。
代表作に当たる「物語シリーズ」は「化物語」がシャフトにより2009年にアニメ化され、その引き込まれるような奇抜な演出と世界観から円盤が8万枚以上売り上げる大ヒットを記録。
西尾維新の描く世界に圧倒される人が多く生まれ、シャフトに余裕ができた2012年からはあの手この手で続編のオンパレード。
もう流石に終わりだろ…と思いきや、2019年には劇場版も公開された。
因みにアニメの円盤売上は、シリーズ累計で200万本以上を突破している。まさに”化け物”かもしれない。
後から見れば「物語シリーズ」の2009年~12年の空白の3年を埋めるような形で、”西尾維新アニメプロジェクト第2弾”として「刀語」がアニメ化。
2010年の1年間を通して、1時間SPで一ヶ月ごとに1話が放送されるという特殊な放送形態だった。
「めだかボックス」は西尾維新が初めて手掛けた週刊連載の漫画原作で、ガイナックスにより分割2クールで2012年にアニメ化された。
単行本は2012年2月28日発表の時点で340万部を発行している。
「十二大戦」は、jBOOKで当時行われていたキャラクターデザイン先行で小説を作るという企画を参考に、中村光による十二戦士のデザインを元にする形で執筆された、バトルロワイヤル小説。
2017年にグラフィニカよりアニメ化された。
こう見ると、西尾維新という一人の作家が生み出す作品というか世界観は、とても独特で才能に溢れているし、それを欲している業界人やファンが多いから、新しい小説や漫画原作作品がたくさん生まれ、結果4作品もアニメ化されたのだろう。
物語シリーズとそれ以外の知名度の差が開いているのはさておき...
時雨沢恵一
アニメ化された作品
・キノの旅(2003)
・アリソンとリリア(2008)
・ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン(2018)
「キノの旅」は、のちのラノベ業界に大きな影響を与えた90年代後半~00年代初期作品の一つだろう。
累計800万部以上を売り上げ、2001年にはラジオドラマ化、2003年にはWOWOWでアニメ化&ゲーム化など、メディアミックス展開も多い。
更には2017年にアニメのリメイク作が制作され、プギーポップやオーフェンなどの90年代後半~00年代初期作品をリメイクする風潮の先駆けともなった。
「アリソンとリリア」は、2002年に刊行された小説「アリソン」と、その続編「リリアとトレイズ」をアニメ化した作品。
のちに「一つの大陸の物語シリーズ」として続編が刊行されていき、シリーズ累計100万部以上売れていたりする。
「SAO GGO」は、先述で紹介した川原礫作品である「SAO」の外伝作。
同じ電撃文庫の人気作家であったり、アニメ2期で銃器監修を担当したよしみからかな?
SAO3期の制作と共に発表され、それに先んじて1クールアニメが放送された。
他にも銃器等に詳しいため、「ルパン三世 PART5」で初のアニメ脚本を担当したり、銃器やアクションシーンの絵コンテや脚本の監修を務めていたりもする。
時雨沢先生に影響を受けたライトノベル作家も多いことだろう。
水野良
アニメ化された作品
・ロードス島戦記(1990)
・魔法戦士リウイ(2001)
・スターシップ・オペレーターズ(2005)
・グランクレスト戦記(2018)
水野先生のデビュー作である「ロードス島戦記」は、”ライトノベルの生みの親”であり”メディアミックス展開の草分け的存在”と述べても過言ではない作品だろう。
80年代後半のファミコン・RPG全盛期に生まれ、最初はTRPG(テーブルトークRPG)の紹介記事だった。
当初はその時代のブームみたいなものだったが、このジャンルの作品としては初の大規模メディアミックス展開を実施。その展開とは、小説やTRPGに留まらず、漫画やゲーム、アニメに舞台、ラジオドラマなど。
結果、そのブームを一過性のものに終わらせず固定のファン層を確保。日本国産ファンタジー作品として一定の成功を収めたが、2005年には小説が累計1000万部を超えるベストセラーとなり、ラノベ業界では不動の地位となった。
アニメに関しては、当時アニメブームと一体化して”OVAブーム”が到来しており、1990年にOVAとして発売され、全13巻累計総出荷本数は55万本を突破している。
また、1998年にはTVアニメや外伝作のアニメ化も制作され、2014年にはミニアニメが公開されている。
因みに『エルフといえば長い耳』というイメージを作り出したのもこの作品だったりする。
「魔法戦士リウイ」は、水野先生によるロードス島戦記の次作。
ロードス島戦記の雰囲気や作品の組み立て方、メディアミックス展開のノウハウ等を継承しつつ、2001年にはJCスタッフによりアニメ化された。
「スターシップ・オペレーターズ」は、同じくJCスタッフにより2005年にアニメ化され、これまでのファンタジー系とは違い、宇宙戦艦ヤマトに近いSFになっている。
メディアミックス展開もアニメや漫画、ラジオと幅が狭くなっている。
「グランクレスト戦記」は2020年時点で水野先生最新作であり、タイトルからしてロードス島の色を濃く受け継いでいる。
2018年にA1Picturesにより1から完結までアニメ化されたが、大きな展開をしていたにも関わらずあまり話題にならなかったと記憶している。
僕はかなり面白いと感じたので、ゲームが好きであったりして興味があるなら、原作を買って読んでみたり、2クールあるがアニメを視聴したりしてみて欲しい。
賀東招二
アニメ化された作品
・フルメタル・パニック(2002)
・甘城ブリリアントパーク(2014)
・コップクラフト(2019)
「フルメタル・パニック」は、まだまだライトノベル黎明期だった00年代前半に生まれ、今では累計1000万部以上の発行部数を誇る、本格派ミリタリー学園SF作品だ。
2002年にGONZOによりオリジナル色を強くしてアニメ化。2003年には、ラブコメ色を強くした「ふもっふ」を京アニが初めての元請けとして制作。次いで京アニが2005年に本編の続編となる「TSR」を制作。
それから13年が経った2018年、再びプロジェクトが動き出し、ファン待望大復活のXEBECにより第4期が制作された。今は亡きXEBECという事で、クオリティについては言及しないが...
「甘城ブリリアントパーク」は、ラブコメを書くのが苦手な賀東招二が全力でラブコメを描いた作品。
古くからの親しい仲である京アニにより、2014年にアニメ化された。
「コップクラフト」は、フルメタのハードボイルドさを継承しつつもSFから離れた警察小説。
フルメタと甘城の間に生まれた作品だが、無事2019年にミルパンセによりアニメ化された。
こう見ると、やはり「京都アニメーション」との繋がりが深い。
京アニの初元請けから原作者としてだけでなく、脚本・シリーズ構成とメインスタッフとしても関わっており、
その後ハルヒやらきすたなどの原作を務めてない京アニ作品にも何話か脚本で参加していたり、氷菓ではシリーズ構成も担当し、武本監督とのフルメタコンビが垣間見えた。
甘城はそのズブ・・・親しい関係からアニメ化に発展したと思う。
田中芳樹
アニメ化された作品
・銀河英雄伝説(1988)
・ 薬師寺涼子の怪奇事件簿(2008)
・タイタニア(2008)
・アルスラーン戦記(2015)
田中芳樹作品も西尾維新同様ラノベか一般文芸か線引きが曖昧だが、ここも甘く”ライトノベルとしても”見て行こう。
「銀河英雄伝説」は田中芳樹先生の代表作であり、 小説やアニメを嗜む人なら勿論、そうでない一般人にまでも知られている有名な作品だ。
累計発行部数がは1500万部を超えるベストセラーSF小説であり、1988年OVAブームに乗っかりアニメの制作が開始。
その後10年以上かけてOVAが定期的に制作され、劇場アニメやTVアニメも制作されている。2020年4月からは新作TVアニメも放送されているぞ。
また、本作のアニメは「銀河声優伝説」との異名を持ち合わせており、その登場人物の多さから『銀河英雄伝説に出演していない声優は存在しない』と言われているほど(兼ね役がほとんどないため)
その他、漫画やゲーム、宝塚による実写舞台などのメディア展開も行われている。
「薬師寺涼子の怪奇事件簿」は、主人公・薬師寺涼子が怪奇事件を解決していく伝奇アクション小説であり、2008年に動画工房がアニメ化している。
ど、動画工房だと...!? 中身は探偵や警察が出てくるドラマ化されてもおかしくない内容だが?
「タイタニア」は、銀河英雄伝説みを感じるスペースオペラ小説で、薬師寺(以下略)の直後アニメ化された。
「アルスラーン戦記」は、日本を舞台にした大河ファンタジー小説であり、水野先生の描く戦記モノに近いと個人的に思う。
1991年~95年にかけてOVAや劇場版が制作されたが、当時「ロードス島戦記」が人気絶頂だったり、角川書店の分裂騒動があったりとなあなあになってしまった。
だが2015年、これを原作とした漫画をアニメ化するという形でTVアニメ化の企画がリスタート。
それは特に海外で好評を博し、第2期も制作された。
田中芳樹先生は、Googleで検索をかけるとサジェストに「田中芳樹 天才」と出るほどのレジェンド作家だ。
ジャンルはSFからミステリー、戦記モノまで、数え切れないほどのキャラクターが登場する物語をも書いてみせる。
鴨志田一
アニメ化された作品
・さくら荘のペットな彼女(2012)
・青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない(2018)
鴨志田一先生を一躍有名にさせた「さくら荘のペットな彼女」は、2012年にJC.STAFFによりアニメ化された。
未だ中高生のアニオタや萌ブタの間で話題に挙がるほど人気な作品である。
ちなみにアニメが『PG-12指定』になっているのはここだけの話だ(制限指定が設けられている深夜アニメは沢山あるが、Wikiなどに明確に記載されているのはこの作品くらい)。
「青春ブタ野郎はバニーガールの先輩の夢を見ない」、通称『青ブタ』は、その『さくら荘』の流れを受け継いだ作品と言っていいかも知れない。
2018年にCroverWorksによりアニメ化され、翌年には劇場版が公開されて興行収入が約4億円となるヒットを記録した。
こちらも『さくら荘』と同じ層のオタクに人気を博している。
ほかにも、アニメ『さくら荘』で脚本を務めた岡田磨里との繋がりから、「selector spread WIXOSS」や「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」で脚本を担当している。
特に後者の鉄血ガンダムでは、設定考証やスピンオフ作品のシリーズ構成・脚本も兼任している。
また、オリジナルアニメ「Just Because!」では一人でシリーズ構成・脚本を務めていたり・・・
と、得意の”青春ラブコメ”の物語を書くことを起点に、思いのほかマルチに活動している。
竹宮ゆゆこ
アニメ化された作品
・とらドラ!(2008)
・ゴールデンタイム(2013)
2004年に「わたしたちの田村くん」でラノベ作家デビューを飾り、同時に美少女ゲーム「Noel」でシナリオライターも手掛けた。
マジで!?あのNoel!?・・・と調べてみたら、今は亡きフライングシャインより発売された18禁百合ゲーの方(有名じゃない方)のNoelだった...うん。
(ネットの評価はかなり高いので、気になった人はプレイしてみてはいかがかな?)
2008年には、代表作の「とらドラ!」がJC.STAFFによりアニメ化され、彼女の名をラブコメ界隈に轟かせた。
そこから彼女の次回作「ゴールデンタイム」が同じくJC.STAFFによりアニメ化されたり、一般文芸に転身したり、漫画原作も手掛けたり・・・
と、徐々にステップアップして今でも活動しているようだ。
伏見つかさ
アニメ化された作品
・俺の妹がこんなに可愛いわけがない(2010)
・エロマンガ先生(2017)
伏見つかさ先生の代表作である「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」は2010年にアニメ化され、深夜アニメを観るオタクたちを賑わせた。
俺妹の2期が制作されアニメでも完結を迎えたあとに刊行された「エロマンガ先生」は、その第2期を制作したA1Picturesにより2017年にアニメ化された。
原作イラスト兼アニメのキャラデザは、俺妹に引き続き”かんざきひろ”先生が担当。
この『伏見つかさ×かんざきひろ』コンビで、2019年には「エンゲージプリンセス」というスマホゲームが作られ、すっかりこの二人のセットが定着していると個人的には感じる。
平坂読
アニメ化された作品
・僕は友達が少ない(2011)
・妹さえいればいい。(2017)
平坂読先生の代表作であり名前を一面に知らしめた「僕は友達が少ない」は、2011年にAIC Buildによりアニメ化。OP等の楽曲の作詞も担当している。
同年最も売れたライトノベルとなった。
また、アニメ放送後に発売されたゲームは8万本近く売り上げ、更には実写映画も制作されたりと、当時かなり話題になった作品だった。
が、アニメ2期と原作の後半から・・・
それ以上言ってはいけない!!!!\
\ ∧ ∧
(゚Д゚∩
⊂/ ノ
 ̄ ̄ 「 _ |~ ウ  ̄ ̄
∪ ヽl オ
/ ∪ \
/ : オ
/ ∥. オ \
/ |: オ \
/ .
|.
2017年には、はがないの次回作「妹さえいればいい。」がSILVER LINK.によりアニメ化。
ラノベ作家のあるあるや裏側を描いた作家モノであり、平坂先生と仲の良いラノベ作家の渡航先生やさがら総先生などの作品の小ネタがまちまち登場する、ラノベ好きには持って来いな作品だったり...
作者が同じラノベアニメまとめ
”天才”とも呼ばれる2回以上アニメ化された作者を、今回は「ライトノベル編」としてラノベ作家(&小説家)に絞って10人紹介した。
今後「漫画家編」として2回以上アニメ化さrた漫画家も10人ずつ紹介していく予定だが、
好評ならまだ紹介しきれてないラノベ作家の方々も紹介する記事を書きたいと思う。
それでは、えくそだすっ!!!
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