異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメをネタバレ有りでレビューしていく「アニメレビュアーズ」。
今回は、動画工房が2020年最初の弾として打ち出したきららアニメ『恋する小惑星』の感想・評価・レビューをする。
「小惑星」と書いて「アステロイド」と読む。
『恋する小惑星』作品情報
放送時期 | 2020年1月-3月 |
話数 | 全12話 |
ジャンル | 日常/学園 |
アニメーション制作 | 動画工房 |
『恋する小惑星』あらすじ・PV
幼いころ、キャンプ場で出会った男の子と
“小惑星を見つける”という約束をした木ノ幡みら。
高校では天文部へ入部しようとしたが、
今年から「天文部」と「地質研究会」が合併して「地学部」になっていた……!?地学系女子(ジオジョ)たちと一緒に、いろんなキラキラを探しに行きませんか?
『恋する小惑星』スタッフ
原作:Quro
監督 :平牧大輔
脚本:山田由香、坂井史世
シリーズ構成 :山田由香
キャラクターデザイン:山崎淳
美術監督・美術設定:中村典史
音楽:伊賀拓郎
製作:星咲高校地学部
『恋する小惑星』キャスト(声優)
木ノ幡みら:高柳知葉
真中あお:山口 愛
猪瀬 舞:指出毬亜
桜井美景:東山奈央
森野真理:上坂すみれ
『恋する小惑星』評価
評価項目 | 作画 | 演出 | 音楽 | 声優 | ストーリー | キャラ | 設定・世界観 | 雰囲気 | 面白さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
点数 | 10 | 8 | 8 | 8 | 7 | 8 | 7 | 8 | 7 |
お気に入り度 :★★★☆☆
オススメ度:★★★★☆
断トツな服のセンスでより萌えるキャラクターたち
この『恋する小惑星』を制作している動画工房は、知名度があまりない原作を持ってきて、幼い少女たちの百合百合日常系アニメとして昇華し、萌えアニメとしてヒットさせるという戦法に定評がある。
この作品もまた、その戦法で作られた作品である。
さすが‘‘可愛い‘‘と’’萌えを‘‘アニメ業界一極めた制作会社「動画工房」という感じで、キャラクターがみんなが非常に可愛かった。主にビジュアル...
しかし、それだけではいつもの動画工房なので、新しさは無い。
だが、僕はこの作品で動画工房が更にパワーアップしていると感じた。
ではどこに感じたのか?
それは、私服の可愛さ。
僕が視聴した動画工房作品の中で、断トツに服のセンスが良くてめちゃくちゃオシャレだった。
それに、これまでの動画工房作品は、一つのキャラクターに対して明確にコレという服が存在していた。それは服も込みでキャラクターのビジュアルの印象を決定付けていたから。
しかしこの作品には明確にそういったのがなく、キャラクターたちが毎回違った服を着ている。
例えば主人公のみらなら、小学生みたいな幼っぽい服を着ている時があれば、ボーイッシュな格好をしている時があったり、肩出しトップスと短いスカートで露出が多い時もあれば、年齢相応の大人しい服を着ている時もあったり・・・
また、学校の制服や水着など学園モノ定番の衣装や、メイド服に桜先輩なら体操服など、この作品独特のルールに則った服も誠に可愛らしかった。
萌える。みらあお尊い。
作中の背景は本物の星空
動画工房の進化を感じたのはそれだけでは無い。
キャラクターの可愛さと尊さもやはり魅力的だが、この作品の一番の魅力は背景美術の綺麗さだと思う。
本作の売りであり、あおとみら二人の出会いから始まる物語において最も重要な役割を果たしている「星空」の背景は、適当に描かれた星空では無い。
実際の星空を、嘘偽りなく正確にアニメの背景としてそのまま落とし込んでいるのだ。
しかも、例えばキャラクターたちが東を向いていれば、東側のその時間帯の星空が背景になっている。
これは凄いを通り越して頭がおかしい(もちろん良い意味で)
そんなこだわりができるのは、制作協力として国立天文台や国土地理院、JAXAなどが入り、資料提供をしているから。
そのおかげもあって専門用語がよく出てくるが、地質学に詳しくない僕みたいな人でも付いて来られるような易しくオーソドックスなシナリオでもあった。
だが、あおみら同棲から三年生の卒業、そして新学期導入まで描いた9話は、駆け抜け気味でご都合主義感が否めなかった。
同棲への運びはもうひと波乱あっても良かったと思うし、モンロー先輩と桜先輩との一応のお別れのシーンも味気なく泣けることは無かった。
どうせ10話以降も毎話登場するからあっさりしてたかも知れないが、僕はもっと欲しかった。
余韻に浸らせてくれる楽曲たち
ここからは、本作のOP・EDと楽曲ついて語っていきたい。
オープニング
まずはOP。
桜先輩ことなおぼうの歌に乗せて、序盤は天文班と地質班で画面が別れ、先輩たち三人にフォーカスが当てられる。
この演出いいな、と思った。
スズヤベーカリーでがフューチャーされるシーンでは、すずのお盆を持つ指が動いていたのが細かいなと感じた。
そしてサビ前のピアノで、みらが振り向いて一気にカメラが右に寄っていく。
OPではここが一番すき。
サビに入ると、カメラだけ動きながら幼少期のあおみらが夜空を見上げる画が映される。進撃の巨人の「紅蓮の弓矢」を彷彿とさせる。
ここで作詞・作曲が川嶋あいであることが発覚して驚いたw
どおりで曲調が川嶋あいっぽいなと思ったら...
最後に、まだOPなのに余韻に浸らせにくるような感じでメロディが抜けていく中、ちょっとしたドラマを見せてくる。
・・・という感じで、楽曲も作品に寄り添っていて、それに合わせて可愛くもきちんと動かしてくる映像であり、とても良かった。
やはり安定感がある。
エンディング
EDは、キャラクターたちが風に髪をなびかせながら、背景が朝から夜へと変わっていくサビのシーン一択である。
ここのオシャレさはえげつない。
シナリオは感動できる内容ではなかったが、このEDがものすごく余韻を残してくれる。
楽曲を歌う鈴木みのりさんは作品に出演していないが、僕はこっちのオシャレEDの方が好きだ。
また話数を重ねるに連れて、徐々にOPとEDの映像が変わっていくのも良かった。
観てるときは違和感があるだけで、明確にここが変わってる!というのは分からなかったが、あとで比較して観てみたら一発だった。
どうやら3パターンに別れているらしい。
毎回同じ映像を流せばいいものを・・・こういう小粋な演出はとても好みだ。
劇伴曲
あと、作品とは直接関係ないが、本作のサントラのジャケット絵が非常にエモいので紹介したい。
メインキャラ5人で「☆」の形を作ってるよ!
このジャケットを考えた人は天才だと思う。
そのジャケットの中身に入っている作中の劇伴曲は、やはりピアノをメインとした”星”や”夜”を連想させる楽曲が多かった。
気付きにくいが、作品の雰囲気を作り出していて良かった。
まとめ:きっと未来は待っているよ だから歩いてゆこう
もちろん大前提としてはきらら系日常萌えアニメであり、可愛さの部分が更に進化していたが、本格的な天文・地質学アニメとしても仕上がっていた素敵な作品である。
この作品を通じて「これまでの俺とは違うぞ…」と動画工房が豪語してるようにも感じれる。
百合要素もあまり過激ではなくて、天文や地質は好きだけどアニメはあまり観ない・・・という人でもライトに観れると思う。
動画工房の未来(”みら”い)は明るい。
やはり優秀はアニメ制作スタジオは違うな・・・!