アニメを制作する裏方でありながら、今や作品とは別に各社それぞれが固定ファンを獲得し、ブランド化が進んでいる「アニメーション制作会社」。
事実、原作の良し悪しはあれど、制作会社でアニメの完成度は大きく左右されるので、アニメを観るうえで制作会社を知ることは大事だ。
そんな数ある「アニメーション制作会社」の歴史を、一社ずつ分かりやすく紐解いて行こう!…という趣旨のこのコーナー。
第1回目である今回は、業界内でもトップクラスの作画レベルを誇り、ジャパンアニメーションを牽引してきた「京都アニメーション」。
数多ものアニメライクを増やしながらファンを獲得し、とりわけブランド化が先行しており、ファンの間では「京アニ」の略称で親しまれている。
自社だけで完結してアニメが制作できるため、各セクションの連携が強く、そのおかげで高クオリティな作品を生み出すことができているのが大きな特徴だ。
初回の選考理由は、筆者が一番好きな制作会社だから。
それゆえに書きやすかった。ただそれだけである。
それでは、「京都アニメーション(以下、京アニ)」の歴史、軌跡を紐解いて行こう!
- 1985年~:すでに輝かしかった下請け時代
- 2001年~:元請けで本格的なアニメ制作としての躍進
- 2006年~:京アニが最強の黄金期へ
- 2011年~:より独立した制作体制への転換
- 2015年~:アニメ映画界を駆け抜けて新たな一歩
- まとめ
1985年~:すでに輝かしかった下請け時代
創業者の八田陽子氏が結婚して子供を育てる傍らに、近所の主婦を集めてアニメ製作塾を開講した所から始まった「京都アニメーション」。
当初は「京都アニメスタジオ」という社名だったが、1985年に有限会社として法人化されたことにより現社名へと変更。
シンエイ動画、タツノコプロ、サンライズという大手の作品の仕上げが当時の事業だった。
翌年には作画部門を設立し、そのまた翌年には実質的な制作を開始。ぴえろやスタジオディーンなど、より幅広いレンジでアニメーションの下請け*1を行うようになる。
この時代の主な下請け業としては、事実上の元請けデビューともされる『赤い光弾ジリオン』や、『うる星やつら』『ドラえもん』『超時空要塞マクロス 愛・おぼえてますか』『AKIRA』など。
また、のちにアニメ業界で大手の制作となるProduction I.G.の設立の際には出資も行った。
1991年、すでに業界では「彼に描けないものはない」とまで呼称されるほどの凄腕アニメーターあった木上益治氏が入社。
のちに後進の育成に尽力するなど、この人が居なければ今の京アニは無いとまで断言できる、「京アニの神作画」を作り出した張本人である。
この頃に、作画・演出・仕上げ・背景・撮影などを自前で行う体制を確立。
また、ゲームソフトのパッケージデザインや、そのソフトに関連したコミック版の仕事なんかも請け負っていたりした。
体制確立以降、シンエイ動画の『21エモン』『クレヨンしんちゃん』、スタジオジブリの『おもひでぽろぽろ』『紅の豚』などの下請けや、『新世紀エヴァンゲリオン』『ガンダム∀』の背景を担当したりと、大手や有名どころからあらゆる作品の下請けが舞い込んでくる。
なにせ業界では「質の高い丁寧な仕事をする」と評判になっており、中には京アニに仕事を依頼するためにスケジュール調整をする発注元まで現れる始末だったのである。
実際に京アニが制作協力に入っている回は、作画がいつも以上に滑らかだったりする。
京アニはアニメの下請け会社として、仕事の依頼が絶えないほどまでに成長していた。下請け時代からすでに業界内では有名で高評だったのだ。
(余談①『ドラえもん』は元請けを開始した2005年まで下請けを務め上げ、『クレヨンしんちゃん』は未だに下請けの仕事を受けている。)
そして1999年、株式会社に組織変更し、制作体制はアナログからデジタルへと移行。
そして”京アニ”は新たなるステージへも移行するのであった...
2001年~:元請けで本格的なアニメ制作としての躍進
2001年、コナミから発売されたPS2用ソフト『実況パワフルプロ野球8』にて、OP映像のアニメーションを担当する。
これまで幾つかゲームの仕事はしていたのだが、このOPはアニメ業界外、つまるところユーザーの間で初めて話題になった京アニの映像である。
しかし当時の京アニは無名にも等しく、「京アニが作ったOP」として話題になったのではなく、純粋に「完成度の高いOP」として話題になった(初めて主題歌が入ったという言い回しで話題になった節もある)。
そのOP映像の高評っぷりから、TVシリーズの元請けの仕事が入り始める頃合いの『パワプロ11』までの4作のOPアニメーションを担当する事となる。
(余談② 京アニが制作した4つのOPは、今でもパワプロファンから「伝説のOP」だと語られるほどシリーズ内でも屈指の人気を誇っている)
2002年、下請けを担当していたTVアニメ『The Soul Taker 〜魂狩〜』のスピンオフであるOVAシリーズ『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』において、タツノコプロとの共同制作として初めて元請け*2制作に参入する。
ちなみに監督を務められたのが、当時から京アニ所属のアニメーターであった武本康弘氏。
翌年2003年には、企画の立ち上げから製作そして販売までを全て自社で行う「京アニプロジェクト」第1弾として、『MUNTO』というOVA作品を発売。
”京アニ神作画の父”とも言える木上益治氏がメガホンを握った。
だがしかし、当時の京アニはまだまだ無名。
映像レベルはまだTVシリーズを手掛けたことが無いとは思えないほどの高クオリティではあったものの、コアなアニメファンと業界人以外に認知されることはなく、案の定売れなかった。
作品のクオリティ以前に、何もかもが早すぎたのかも知れない。
同じく2003年、前年にGONZOが制作した『フルメタル・パニック』のスピンオフ的続編と言える『フルメタル・パニック? ふもっふ』を、タツノコプロの制作協力を得ながら初のTVシリーズ元請け制作を行う。
監督は『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』に続いて、”これからの京アニ新時代”を託された一人の武本康弘氏。
放送当時本作は、ギャグアニメの命たるテンポ感の秀逸さと、当時としては最高峰レベルだった動きすぎる作画から、コアなアニメファンの間で話題を呼び、「知る人ぞ知る京都アニ」となりつつあった。
TVアニメ処女作からいきなりポテンシャルの高さを見せつける。
続いて2005年の夏には、TVシリーズ第3期にして本編の正統続編となる『フルメタル・パニック The Second Raid』を制作。
『フルメタルパニック? ふもっふ』の評判をそのまま引き継ぐ、安定した高クオリティの作品となった。
(余談③ 2021年の記事執筆現在、これが京アニが制作した唯一のロボットアニメだったりする。京アニのロボ作画が見れるのはこれだけ )
時を若干戻して2005年の冬。
当時の京アニは、特にコアなアニメファンからは支持されていたとはいえ、作品のクオリティの割にその名はあまり轟いてない。だが有名になりたかった。
よって、当時”泣きゲー”のパイオニアとして美少女ゲーム業界で圧倒的支持を得ていた「Key」というゲームブランドの作品をアニメ化して力を付けることに。
白羽の矢が立ったのは「Key」の2作目に当たる『AIR』。
監督に選ばれたのは、”これからの京アニ新時代”を託されたもう一人である石原立也氏。
シリーズ構成・脚本に鍵っ子の志茂文彦氏を招き、初のオール自社制作という万全の体勢で制作される事となる。
しかし、放送前(2004年頃)のアニメ化に対する風当たりは強かった。
なぜなら既に「Key」作品のアニメ化は、アニメ業界最大手である「東映アニメーション」が手を出しており、そのアニメ版は賛否両論だったからである。
諦念を抱いたように「Key作品のアニメ化は無理」と、当時の鍵っ子やアニメファンは口を揃えていた。
だが、下請けにも一切出さず京アニオンリーで作られたTVアニメ版は、そのひたすらに原作に忠実なシナリオと構成の巧みさ、そして芸術とも言える圧巻のアニメーションで、初見視聴者から不満顔だった鍵っ子まで納得させるほどの非常に高い完成度を誇る作品となった。
また、同時期に「東映アニメーション」が制作し、賛否両論の結果に終わった『劇場版AIR』をも押しのけ、2005年アニメDVD売上ランキング年間2位を記録するほどのヒット作となる。
「Key作品のアニメ化は無理」という常識を覆したのだ。
それから、PS3におけるDVDのアップコンバート機能は、本作のDVD版がBlu-ray版と同レベルに見えることを目標に開発されたり、まだDVDが主流の時代にBlu-rayBOXを発売したりと、アニメの次世代光ディスクソフト(Blu-ray)市場での先駆けにもなる。
京アニは主に鍵っ子などからファンを獲得し、アニメ業界で着々とその存在感を強めて行く。
武本康弘監督と石原立也監督を筆頭に、”これからの京アニ新時代”を順調に切り拓いて突き進む京アニ。
そして伝説へ・・・
2006年~:京アニが最強の黄金期へ
2006年、角川スニーカー文庫のライトノベル『涼宮ハルヒの憂鬱』をアニメ化。
なんとこのアニメ、物語の時系列をシャッフルして放送するというとんでもない仕掛けを盛り込んで来たのだ。
加えて、EDでキャラクターたちが踊るという衝撃が、ニコニコ動画のサービス開始やYouTube日本語版の開設などのタイミングと重なり、若年層を中心に社会現象にも等しい大きなムーブメントを起こす。
そのムーブメントは...
- 若者を主としてオタクを大量生産
- ライトノベルのアニメ化増加
- 作画重視のアニメ増大
- やれやれ系の主人公が増える
- ED等でキャラがダンスを踊るようになる
- 学園モノにライブシーンが入るようになる
- ニコ動や2chなどのネットや、オタクの若者を意識したアニメ作りへと転換
- というかどの制作会社も”京アニ”になろうとし始める
...などなど、アニメ業界にあらゆる影響を与えて、2006年頃から2021年の記事執筆時点にまで続く「深夜アニメブーム」の新しいスタンダードを築く。
日本に留まらずその名が一気に広まった京アニは、本作を機に「黄金期」へと突入する。
同年冬、『AIR』の高評を受けて「Key」の1作目に当たる『Kanon』を、石原監督を始めとする『AIR』の布陣でアニメ化。
原作発売7年後の遅すぎるアニメ化にして、4年前に「東映アニメーション」が制作し賛否両論を得た作品の再アニメ化など、タイミングがタイミングで作品の存在感はあまり発揮できず。
しかし、「東映アニメーション」版を無かったことにするような、『AIR』で手に入れた鍵っ子ファンの期待を決して裏切らない高い完成度で完結する。
そして2007年、『涼宮ハルヒの憂鬱』で培ったノウハウとオタクと自社のブランド力を率いて『らき☆すた』を制作。
”聖地巡礼”という新たなオタク文化を形成し、京アニブランドとインターネットを全力で駆使したプロモーションにより、案の定その年の大きな話題作となる。
続けざまに2007年、『AIR』『Kanon』とお世話になった「Key」の3作目『CLANNAD』をアニメ化。
2007年秋から2クールにかけて放送し、半年開けて2009年冬まで『AFTER STORY(2期)』を放送。京アニ史上最も長く制作したTVシリーズとなる。
また、のちに「CLANNADは人生」というネットスラングと共にアニメファンの中で語り継がれるほどの名作となる。
『CLANNAD』の放送を終えるとお次は、軽音部に所属する女子高生たちのゆる~い日常を描いた「まんがタイムきらら」の4コマ漫画『けいおん!』 をアニメ化する。
監督に抜擢されたのは、当時まだ25歳で京アニ入社5年目だった山田尚子氏。
このようにメインスタッフは実績のあまりない新人で構成されており、後進育成を兼ねた実験的作品として制作された。
だが、そのゆるふわなテンポ感や作中で細かく描かれた楽器が話題を呼び、なんと・・・
オタクどころか一般人をも巻き込む社会現象となる。
日本中にバンドブームを引き起こし、軽音部に入ってバンドを始める学生が急増。作中に登場する楽器が楽器店から無くなる事態に発展。
また、OP・ED曲やキャラソンなどの関連楽曲は毎度音楽チャートを賑わせ、CDの総売上は100万枚以上に。
グッズ展開やタイアップ等も数多く行われ、その市場規模は380億円にも達すると言われるまでになる(2012年3月期のTBS決算説明会のデータより)。
その盛り上がりから翌年2010年に『けいおん!!(2期)』が制作され、2011年には『映画けいおん!』が公開し完結。
『けいおん!』は、”きらら”系を始めとした日常系アニメや音楽アニメを増やしたり、根本的にアニメの制作本数を増加させたりと、アニメ業界に様々な影響を与える。
『けいおん!』が日本の不況経済を刺激していた裏では、3年前に社会現象を引き起こしていた『涼宮ハルヒの憂鬱』が”時系列順に話数を入れ替えた再放送”という謳い文句で放送される。
しかしこれは単なる”時系列順に話数を入れ替えた再放送”ではなく、実質的な「2期」であることが第8話の新作エピソードで明かされ、アニメファンの間に途轍もない衝撃が走る。
翌年2010年には、京アニとしては初の劇場作品となる『涼宮ハルヒの消失』を公開。
これまでに類を見ない2時間40分の大長編でありながら、非常に高い作画レベルと退屈を感じさせない内容とが口コミで広がり、少ない上映館数にも関わらず興行収入8.3億円のヒットを飛ばす。
・・・このように、短い期間に何度も高品質な作品でアニメ業界をぶち上げ、深夜アニメ界隈では敵なしのほぼ一強状態だった京アニ。
どの敵も己の真似事ばかりだ...
しかし万事は諸行無常の栄枯盛衰。京アニもまた「黄金期」が収束し、次第に落ち着いて行くのだった...
2011年~:より独立した制作体制への転換
2011年、石原監督に西屋太志のキャラデザと最強の布陣で、シュールなギャグ漫画『日常』をアニメ化。
副監督に石立太一氏を起用したりと後進育成も無論兼ねており、声優にもほぼ無名の新人を多数起用するなど、『涼宮ハルヒの憂鬱』辺りから見られる挑戦的な取り組みで制作。
しかし、円盤売上は3000枚と、商業的には失敗に終わってしまう...
『AIR』以降の円盤売上が1万本を切らなかったヒットメーカーとしては、ここで急ブレーキをかけられる事となる。
だが翌年、NHKのEテレにて再放送が開始。民放のTVアニメが公共放送に買われるという異例の事態だ。
これにより普段アニメを観ない、主に小中高生の間で話題となる。
2012年、 角川より出版されている推理小説『氷菓』をアニメ化。
ライトノベルのアニメ化でぶち上げた京アニだが、今回は一般文芸よりの小説。
けれども、業界内でも一歩先を往く作画技術で、安定して高品質な作品を生み出した。
また同年、中二病をテーマにしたラブコメ『中二病でも恋がしたい!』を制作。
これは2009年に立ち上げた自社の文庫レーベル「KAエスマ文庫」の第1回受賞作をアニメ化したものであり、遂には原作までもが自社だけで供給できるようになる。
自社オンリーでアニメを作っていた京アニが、なぜ原作までをも自社で完結させようとしたのか?
その答えはレーベルを立ち上げた当時、つまり「黄金期」にある。
『ハルヒ』『らき☆すた』『けいおん!』とスマッシュヒットを連続していた時代、実は京アニはさほど儲かってはいなかった。
アニメの売上の大部分は、原作を刊行する出版社やアニメを放送するテレビ局に取られていたからだ。
自社完全オリジナルで制作した『MUNTO』は鳴かず飛ばずで、オリジナル作品もダメだ。けれど儲けがなきゃアニメだって作れないし、なるべくオリジナルに近い形でアニメを作りたい...
それで原作を募ったのが「KAエスマ文庫」の「京都アニメーション大賞」である。
本作は原作の権利元も京アニとなり、アニメ化の利益の多くが自社の懐に入るようなシステムを確立した。
ちなみに『中二病でも恋がしたい!』は2014年に2期、2017年には映画『Take On Me』が制作される。
2013年、山田尚子監督を始めとした『けいおん!』のスタッフで、初のオリジナルTVアニメ『たまこまーけっと』を制作する。一年後には劇場版『たまこラブストーリー』も公開。
勿論アニメファンの間で話題とはなったが、商業的にはあまり芳しくない結果に。
同じく2013年、第2回京都アニメーション大賞小説部門奨励賞受賞作(『中二病でも恋がしたい!』と同じ賞)である『ハイ☆スピード!』を原案として『Free!』を制作。
これまで男性ファンが主であった京アニだが、本作で初めて女性をメインターゲットとした作品を制作し、大量の女性ファンを獲得。
「男女ともから支持される京アニ」となる。
なお『Free!』は、2021年の記事執筆時点でも続編が展開している。
原作から自前のオリジナル路線はまだまだ続く。
又しても2013年、KAエスマ文庫のライトノベルから『境界の彼方』をアニメ化。
監督は、武本監督や石原監督から”これからの京アニ新時代”のバトンを引き継いだ石立太一氏。
相変わらず後進育成に力を注いでおり、のちに新作劇場版も制作する。
2014年、初のTVシリーズ元請けとなった『フルメタル・パニック』の原作者である賀東招二先生の二作目に当たるライトノベル『甘城ブリリアントパーク』をアニメ化。
監督も『フルメタル・パニック』と同様に武本監督と、で当時最盛期だった”ラノベ原作アニメ”というジャンルに新たな一手をかける。
2015年~:アニメ映画界を駆け抜けて新たな一歩
既に存在する原作のアニメ化には消極的になって、オリジナル路線へと転換する一方、深夜アニメ帯の作画レベルは向上し各制作会社はとうに力を付けていた。
そのため「黄金期」があっという間に過去になって、存在感が薄まっていた京アニ。
だがしかし、そんな2010年代前半とはまた違った展開を見せていく事になる...
2015年、石原監督に山田尚子氏がシリーズ演出という布陣で、吹奏楽部の高校生たちの青春を描いた『響け!ユーフォニアム』を制作。
当時まだ小説1巻が発売したばかりだったにも関わらず、作品の舞台が京アニの本拠地である京都府内の近辺であったことなどからアニメ化を打診し、小説の新刊発売と同時並行で放送がされる。
京アニが描くリアルにどこまでも忠実な楽器作画や演奏シーン、京都府内の美しいロケーション等が高く評価され、アニメファンは言わずもがな、吹奏楽経験者の間でも話題となる。
また、本作を機に吹奏楽部に入部する学生が現れたり、ユーフォというマイナー楽器の人気度が上がったりするなどのムーブメントも見られた。
翌年には2期が制作され、2019年には新作映画『誓いのフィナーレ』が公開。そして2021年以降には3期の制作が決定している。
2016年、自社レーベル「KAエスマ文庫」より『無彩限のファントム・ワールド』をアニメ化。
石原監督を始めとする超ド安定の鉄壁スタッフで、女体の描写に力を込めるなど男性向けのコメディー作品として制作する。
同年、山田尚子監督の布陣で、聴覚障碍者と普通の高校生たちの交流を描いた漫画『聲の形』を劇場アニメ化。
第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞や、第20回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞など、様々な栄誉ある賞を受賞する。
2017年、クール教信者先生の漫画『小林さんちのメイドラゴン』をアニメ化。
久々の漫画を原作とするTVシリーズ。
2021年7月からは2期『S』の放送が予定されている。
2018年、「KAエスマ文庫」の「京都アニメーション大賞」初の大賞受賞作『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』をアニメ化。
自社レーベルの大賞受賞作だけあって、非常に気合の入った線の多さによる映像美で、他の制作会社との格の違いを見せつける。
同年、『響け!ユーフォニアム』のサブキャラクター二人に焦点を当てた映画『リズと青い鳥』を制作。
監督を務めたのは、京アニを代表する女性監督・山田尚子氏。
第73回毎日映画コンクールで大藤信郎賞を受賞したほか、2つの賞にもノミネートされる。
続けて秋には、『Free!』に次ぐ女性をターゲットとした作品として『ツルネ -風舞高校弓道部-』を制作。
第7回京都アニメーション大賞小説部門審査員特別賞の受賞作として、NHKの総合テレビで放送された。
そして2019年、とても心痛ましい事件が起こる。
「京都アニメーション放火殺人事件」
京アニの心臓部ともいえる第1スタジオに男が侵入し、ガソリンを撒いたことにより全焼。
死者は36人、負傷者も含めると70人にものぼり、戦後最悪級の放火事件となった。
過去の作画や資料は全て焼失してしまったが、サーバールームが放火の被害を免れたため、デジタル化されたデータの回収には成功。
SNSを中心に世界中から悼みや応援する声が発せられ、義援金による支援は33億円以上集まった。
ほか、企業や個人などからも多数の支援が今でも寄せられている。
事件から二ヶ月も経たずして、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のスピンオフに当たる映画『 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』を限定上映。
2020年には完全新作『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を公開し、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞した。
何があろうとも挫けない。
「京アニクオリティ」とも呼称される素晴らしい品質のアニメを多く制作し、国内外で非常に高い人気を得ている京アニは、これからもアニメで魅せ続けて”歴史”を紡いでいく...
まとめ
「京都アニメーション」の歴史というか軌跡を、これでも分かりやすく徹底的に振り返ったつもりだが、いかがだっただろうか?
やはり歴史がそこそこあって濃いので、とても書きやすかったし纏め甲斐があった印象である。
京アニは日本が誇る最高のアニメーション制作会社の一つだよ。
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