異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメの感想や評価を書いていく「アニメレビュアーズ」。
今回は、『ARIA』のTVアニメ10周年プロジェクトの一環としてスタートし、劇場公開もされたOVA『ARIA The AVVENIRE』の感想・評価・レビューだ。
原作で未アニメ化だった2話と新作コミックの1話、計3話のエピソードを描く。
- 『ARIA The AVVENIRE』作品情報
- capitolo1 あの時と同じ景色
- capitolo2 さらば2期の風、「次世代ARIA」の始まり
- capitolo3 すべての「ARIA」が集う麗しきラスト
- まとめ:終わらない”みらくる”の連続
『ARIA The AVVENIRE』作品情報
公開日 | 2015年9月26日 |
話数 | 全3話(60分) |
ジャンル | ファンタジー/日常 |
アニメーション制作 | TYOアニメーションズ |
『ARIA The AVVENIRE』あらすじ・PV
現在、コミックブレイドにて『あまんちゅ!』を絶賛連載中の天野こずえが描いた未来形ヒーリングコミック『ARIA』。
単行本累計420万部、関連書籍累計60万部が発行された本作は、2005年に『ARIA The ANIMATION』としてアニメ化。その後も、2006年に『The NATURAL』、2007年に『The OVA ~ARIETTA~』、2008年に『The ORIGINATION』が制作され、原作コミックの雰囲気そのままの優しい世界が数多くのファンを魅了しました。そして、TVアニメの1stシーズンから10年目を迎える2015年。
グランドフィナーレの感動を共有したファンの大きな期待に応えて、名作『ARIA』が甦ります。遙かなる蒼の物語のそれからを描く、完全新作アニメーション『ARIA The AVVENIRE』。制作に当たっては、監督の佐藤順一や脚本の吉田玲子、さらにはおなじみのキャストといった最強布陣が再集結しました。さあ、いま再び未来をご一緒しましょう。
『ARIA The AVVENIRE』スタッフ
原作:天野こずえ「ARIA」(月刊コミックブレイド連載/マッグガーデン刊)
監督・シリーズ構成:佐藤順一
助監督:名取孝浩
脚本:吉田玲子
キャラデザ・総作画監督:音地正行
美術監督:佐藤正浩
音楽:Choro Club feat. Senoo
製作:松竹
『ARIA The AVVENIRE』キャスト(声優)
水無灯里:葉月絵理乃
藍華:斎藤千和
アリス:広橋涼
アリシア:大原さやか
アリア社長:西村ちなみ
晃:皆川純子
アテナ:川上とも子
アイ:水橋かおり
『ARIA The AVVENIRE』評価
評価項目 | 作画 | 演出 | 音楽 | 声優 | ストーリー | キャラ | 設定・世界観 | 雰囲気 | 面白さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
点数 | 9 | 8 | 10 | 9 | 8 | 9 | 9 | 10 | 7 |
お気に入り度:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆
capitolo1 あの時と同じ景色
シナリオとしては『ORIGINATION』の続きから始まるが、まだアリシアさんがウンディーネだった頃の語られなかったエピソードを中心に描かれた。
capitolo1の内容を簡潔にまとめると、アキラさんがアリシアさんの裏誕生日を祝うというお話だった。
灯里との触れ合いを通して、プリマになってからなかなか3人が集まれないことに寂しく思う、アキラさんの心情も描かれた。
もうね、アキラさんというキャラクターの魅力度がますます上がる。『ORIGINATION』以降一気に好きになった。
アイちゃんが早くもシングルになるまで成長していたのには驚いた。
ゴンドラタダ乗り犯だった頃より、成長したこっちの姿の方がずっと可愛い。もうここまで来たんだ。
そして何よりも感服したのが、TVシリーズから良い意味で何も変わってなかったという事。
本作が持つ雰囲気、空気感、音楽の素晴らしさ、作画、それから声優さんの演技...
とりわけ、最も語りが多い灯里ちゃんの声に、時の経過を微塵も感じさせなかった。『ORIGINATION』を観終わった翌日に鑑賞したのにだ。
作画に関してはむしろ、とくに動きの面でパワーアップしていたようにも感じる。
それってとっても素・・・いや凄いことだ。本当に7年の間隔を開けて制作されたのん?
capitolo2 さらば2期の風、「次世代ARIA」の始まり
まずcapitolo2で感じたこと。
話の切り替わりがナチュラルすぎて、capitolo2に入ったことに気が付かなかったw(NATURALだけに)
capitolo2を語るうえで欠かせないのが、新キャラクターの存在。
アイカの弟子である姫屋の「あずさ」と、アリスの弟子であるオレンジぷらねっとの「アーニャ」。
capitolo1から二人の新キャラはすでに登場していたが、この二人とアイちゃんが邂逅を果たし、本格的にこの三人で物語を回し始めたのがここから。
もはやこの三人の出会いは運命にして宿命だろう。なるべくしてなった。
もう「次世代のARIA」は始まってるのだな、と強く思った。
これ『The ○○』の部分だけ改題すれば、何世代にも渡って半永久的に『ARIA』という作品を続けられないか?
capitolo2のメインディッシュは、またもや過去回想を挟む形で描かれたケットシーとのお別れ。
やはり大人になるに連れて、不思議な素敵体験はできなくなって行くのね...寂しさを感じつつ、だよなぁと当たり前に思ったり。
灯里が不幸石に吸い込まれるシーンは笑ったが、ケットシーとネオ・ヴェネツィアの上空を滑空するシーンは、非常にスクリーン映えするものだった(i Padで観たけど)。
不思議色とホラーっぽさが強かった『NATURAL(2期)』の作風を感じさせるエピソードであった。OP曲が2期なのも納得。
capitolo3 すべての「ARIA」が集う麗しきラスト
capitolo3はアリシアさん周りの補完が多かった印象。
まずは灯里がARIAカンパニーに採用された経緯(書類選考とか)が描かれたが、若干OVAと被るところもあり、ここは全部OVAで詳細に描いて欲しかった。
また、実は”カレ”が居るという悩みをアキラに持ってもらっていたことも明らかになったが、それ以上”カレ”について言及されることもなかったw
ほんとに”カレ”って誰なんだよ...アリシアさんを打ち落とせる男がこの世に居るのか!?
けれども、寿退社という結末だと決まってしまった以上、”カレ”の存在を映像上で下手に登場させなかったのは吉かなと。
今はウンディーネの仕組みを変えるために、毎日一生懸命働いているのか...
ウンディーネの昇格試験には前々から疑問を抱きつつも、作品の雰囲気に押し負けてあえて突かなかったが、そこにアリシアさんで突っ込んでくれたのは良かった。どうやらより良い方向に変わっていくらしい。
グランマの「アリシアが誰よりも出会いの大切さを知っている」というセリフが、今のアリシアさんの全てを表している。
そして、どうなるのやらと気になっていたアテナさんの扱い。
アテナ役の川上とも子さんと、歌唱担当の河井英里さんが亡くなられてしまったので、どうしても懸念点だった。
が、本当に上手いこと纏まてくれた。既存の歌だけで、あまり違和感なくカバーしてくれたよ...
エンディングのスタッフクレジットには「アテナ 川上とも子」の文字列があった。この作品は”愛”で溢れてるよ、まったく。
このOVAを締めくくるラストシーンには、始祖と3世代の「ARIA」が揃うという”みらくる”を見せてくれた。
アテナの歌声を聴きながらアキラさんとアリシアさんが言ったセリフが、最後の僕の感想の全てだ。
アキラ「繋がってるんだな、あの時からずっと」
アリシア「ええ、それぞれの歩いてる道が交わり合って、新しい道になって、また離れていく」
まとめ:終わらない”みらくる”の連続
capitolo1 ⇒ ANIMATION
capitolo2 ⇒ NATURAL
capitolo3 ⇒ ORIGINATION
...を感じさせて、思い出させてくれる3本のOVAだった。
この『ARIA The AVVENIRE』という作品もまた”みらくる”の賜物である。
たまたま天野こずえ先生がアニメ関係なくエピソードを描いていて、それをアニメ化する運びとともに、亡くなられてしまったキャストも愛を持ってカバーして。
新キャラ「アーニャ」を演じる茅野愛衣さんも、『ARIA』を観て役者を志した声優さんだったりする。
僕がこの作品を好きになったのも、もしかしたら”みらくる”の賜物、ARIAの奇跡なのかな...?
恥ずかしいセリフ禁止!