生粋のオタクでありこれまでに数多のアニメを観てきた僕が、全話視聴した作品の感想や評価を書いていく「アニメレビュアーズ」。
今回は、ロボットアニメの傑作『コードギアス 反逆のルルーシュ』のTVシリーズ全50話を劇場三部作にまとめた『コードギアス 興道/叛道/皇道』の感想・評価・レビューを行う。
『コードギアス 反逆のルルーシュ 興道/叛道/皇道』作品情報
公開日 |
第1作:2017年10月21日 第2作:2018年2月10日 第3作:2018年5月26日 |
上映時間 |
第1作:135分 第2作:133分 第3作:140分 |
ジャンル | SF/ロボット |
アニメーション制作 | サンライズ |
『コードギアス 興道/叛道/皇道』あらすじ・PV
黒の皇子、ルルーシュ再誕……!
2006年から放送が始まった『コードギアス 反逆のルルーシュ』は開始直後からファンの熱い支持を受けて、瞬く間に2000年代を代表するヒット作となった。そして2008年には続編『コードギアス 反逆のルルーシュR2』が登場。主人公ルルーシュの壮絶な人生を描ききって堂々たる完結を迎えた。監督は『無限のリヴァイアス』『プラネテス』の谷口悟朗。シリーズ構成に『OVERMANキングゲイナー』などの大河内一楼。大河内と谷口は『プラネテス』に続いてのコンビである。キャラクターデザイン原案は『カードキャプターさくら』などで幅広い人気を持つ漫画家集団CLAMP。その原案を『勇者王ガオガイガー』などで知られる実力派アニメーター、木村貴宏がアニメーション用デザインとしてまとめあげた。戦闘シーンで重要な役割を果たすロボット・ナイトメアフレームは、『ストリートファイターII』などで知られる安田朗が原案を、アニメーション用のデザインをメインアニメーターの一人、中田栄治が担当した。
母を何者かに殺され、父である神聖ブリタニア帝国皇帝に国を追われた忘却の皇子、ルルーシュ。彼は神聖ブリタニア帝国に占領された日本――エリア11でその正体を隠しながら暮らしていた。母を死に至らしめ、妹ナナリーの目と足の自由を奪った神聖ブリタニア帝国の打倒。謎の美少女C.C.から絶対遵守の力・ギアスを授けられた時、ルルーシュの野望が実現へと向けて動き出す――。
10年の時を経て、華麗なるピカレスクロマン再び!
『コードギアス 興道/叛道/皇道』スタッフ
企画:内田健二、竹田靑滋、川城和実
監督:谷口悟朗
副監督:村田和也
ストーリー原案:大河内一楼、谷口悟朗
キャラクターデザイン原案:CLAMP
キャラクターデザイン:木村貴宏
ナイトメアデザイン:安田 朗、中田栄治、阿久津潤一
メカデザイン・コンセプトデザイン:寺岡賢司、沙倉拓実
シリーズ構成:大河内一楼
メインアニメーター:木村貴宏、千羽由利子、中田栄治、中谷誠一
美術監督:菱沼由典
音響監督:浦上靖夫、井澤 基
音楽:中川幸太郎、黒石ひとみ
製作:コードギアス製作委員会
『コードギアス 興道/叛道/皇道』キャスト(声優)
ルルーシュ・ランペルージ:福山潤
枢木スザク:櫻井孝宏
C.C.:ゆかな
ロロ・ランペルージ:水島大宙
紅月カレン:小清水亜美
ミレイ・アッシュフォード:大原さやか
シャーリー・フェネット:折笠富美子
リヴァル・カルデモンド:杉山紀彰
ニーナ・アインシュタイン/千葉凪沙:千葉紗子
ナナリー:名塚佳織
ロイド:白鳥哲
セシル:井上喜久子
ユーフェミア:南央美
コーネリア:皆川純子
ギルバート・G・P・ギルフォード:幸野善之
ジェレミア:成田剣
ヴィレッタ・ヌゥ:渡辺明乃
扇要:真殿光昭
ディートハルト・リート:中田譲治
篠崎咲世子:新井里美
黎星刻:緑川光
ジノ・ヴァインヴェルグ:保志総一朗
アーニャ・アールストレイム:後藤邑子
ブリタニア皇帝:若本規夫
天子:須藤沙織
V.V:河城英之介
『コードギアス 興道/叛道/皇道』評価
評価項目 | 作画 | 演出 | 音楽 | 声優 | ストーリー | キャラ | 設定・世界観 | 雰囲気 | 面白さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
点数 | 10 | 10 | 8 | 10 | 10 | 10 | 10 | 7 | 8 |
お気に入り度:★★★☆☆
オススメ度:★★☆☆☆
TVシリーズからの改変
僕は基本的にアニメの総集編はまず観ないし、作品自体1周観たら満足してしまう。
そんな僕が、『R2』の先の時代の物語に繋げる形でTVシリーズを再構成した、いわゆる”総集編”に当たるこの劇場三部作を鑑賞してしまったことを、まず明記しなければならない。
TVシリーズを視聴して一通り満たされていたが、またあの物語を見返したくなったのだ。総集編を観たことも、観たいという欲求が湧いたのも、僕に取っては珍しい。
いずれ『復活のルルーシュ』を鑑賞する予定でもあったので、せっかくの復習も兼ねて、この劇場三部作の鑑賞に至ったわけだ。
そして劇場三部作を観終わった感想としては、まずTVシリーズとちょくちょく展開が違っていたのが気になった。
TVシリーズ50話分を劇場三作に収めるため、あまり重要ではないと見なされた展開やシーンはカット。また、カットしたら話が繋がらなくなる箇所や『復活』に繋げると矛盾してしまう箇所は、予想以上に思い切って改変がなされていた。
特に気掛かりだったのは、僕がヒロイン陣の中で最も推しているシャーリー周りの全て。劇場版における大きな変更点は彼女の周囲の展開だ。
出番はTVシリーズからかなり減少し、ルルーシュに対する恋愛絡みの感情は全く描かれず。新規カットの大半は彼女のシーンだったし、最終的に生き残るようにシナリオが改変されたが、それがむしろ単なる”救済措置”に見えて、逆におざなりな扱いを受けているように感じた。
たしかに物語の本筋にはあまり関係ないが、シャーリー周りのシナリオは『コードギアス』という作品には重要な要素だと思う。
制作陣はこの改変がより作品のクオリティをアップさせたと思っているのかな? それとも劇場三作に収めるために仕方が無かったのだろうか?
後者であると願いたい。
必殺技を封じられた名作
なぜ『コードギアス』があんなにも面白かったのかと問われると、僕は「”次回への引き”がめちゃくちゃ上手かったから」だと考える。
特に印象的で衝撃的だったのは、言うまでもなく”クリフハンガー”という手法を使った第1期の最終回。一番次への展開が気になってしょうがなかった。
そんな”次回への引き”や”クリフハンガー”は、劇場版になることによって使えなくなった。
作品を限界まで面白くしていた必殺技を封じられたのだ。これはルルーシュがギアス能力を封じられたくらいに痛手である。
『興道』『叛道』の終わりは、たしかに次回作へと続けるための終わり方だったが、特別次回が気になるような引きなどは勿論無し。普通にTVシリーズを3つに切って、少々シナリオを改変して映画にしただけだった。
それでも、めちゃくちゃ面白かった。
震えるような興奮や感動はTVシリーズに負けず劣らず。
劇場版公開の10年以上前に制作されたとは思えないほど、ロボと表情の作画は圧巻で、「ゼロレクイエム」は何度見ても涙が溢れる。
本当の名作は時代に流されない、色褪せずに残り続けるということを思わせてくれた。
だがこの感想はTVシリーズあっての感想なので、劇場版単体で見ると上のような評価となってしまった。
まとめ:計算し尽くされたピカレスクロマン、再び
”総集編”という表現は正しく、完全に2周目以降向けの脚本・構成だった。
すでに事の顛末を知っているギアスファンなら、作品の復習に持って来い。
まだ『コードギアス』を観ていないという人は、是非TVシリーズの50話を頑張って観てほしい。初見でこの映画は観るな!
この記事の内容を140文字にまとめた、鑑賞直後に呟いたツイート👇
#コードギアス 劇場三部作視聴完了
— たゆすと@はてなブログ (@Heiho_tayutari) 2020年10月9日
ちょくちょく展開が違ってカットが多かったため、完全に2周目以降向け。次回の引きやクリフハンガーは封じられたものの、震えるような興奮や感動はTVシリーズに負けず劣らず。ロボと表情の作画は圧巻で、ゼロレクイエムは何度見ても涙が止まらん。レベルが高すぎる。