異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメの感想や評価を書いていく「アニメレビュアーズ」。
今回は『ARIA』のTVアニメシリーズ第2期に当たる『ARIA The NATURAL』の感想・評価・レビュー。
基本的には第1期のレビューで書いたことは割愛し、この第2期で新しく感じたことを書いて評価する。
その点を理解していただき、第1期のレビューを読んでから本稿を閲覧してもらえると助かる。
『ARIA The NATURAL』作品情報
放送時期 | 2006年4月-9月 |
話数 | 全26話 |
ジャンル | ファンタジー/日常 |
アニメーション制作 | ハルフィルムメーカー |
『ARIA The NATURAL』あらすじ・PV
水の星AQUA(アクア)の観光都市ネオ・ヴェネツィアを舞台に、
ウンディーネを夢見る少女、水無灯里。そんな彼女の柔らかな日常を情感豊かに描いた未来形ヒーリングアニメーション。
「ARIA The ANIMATION」。そのセカンド・シーズンである「ARIA The NATURAL」は、佐藤順一監督をはじめとする
スタッフ&キャストはそのままに、さらにナチュラルで優しい世界へ視聴者を誘います。今シリーズのテーマは“出会い”。
出会いを見守る街としてのネオ・ヴェネツィアの『素敵』を描いていきます。
主人公に優しくてちょっぴり切ない物語が広がります。
『ARIA The NATURAL』スタッフ
原作:天野こずえ(月刊コミックブレイド連載/マッグガーデン刊)
監督/シリーズ構成:佐藤順一
助監督:竹下健一
総作画監督:熊谷哲矢
キャラクターデザイン:古賀誠
脚本:吉田玲子、藤咲あゆな、岡田麿里、浦畑達彦
美術設定:西川淳一郎
美術監督:吉川洋史
プロデューサー:内田哲夫
『ARIA The NATURAL』キャスト(声優)
水無灯里:葉月絵理乃
藍華:斎藤千和
アリス:広橋涼
アリシア:大原さやか
アリア社長:西村ちなみ
晃:皆川純子
アテナ:川上とも子
アイ:水橋かおり
『ARIA The NATURAL』評価
評価項目 | 作画 | 演出 | 音楽 | 声優 | ストーリー | キャラ | 設定・世界観 | 雰囲気 | 面白さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
点数 | 7 | 8 | 10 | 9 | 8 | 9 | 9 | 10 | 7 |
お気に入り度:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆
その素敵な話の続きに...
本作は第2期なので、一応第1期のお話の続きから、無いようである物語はスタートする。
自分ルールで下校するだけの話や、海に棒を立てるだけの話に、でかい雪だるまを作るだけの話。
振り返ると一言で説明が付いてしまう内容ばかりであったが、しょーもないネタ一本だけで1話をやり遂げてしまい、加えてスローテンポなのに間延び感を一切感じさせない。
むしろ観終わった暁には「あぁ良い話だったな、やっぱりAIRA最高!」という感想がど残り、カタルシスを感じて日頃の疲労困憊が瞬く間に浄化される。
相変わらず”ヒーリング効果”は健在のようで、死ぬほど辛い現実からの最高の逃避場所となった。
これが摩訶不思議なARIAパワーである。どの回であっても等しく”素敵な話”であり続けるのだ。
中でも好きで心に残った”素敵な話”は3つある。
1つ目は第16~17話、これまで練習用として使い続けていたゴンドラとの別れの回である。
ゴンドラとの別れを惜しみ、これまでゴンドラで駆け寄った場所や人々の所を巡るのは、何とも灯里らしい行動だと思った。
純粋で優しい心の持ち主ゆえに、人や物に対する思い入れが強く、”素敵”を重んじるそんな彼女の。
やっぱりゴンドラとのお別れは、灯里の心情と同様に寂しかった。はひっ!
2つ目は第23話「その 海と恋と想いと…」。
長年付き添ってくれた妻の願いを叶えてあげようとするツンデレのお爺さんも、それに協力してあげる灯里を始めとしたネオ・ヴェネツィアの人々も良かった。
素晴らしいネオ・ヴェネツィアの伝統を垣間見ることができたのも良い。
演出もバチバチに決まっており、熟年カップルによる心温まる感動回であった。
『ARIA The NATURAL』で一番好きなエピソード。
3つ目は第25話「その 出逢いの結晶は…」。
これまでに出逢った主だったキャラクターが一堂に会し、それをウンディーネ見習い三人組が夜の屋形船でもてなす。まさに「出逢いの結晶」だった。
アイちゃんが遅刻して来る演出はちょっと泣きそうになった。でも僕は長男だから我慢できたけど!次男だったら我慢できなかったかもね!
でっかい素敵です。
???「恥ずかしいセリフ禁止!!」
はひっ!でも気になる所があります!
しかし、ただ観ては「はひっ!癒されました!」と即満点評価する盲目なファンにはなれなかったので、気になった点も幾つかある。
まず、とてもファンシーで不思議色満載なエピソードが増えて来るのだ。
神の世界に近づきすぎて注意を受けたり、猫の世界に度々迷い込んでは帰れなくなりそうになったり、”猫”が絡むネオ・ヴェネツィアの”謎”に迫ってみたり。
中には、黒服の女性の幽霊に連れ去られ別れ際に首が無くなる、というホラーにも等しい恐怖エピソードもあった。
癒しを求めて惨い現実からやって来たのに、幾度となく「怖い」という感情を揺さぶられる。
それでも着地点が「良い話」に収まるから後味は悪くないのだが、残念ながらもう一度観たいとは思えない。
それから、キャラクターたちの恋愛描写が色濃くなって来る。
藍華とアルのムシャクシャしてこそばゆい関係性を中心として、主人公・灯里の周りでも何かを匂わせる描写があり、「ん?」と引っ掛かりを覚えた。
『ARIA』という作品は恋愛要素が無くとも成立している、というか完成している。
だから話数を追うごとに色濃くなる恋愛要素に対し、「果たして本作に恋愛は必要か?」と疑問を抱いた。
記事執筆時点ではまだ未視聴だが、おそらく第3期以降も恋愛描写はあるのだろう。
「いや本作に恋愛は必要だった」と手のひらを返し、納得させてくれると嬉しい。
ここからは僕の感想に対する自己分析だが、どうやら僕は”ウンディーネとして”の彼女たちの日常が見たいらしい。
ゆえに不思議でホラーチックなエピソードをあまり好まなかったし、恋愛を感じさせる描写は不要だと感じた。
第23話のような、ウンディーネという仕事を全うする彼女たちが起こした”素敵”を求めた。
これに関しては「百合の世界に男キャラは要らない!女キャラだけにしろ!」とのたまうオタクと同じ穴の貉であることは自覚している。
だが、これが僕の嘘偽りない感想なのだから書かせてほしい。
”ウンディーネとして”の彼女たちの日常がもっと見たかった。あと感動も。
その変わらず美しい音楽と...
ネオ・ヴェネツィアの美しい景観を作り上げる背景美術は、相変わらずとても良い仕事をしている。
彼らの仕事が無くしてこのアニメは成立してないとすら思える。
声優さんの演技も相変わらずバッチシだ。
キャスト面に関しての感想は、第1期のレビュー記事に書いたものと同様である。
そして何よりも音楽がずっと素晴らしく、『ARIA』の美しい世界の雰囲気・空気感を存分に作り出していた。
正直、ヒロインが可愛くないカットがあったりと作画が怪しいことが多々あり、予算が足りないもしくはスケジュールが厳しいのか?…という嫌な制作の裏側(現実)が見え隠れする事がある。
そんな時でさえ「Choro Club」が作曲する劇伴曲(BGM)が全てを書き消し、ひいては美しい彩りを演出していた。
本作における”音楽の偉大さ”を、この『NATURAL』をもって再認識することができた。
サントラの購入はマスト。すっかり「Choro Club」のファンである。
また、OP・EDも勿論新しいものに変更されており、本編に合わせて流れるOPの新曲も、本編の内容を沁み込ませる新しいEDも、やはり本作の世界にマッチしていた。
牧野由依さんはOP、BRAND TABLEはED、ともう決まり切っている。
そんな中、主人公・灯里が歌う二つ目のEDには意表を突かれたが、影絵調の映像も相まって灯里にフォーカスを当てた良いEDだなと感じた。
まとめ:でっかい癒しを求める放浪者の行き着く先
すっかりTVシリーズ第1期で『ARIA』の世界に惚れ込み、この世界に転生して死にたい、この作品が永遠に続けば良いのに…とさえ思っている僕に取っては、「続きが見れた」それだけで満足である。
しかも潤沢な予算やゆとりのあるスケジュールが用意できた訳でも無いだろうに、2クール26話もの尺を設けてくれたことには有り余る感謝感激だ。
これもARIAの素敵な奇跡かも♪
???「恥ずかしいセリフ禁止!」
そして何か観てしまうのが勿体ない気がして、週に1、2話という僕にしてはローペースで視聴し、全話観終わるのに半年近くも掛かってしまったw
最高にでっかい癒された2クール26話だったね。
あらあら、うふふ。