異種族の風〇をレビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメの感想や評価をネタバレ有りで書いていく「アニメレビュアーズ」。
今回は、京都アニメーション自らが製作・販売を行ったオリジナルアニメ『MUNTO(ムント)』シリーズの感想・評価・レビューだ。
『MUNTO』は2003年にOVA第1弾が、2005年にOVA第2弾『時の壁を越えて』が発売された。
そして、それら2作をまとめて新作カットを追加した完全版『空を見上げる少女の瞳に映る世界』が、TVシリーズとして2009年に放送された。
僕はこの『空を見上げる少女の瞳に映る世界』を視聴したので、これについて言及していく。
ちなみに、のちに映画『天井人とアクトの戦い』が公開されたが、TVシリーズ後半の総集編でしかないから鑑賞してない。
『空を見上げる少女の瞳に映る世界』作品情報
放送時期 | 2009年1月-3月 |
話数 | 全9話 |
ジャンル | ファンタジー/バトル |
アニメーション制作 | 京都アニメーション |
『MUNTO(ムント)/空を見上げる少女の瞳に映る世界』あらすじ・PV
中学生の少女・ユメミには幼い頃から抱えている悩みがあった。
―ほら、あそこだよ―
まだ小さかったユメミが無邪気に指さした遥か上空には、不思議な島々が浮かんでいた。
―えーっ。どこどこー?―
しかし、友人たちは、誰一人としてそれを見ることができない。そんなある日、突然、赤い髪をした少年がユメミの前に現われる。彼の名前はムント。
ユメミが見ていた天上世界の一国、魔導国から来たと言う。
かつて、「天上界」と「地上界」のバランスは万能の力“アクト”の循環によって保たれていた。
しかし、遠い昔、ある災いによって時空が閉じた事でその循環が断たれ天上界のアクトが枯渇、天上各国は消失の危機に瀕していた。
このままでは、いずれ地上界のアクトも費え、世界は破滅を迎えてしまう。
―お前の力が必要だ!―
ユメミの不思議な力に最後の望みを託して迫る魔導国の王・ムント。
異界の王の突然の来訪に戸惑うユメミ。
二人は果たして世界の危機を救うことができるのか。
遥かなる時空を経て交わる二つの運命が今動き始める!
『MUNTO(ムント)/空を見上げる少女の瞳に映る世界』スタッフ
企画:八田陽子
原作:京都アニメーション
監督:木上益治
シリーズ構成:木上益治とユメミる仲間たち
キャラクターデザイン・作画監督:荒谷朋恵
美術:田村せいき
撮影監督:中上竜太
設定:高橋博行
色彩設計:高木理恵
音楽:神前 暁・monaca
音響監督:鶴岡陽太
プロデューサー:八田英明・伊藤 敦
製作:京都アニメーション
『MUNTO(ムント)/空を見上げる少女の瞳に映る世界』キャスト(声優)
日高ユメミ:相沢 舞
ムント:小野大輔
小野イチコ:堀川千華
今村スズメ:今野宏美
高森カズヤ:高橋伸也
戸部タカシ:水原 薫
日高シゲル:平松広和
日高ノゾミ:井上喜久子
日高チカラ:内田 彩
ガス:稲田 徹
グンタール:若本規夫
グリドリ:白石 稔
リュエリ:田中涼子
トーチェ:松元 恵
イリータ:土谷麻貴
ライカ:斎藤楓子
ルイ:遠藤広之
『MUNTO(ムント)/空を見上げる少女の瞳に映る世界』評価
評価項目 | 作画 | 演出 | 音楽 | 声優 | ストーリー | キャラ | 設定・世界観 | 雰囲気 | 面白さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
点数 | 9 | 9 | 8 | 8 | 7 | 7 | 9 | 7 | 6 |
お気に入り度:★★★☆☆
オススメ度:★★☆☆☆
ぶっ飛んでいて難解な設定とストーリー
設定はかなり難解。非常に作り込んでいるのは伺えるが、専門用語が若干目立ち、アニメだけを観て完璧に理解するのは不可能だ。
謎の繋がりがある2つの世界、幻想的な雰囲気...Key作品っぽいなと思った。
ゲームにもよくありそうな世界観で全然嫌いじゃない。
ストーリーは少々難解。電波的かつ抽象的ゆえ、全体的にぶっ飛んだ内容に仕上がっているが、意外と王道なファンタジーモノを貫いている。
ぶっ飛んでいるのに王道って異質な作品だよな...
しかし、これといって感情が揺さぶられる事はなく、天井側のお話は退屈になることが多かった。キャラクターもあまり愛せない。
また、本作に伝えたいメッセージがあることは伝わったが、そのメッセージが何なのかまではイマイチ伝わって来なかった。
たとえば、3話にてカズヤとスズメが川を横断するシーン。
この二人が何か大きなことを成し遂げたくてこのような行動に出たのは理解できたが、なぜ大きなことを成し遂げたかったのか、なぜ行動手段がこれになったのか、理解も共感もできなかった。
川を横断した後、謎の達成感に包まれるような演出があったけれど、結局君たちは何がしたかったの?
本作の制作陣にも同じ疑問を持つ。自分たちの作りたいものを作って何かしたいのは分かるんだけど、何がしたかったの?
ストーリーはそれとなく分かったが、その先の制作陣の意図までは、最後まで不透明で見えて来ない。
それから9話(最終回)にて。
2つの世界が無事救われて、特殊EDでせっかく上手く締まっていたのに、Cパートで「実はまだ、問題は完全解決していなかったのだ…」みたいな展開へ。
続編?を匂わせるような、モヤっとする終わり方になってしまった。9話のCパートは不要である。
制作当時、続編を作りたくてこうなったのかも知れないが、2つの世界が救われたらそれで作品が終了だろ…と。
映像は劇場レベル
作画や演出はクセがあるがピカイチ。つまりいつもの京アニだったって事。
アクションや爆発などの映像は見応えはあり、映画としてそのまま公開しても大丈夫なレベルだ。
だが、2003年に制作されたOVAと、2005年に制作されたOVAと、2009年に新たに制作された新規カットが混ざっているため、キャラデザに統一感が無いところもしばしば。
また、映像に引っ張られすぎて物語が置いてかれる。映像だけ凄くてもね...
物語はどうでもいいとお考えの、映像(作画)志向の人には一見の価値あり。
OP・ED曲が良いんだよねぇ
物語以上に主題歌が印象に残った。
Key作品でお馴染みLiaさんが歌うOP曲「アネモイ」、アニソンシンガーCeuiさんが歌うED曲「闇と時の果て」。
どちらも、冷酷を包み込むように温かく優しい音色で、幻想的な世界観を表現している。
この2曲は好きになった。サブスクで配信してないのが残念でならない。
OPは映像も良いのだ。この1分半の映像さえ見れば、本作の作画パワーが分かるはず。
まとめ:いまいちパンチが弱い超オリジナルアニメ
『MUNTO』は黒歴史だとか駄作だとか言われてるが、それほどでもなかった。期待して観てなかったからガッカリ感もない。
個人的にはまあ好きな方だったし、それなりに評価したい。
よく分からんモンスターと戦う、中身置いてけぼりで作画暴力なバトルモノの系譜は、『境界の彼方』『無彩限のファントム・ワールド』へと受け継がれていくのだった...
やはり京アニは、シリアスやバトルモノに向いてない。オリジナルもパンチが弱い。
そんなことが本作を通して改めて分かった。
よほどの京アニファンなら観ておきたいかも。
今から視聴するなら、中古DVDを購入するしかないだろう。