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あっさり醤油ラーメン アニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』感想・評価・レビュー【アニメレビュアーズ#45】

 

異種族の風俗をファ〇通レビューする某アニメに倣って、僕が(全話)視聴したアニメをネタバレ有りでレビューしていく「アニメレビュアーズ」

 

今回は、小説家になろう発の異世界転生アニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(略称、はめふら)』の感想・評価・レビューだ。

第2期『X』の放送が始まる直前に第1期を完走。

第2期まで全話観終わったらレビュー記事を書こうと考えていたが、第2期の1話を観たところ、これは第1期とは別物だな...と思った。

ゆえに、今回はTVアニメ第1期のみのレビューとなることを留意してもらいたい。

 

アニメレビュアーズとは?

 

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(はめふら)』作品情報

アニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった』

©山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
放送時期 2020年4月-6月
話数 全12話
ジャンル ファンタジー/コメディ/恋愛
アニメーション制作 SILVER LINK.

 

『はめふら』あらすじ・PV

公爵令嬢、カタリナ・クラエスは、頭を石にぶつけた拍子に前世の記憶を取り戻す。

ここが前世で夢中になっていた乙女ゲーム『FORTUNE LOVER』の世界であり、自分がゲームの主人公の恋路を邪魔する悪役令嬢であることを!

ゲームでカタリナに用意されている結末は、ハッピーエンドで国外追放バッドエンドで殺されてしまう…

そんな破滅フラグはなんとしても回避して、幸せな未来を掴み取ってみせる!!勘違い?人たらしラブコメディの幕が上がる。

引用:TVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』

 

 

『はめふら』スタッフ

原作:山口 悟(一迅社文庫アイリス/一迅社刊)

キャラクター原案:ひだかなみ

監督:井上 圭介

シリーズ構成:清水 恵

キャラクターデザイン・総作画監督:大島 美和

フロップデザイン:澤入祐樹

美術監督:込山明日香

色彩設計:重冨英里

3Dディレクター:小笠原努

撮影監督:衛藤英毅

編集:瀧川三智

音楽:田渕夏海、中村巴奈重、斎木達彦、櫻井美希、兼松衆

音響監督:亀山俊樹

プロデューサー:西啓、青井宏之、神宮司剛史、諏訪豊

製作:はめふら製作委員会

 

『はめふら』キャスト(声優)

カタリナ・クラエス:内田 真礼

ジオルド・スティアート:蒼井 翔太

キース・クラエス:柿原 徹也

アラン・スティアート:鈴木 達央

ニコル・アスカルト:松岡 禎丞

メアリ・ハント:岡咲 美保

ソフィア・アスカルト:水瀬 いのり

マリア・キャンベル:早見 沙織

ジオルド・スティアート(幼少期):瀬戸 麻沙美

キース・クラエス(幼少期):雨宮 天

アラン・スティアート(幼少期):田村 睦心

ニコル・アスカルト(幼少期):M・A・O

 

『はめふら』評価

評価項目 作画 演出 音楽 声優 ストーリー キャラ 設定・世界観 雰囲気 面白さ
点数 7 8 8 8 7 8 9 7 7

お気に入り度:★★★☆☆

 オススメ度:★★★☆☆

 

 

ストーリーは同じことの繰り返し

本作がやっていることは...

破滅フラグが現れた!作戦を決めよう!(脳内会議)

作戦に基づいてイベントでキャラクターと仲良くなる

破滅フラグをへし折る

ゲームではこうだったなぁ…(回想)

次の破滅フラグが現れた!作戦を(ry

これを繰り返しているだけだ。

しかも、これといった大事件が起きるわけでも、大した苦労があるわけでもなく、おおよその物事は順風満帆に進んでいく。

ほとんど無双状態であり、かなり単調なストーリーである。

 

パターンが掴めるから先の展開もスルスルと読めてしまい、マンネリを感じて飽きもやって来る。

単純明快で分かりやすいとも取れるが、僕には深度が浅く退屈にも感じられた。

しかしここで「つまらない」の一言で片付けてしまうには、本作の評価には不相応だ。

 

不快感がない主人公

アニメ『はめふら』の主人公・カタリナ

©山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

なぜだろう。主人公・カタリナに不快感がない。

これがほかのポンコツな「なろうアニメ」との大きな違いであり、本作の評価できるプラスポイントだ。

 

なぜ視聴者を不快にさせないのか?

僕が考えるに、カタリナは精神年齢が実年齢にしては幼く、他人の気持ちにも鈍感で、無自覚に人をたらしこむ...端的に表せば”天然バカ”だ。

しかし”愛せる”天然バカなのである。

天然バカゆえにカタリナが起こす言動の数々は、あまりにも周囲からズレていて面白い、笑える。

とくに、第1話から「農作業」にこだわっている所が。

  • 国外に追放されても魔術で食べていけるよう、土属性の魔力を高めておきたい!己の魔力の源と対話することが大事と聞いたから土と対話しよう! ⇒ 農作業
  • 国外追放されても百姓として生きれるように、農業の経験値を貯めておこう! ⇒ 農作業
  • マリアの手作りお菓子を食べさせてもらうお礼に ⇒ 農作業
  • テスト勉強キツイ...気分転換しよう! ⇒ 農作業

もはや「農作業」がネタ・ギャグになっているw

ほかにも、ジオルドが剣を向けてきた時に対抗するべく、彼が苦手なヘビそっくりの玩具を投球する練習をしたり。

力を入れるベクトルがことごとくおかしい。その天然バカっぷりはどこか憎めなくて、愛おしさすらあるのだ。

アニメ『はめふら』の農業シーン

©山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

また、カタリナは性別・年齢・身分問わず、誰にでも平等で優しく接する。

それは前世の性格が影響している部分も大きいが、自身の破滅フラグを回避するためでもある。

その性格や利己心の働きから無自覚に、周囲の人々を不幸から救い出して”幸せ”にしている。これまた憎めない。

「外面は意地悪な悪役令嬢なのに、中身は純真無垢なオタク女子学生」という”視聴者しか知らないギャップ”もあり、視聴者である僕すらもカタリナに魅了される。

 

おかげでカタリナは、男(イケメン)からも女(美少女)からもモテモテで、破滅フラグではなく恋愛フラグが立ちまくるw

しかし、視聴者である僕もカタリナに魅了されている部分があるので、そのカタリナのハーレム状態を何なく受け入れられる。

そりゃ人たらしになっても仕方が無いなと。

大人も子供もおねーさんも

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©山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

そして本作は「乙女ゲー」が下敷きにあるけれど、乙女ゲーム的、少女漫画的な作風ではない。

たとえば、カタリナがイケメン貴族に攻められても、「ゲームで攻略した○○様が目の前に!キュン♡」と乙女になることはない(さすがに照れたりはする)。

むしろカタリナは、なろう出身異世界転生モノの鈍感テンプレ主人公”女バージョン”として描かれている。

男性キャラも女性向けアニメ特有のしつこさがなく、女性キャラも美少女アニメ特有のオタクに媚びるような姿勢がない。

キャラクターは男女平等に扱い、脚本・演出ともどもゴリゴリのなろう出身異世界転生アニメだ。

順風満帆な展開もすべてエンターテイメントだと言わんばかりに。

くわえて、ストーリーは誰も不幸にならない”ハッピーエンド”の形で完結し、1クールで見やすくまとまっている。

 

だから「乙女ゲームとはどういうものか?」「異世界転生って何?」という初歩的な知識さえあれば、男だろうと女だろうと観れてしまう。

いわば万人向けの作風なのだ。

本作がヒットしたのは、この懐が深い性質が要因なのでは?...と推察する。

評判を受けてすぐに続編を展開するなど、動きが素早いのもグッドだ。

 

映像面に関して

アニメ『はめふら』の脳内会議

©山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

作画に関しては乱れないけれど、全体的に低カロリーで動きが少なく、表情などの迫力は薄い(いつものSILVER LINK.)。映像面もあっさりだ。

しかし、作風に合っているから悪くはないと思う。

これでモンスターとバトルしまくるタイプの異世界転生モノだったら...

 

また、「農作業」と同じくらい本作の恒例シーンである「カタリナの脳内会議」について。

演出としては斬新さに欠けるが、まれいたその演じ分けも相まって、普通に面白いと思える仕上がりにはなっている。

 

 

angelaのOPが素敵

本作の要素で僕的に一番気に入っているのは、angelaが歌うオープニング。

楽曲は展開が目まぐるしく、カタリナが巻き起こすドタバタ劇や、貴族社会の中世ヨーロッパ的な世界観を素晴らしく表現できている。

それに合わさった映像も、スタッフクレジットの入れ方がセンスよく、歌詞やテンポ感を意識したカットの見せ方・切り替えも美しい。

公式がYouTubeに投稿しているオープニングはノンテロップなのが残念だ。テロップ込み、音楽と映像セットで見たい。

 

まとめ:なろう出身異世界転生アニメの良作

アニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』評価

※点数は評価点数+お気に入り度+オススメ度の合計(100点満点)

アニメ界における「異世界転生モノ」は、日本料理界におけるラーメンのようなゴッテゴテとしたくどい味の人気ジャンルであり、

こと「なろう系」に至ってはスタンダードともいえる「醤油ラーメン」だ。

しかし本作はとても”あっさり”とした仕上がりになっており、慣れてないユーザでもぺろりと平らげてしまえる。

だから僕にとって本作は「あっさり醤油ラーメン」なのだ。

こうやってちまちま説明しなくても、観た人ならこの比喩をなんとなく分かってくれるのでは?...と踏んでいるが果たして。

えっ?変な喩えをするなって? しょぼん(´・ω・`)

 

先述したように、本作はこの第1期の1クール全12話で綺麗にまとまっている。

だからこそ、なぜ続編の制作が決まったんだ? ライトノベルで連載を続けるならまだしも、アニメでこれ以上このストーリーを引っ張るのはキツイぞ?

...と思っていたら、第2期は案の定”蛇足”になったという。

なに?映画化が決定したっ!? どこまで行くんだこの作品は!?!?!?

たぶん第2期は完走できないし、映画も観ないかな。この第1期だけで十分。

 

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